世界一周の氷河特集、つまりは総集編
この番組、どうも最近氷河づいてると言っていたら、そのものズバリの氷河特集まで持ってきた。まあこのクソ暑い夏を少しでも涼しく感じるための企画・・・と言えば聞こえは良いが、要は最近はコロナのせいで海外取材さえままならないので、しばし総集編でしのげって本音が垣間見える。
『世界遺産』8/30(日) 夏だから見たい! 氷河の絶景【TBS】
まずは北米の氷河から
で、今回は氷河を回っての世界一周という企画になっている。最初は北米から。アラスカ・カナダの氷河地帯が登場。ここの氷河はとにかく見渡す限り氷、氷の大氷原。その中に氷に埋もれたランベル山火口まである。ここから流れ出した氷河が合流している先では、二つの氷河の間に土塁のような土の盛り上がりが。これはモレーンといって、氷河が削った岩クズが堆積したものだそうな。そしてこれらの氷河はアラスカのグレーシャーベイに流れ込む。先端部では氷の壁が轟音を上げて崩れ落ちるという壮観な風景が(ただし近寄ると危険)。
次は少し南下してカナディアン・ロッキー山脈自然公園。ここでは標高3000メートルクラスの山脈の上に氷河が存在する。そしてご多分に漏れずこれらの急峻な山並みは氷河の浸食によるもの。ロッキー山脈最大のコロンビア大氷原はこれまた厚さ300メートルで流れ出している。そしてこれが氷河湖に流れ込むが、氷河湖の一つペイト・レイクでは氷河が削った微粒子が太陽光を散乱して湖水は独特の水色に着色している。
さらにシェラネバダ山脈のヨセミテ国立公園はかつては氷河の下にあり、その浸食によって出来た大渓谷である。1000メートル以上の断崖から雪解け水が流れ落ちる。ヨセミテ滝は落差793メートルの巨大滝である。またヨセミテ名物がハーフドーム。元々は丸い溶岩ドームだったのを氷河が半分を削ったのだそうな。
ヨーロッパの山岳鉄道
次はヨーロッパに移ってスイスとイタリアを走るレーティッシュ鉄道。1910年に開通したアルプスを走る山岳列車である。橋やトンネルで急勾配をグルグル回って高度を上げて走っている。途中の駅にはかつては駅の近くまで氷河が来ていて、駅前氷河とも言われていたのだとか。今でも観光客が大勢途中下車するが、温暖化の影響か今では氷河は大分後退している。
100年前にアルプスの固い岩盤をくりぬいたのがユングフラウ鉄道。9.3キロの長大なトンネルが断崖の山の中を走る。終着駅は山頂にあり、そこはアレッチ氷河を一望できる絶景の展望台となっている。観光目的のために通された列車である。
ピレネー山脈のペルデュ山は標高3352メートル。山の麓には氷河削ったU字谷があり、その絶景からトレッキング名所である。落差423メートルの滝があり、さながら自然のシャワーとなっている。
ヒマラヤを削る氷河に赤道直下アフリカの氷河
世界の屋根ヒマラヤ山脈も氷河で削られている。ネパールのサガルマータ国立公園はネパール語で「世界の頂上」という意味である(まんまやん)。エベレストと隣の山の間を滑り落ちるのがクーンブ氷河。その先にはアイスフォールと呼ばれる難所がある。そしてこの氷の川は麓に大量の土砂を運ぶ。8000メートル級の山々が今も氷河に削られている。
場所は変わって赤道直下の熱帯のアフリカ。なんとこここにも氷河がある。ケニア山国立公園。標高5199メートルでキリマンジャロに次ぐアフリカで2番目に高い山である。山頂の気温は氷点下になるため、山頂のすぐ下に氷河がある。ただし温暖化の影響でかなり小さくなっている。この氷河の水はかつての氷河谷を通って山を下り、サバンナに水を供給している。
南米の「生きた氷河」
南米のアンデスはペルーのワスカラン国立公園は6000メートル級の山々が連なる。この地は非常に乾燥しているため、氷河の氷が蒸発する。この時に強風に煽られることでトゲのように尖るのだとか。おかげでトゲが生えた氷河が出来上がる。
アンデス山脈の南の果てはロスグラシアレス国立公園。ここにあるのが青き氷河と言われるペリトモレノ。夏になると氷の表面が溶けて青い湖が生まれる。また氷河の先端は高さ60メートルになっており、これが湖に崩落するところを見ることが出来る。今でも活発に前進を続けている「生きた氷河」である。
と言うわけで今回は氷河世界一周。それにしても毎度のことながら、この番組ってテキストに落としても意味のない回が多いが、今回がまさにそれ(笑)。
忙しい方のための今回の要点
・氷河特集ということで北米、ヨーロッパ、南米の氷河に纏わる国立公園を紹介している総集編。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・現在は海外取材はいけないでしょうね。この手の番組は長期取材するのでストックはそれなりにあるでしょうけど、影響はむしろこれから先に出てくるかも。
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