教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/4 TBS系 世界遺産「最新の4Kと8Kカメラで撮影!比叡山の四季」

比叡山の四季を8K映像で収録

 比叡山は京都の鬼門封じのための霊山でもある。ここにある延暦寺が世界遺産となっている(京都の一環で)。今回は延暦寺を紹介しつつ、4K映像や8K映像のデモンストレーションがメイン。それをテキストで紹介するこのページって・・・。


『世界遺産』10/4(日) 比叡山の四季 放送25年スペシャル 4K8K特別篇【TBS】

 比叡山は冬は雪も降る厳しい土地。だからこそ建物にも工夫がある。現在改修工事中の根本中堂の屋根を見れば、水に強いサワラの木の厚板を使用したとち葺きという方法で、その上に銅板を葺いて雨が降れば銅イオンが溶け出すことで板を除菌して保たせるという仕掛けになっているのだとか。根本中堂には最澄が自ら刻んだという秘仏が奉納されている。

 雨の多い比叡山では湿気対策が重要。そのために石垣は水はけの良い穴太積みが用いられているという。大阪城の石垣にも用いられた高度技術である。

 

聖なる山比叡山

 比叡山にある高さ10メートルの大岩の金大巌は神の降り立つ岩として古来より崇められてきた存在である。元々比叡山は聖なる山だったのだという。ここに788年に延暦寺が築かれた。全山にお堂は500にも及んだという。細い尾根筋を進むと周囲には今はただの森となった平らな土地があるが、そういうところにはかつてはお堂が建てられていたのだという。そしてそこには大勢の修行僧がいたのだという。穴太積みの土台の石垣が今でも残っているカ所もある。お堂は尾根筋に建てられているが、これらはすべて水源を基にして、その周辺に立てられたのだという。

 坂本ケーブルの建設中、地面から大量の石仏が見つかり、今は線路脇に納められているが、これは比叡山焼き討ちでの犠牲者を祀るためのものだという。この焼き討ちを免れた唯一のお堂が瑠璃堂だという。ここには薬師瑠璃光如来像が祀られていたのだが、今は国宝館に移動している。番組ではわざわざこの像を戻して撮影している。100年前に修理されたという瑠璃堂の中の壁画は今でも鮮やかである。

 延暦寺の特別な聖域は浄土院である。ここで最澄が眠っており、一番奥の御廟の中で最澄は今も生きているとされている(高野山の空海と同じだ)。そして最澄が生きているとして、今でも毎日最澄に御膳が備えられているのだという。そのためにここにこもって修行する僧がいるらしい。

 

忙しい方のための今回の要点

・比叡山延暦寺は全山に500ものお堂があった。それらのお堂は尾根筋の水源を中心として設置されている。
・冬には雪が降る厳しい比叡山では、根本中堂の屋根は水に強いサワラの木の厚板で葺き、そこに銅板を貼ることで銅の殺菌効果で木を保たせるようになっている。
・信長の焼き討ちでは大被害を受けたが、唯一瑠璃堂だけは焼け残った。
・浄土院の奥の御廟では今でも最澄が生きているとされており、毎日御膳が備えられており、そのためにここにこもって修行する僧が存在する。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・延暦寺は一度行ったことがありますが、とにかく規模が大きいです。もっとも聖地である一方で妙に観光慣れしたところもあり、その辺りの聖俗のギャップもかなり感じましたね。そう言ったところは高野山も同様ですが。

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