教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

8/3 NHK あしたが変わるトリセツショー「謎多き大人の食物アレルギー解明&改善SP」

発症原因が分かりにくい大人の食物アレルギー

 今回は大人の食物アレルギーを紹介している。このテーマはガッテン末期でも扱っていたテーマである。なお食物アレルギーは子供の病気のようなイメージを持っている者も多いと思うが、実は大人になって突然に発症する者が少なくないのだという。また大人の食物アレルギーは思いもかけないところで発生することがあるという。

 最初に登場したのは納豆アレルギーの人々。中にはアナフィラキシーショックを起こして気を失って病院に運ばれたという人もいるのでかなり深刻である。アレルギー専門医である猪又直子医師は、自分の元に続々とやって来る納豆アレルギーの患者にサーファーなどマリンスポーツ愛好の共通点があったことから、ようやく原因究明に結びついたという。原因はクラゲだったのだという。中華料理で反応が出たことから分かったという。クラゲと納豆ではポリガンマグルタミン酸という共通物質が存在し(クラゲの刺胞に大量に入っている)、これに対しての反応が納豆アレルギーだったのだという。

納豆とクラゲが結びつくとは・・・

 

 

思いがけないアレルゲンつながり

 番組では「風が吹けば桶屋が儲かる」と表現しているが、このような思わぬ連鎖が起こる例は他にも多々あり、医師が使用する天然ゴムの手袋のせいでバナナが食べられなくなったり、インコを飼っていると羽毛を吸うことで鶏肉や卵が食べられなくなったなどがあるという。なお犬を飼っていてマダニに噛まれると牛肉や豚肉のアレルギーになるなんてこともあるという。

 さらに北海道ではリンゴや桃を食べると口が痒くなるというアレルギーが多いのであるが、これの原因が白樺による花粉症だったという。白樺花粉のタンパク質とバラ科のタンパク質の構造が類似しているのだとか。対策としてはやはり花粉を避けることだという。

 

 

治った例や特定の条件で発症する例など

 なお小麦アレルギーなどは小麦に触れることで発症するのだが、それを一切触れないようにすることで抗体が消滅して、3年で再び食べられるようになることもあるという。なおこれは個人差もあるので医師の指導の下でいう注釈付き。

 最後は特定の条件が重なった時に症状が出る食物アレルギー。これが食物依存性運動誘発アナフィラキシーというもので、単純にアレルゲンを摂取しただけでは症状が出ず、アレルゲン摂取の後に運動をした時に症状が出るのだという。患者は症状が出たり出なかったりすることから、アレルゲンが分からずに苦労する場合などがあるという。血流がよくなることでアレルゲンが体中に回って発症するのだとか。

 

 

 以上、大人の食物アレルギーについて。内容的にはガッテン末期でやっていたものからさして大きな変化はあるような感じではないが、重要な内容なので扱っておくことにする。なおこの番組、あまりに作りが下品なので最初からパスしてたんだが、最近改めて見るとかなりガッテン寄りになってきた印象(まだまだ下品な感じはややあるが)なので、内容次第では扱うことにする(今まで扱っていた番組が次々と終わってネタ不足になっていることもある)。

 アレルギーは近年かなり増加している印象があるので、多分人間の身体も環境の悪化などの何らかの影響を受けていると思われるが、その辺りはまだ不明である。私は以前から「食品添加物原因説」を取っているのだが、やはりかなり微量な領域の話であるのでなかなか実証が困難なようである。なお今後福一の汚染水放出などがあったら、将来的には海産物原因のアレルギーなどが増加する可能性があると思われるのだが、どうせそんな時も「因果関係が不明」で逃げるんだろうな。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・食物アレルギーは子供の病気のイメージがあるが、大人の食物アレルギーが増えている。
・大人の食物アレルギーの特徴は、発症原因が思わぬところにあること。
・例えば納豆アレルギーを発症している人は、クラゲに刺されたことが原因だったことが分かった。両者に共通するポリガンマグルタミン酸に反応していた。
・同様の例はゴム手袋のせいでバナナが食べられなくなったり、インコの羽を吸い込むことで鶏肉や卵が食べられなくなったりなどの例がある。
・また北海道で多いリンゴや桃へのアレルギーは白樺の花粉症が原因で、同様に花粉症から発症する果物のアレルギーも多い。
・大人のアレルギーはアレルゲンに接触することで発症することが多いので、アレルゲンを一切経って数年経ったら、抗体がなくなって反応しなくなることもある。
・またアレルゲンと運動が合わさった時だけ反応が出る食物依存性運動誘発アナフィラキシーという症状もある。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・正直なところ、作りとしてまだ下品なところは残っているが、内容的にはかなりガッテン寄りになってきた印象だな。しかしそうなればなるほど、ガッテンをわざわざ終わらせた理由が・・・。そろそろ小野アナを降ろしたかったのか? 彼女は今は広島に飛ばされてるようだが。しかし小野アナは別に政府や上層部に睨まれるようなことをやってはいないと思うが。

次回のトリセツショー

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