地中海一美しい海
スペインのイビサ島の海は地中海で一番美しいとされる。イビサ島と隣のフォルメンテーラ島との間の海と沿岸の遺跡や都市が世界遺産になっている。
年間800万人が訪れるイビサ島の海は地中海一透明と言われている。2つの島の間の浅瀬の海は2万年前まではつながった山脈だったが、後に海面が上昇したことで海中に没した。驚くほど透明な水の秘密は海底に大草原のように茂る海藻ポシドニアによる。かつては各地にあったが、今では群生地は地中海ではここだけになっているという。多くの生物がここに住み着いている。光合成をするポシドニアは浅瀬を好み、酸素を提供する。温暖化防止にも役立つのではと注目されている。ポシドニアの葉や根が水中の微粒子を捕らえることで透明な海になるのだという。ポシドニアの群生地の外では漁も可能である。漁師はポシドニアの草原と行き来する魚を狙って漁をする。
古代フェニキア人の遺跡
海洋民族フェニキア人はイビサ島を西の拠点としていた。2700年前の遺跡がここに残る。石切場ではマレスと呼ばれる砂岩が切り出されていた。フェニキア人はこの石で墓地を建設していた。耐久性のあるマレスで柩を作ったのである。ダチョウの卵や黄金の指輪などが地下の墓所に副葬されていた。またフェニキア人はこの地に塩田をもたらした。イビサの塩は高品質でかつては金と同様の扱いをされていた。塩は各地と交易された。
またフェニキア人が暮らした街の遺跡も南部の高台に発見されている。800人が暮らしていたという。精錬所の後も残っており、金属加工技術を持っていたことが判明している。
イビサ島の隣の基岩の島エス・ヴェドラは聖地とされ、その対岸のイビサ島に神殿が築かれた。その後は今も残っている。フェニキア人の遺跡はほとんどが崖の上にあり、その町を滅ぼしたローマ人も同じ場所に町を作ったという。そして16世紀にスペインが城塞都市ダルト・ヴィラを建設した(世界遺産)。城壁に囲われた堅固な町であるが、この街の中から2700年前の遺跡も見つかっている。
忙しい方のための今回の要点
・スペインのイビサ島は地中海一美しい海と言われている。
・ここの海底には海藻ポシドニアの群生地があり、それが透明な水の秘密である。またたポシドニアの草原は多くの生き物の住処となっている。
・2600年前、海洋民族フェニキア人がイビサ島を地中海の西の拠点としており、当時の石切場の跡や都市の跡なども残っている。
・断崖の上の町は、後にローマ人がその上に都市を築き、さらに現在はスペインが築いた城塞都市ダルト・ヴィラが存在する。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・いかにもルネサンスの時代を感じさせる都市になっています。しかしその都市が今もそのまま残っているというのがすごいと言える。日本にはそういうのはないから・・・。
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