ヨーロッパの温泉リゾート
今回はヨーロッパの温泉保養地といういささか毛色の変わった内容。温泉都市群で世界遺産になっているらしい。温泉都市群は7カ国の11箇所に及ぶという。
まずドイツ南西部には黒い森の中にヨーロッパを代表する温泉地バーデン=バーデンが存在する。バーデンとは入浴の意味なので、まさにその名の通り。山の中で12の源泉が湧き出しているという。150年前に作られたフリードリヒ温泉はまだ現役の施設である。各国から要人も入浴に訪れたという。プライベートスパも存在する。そして地下には古代ローマの浴場の遺跡が残っている。この地は上流階級をターゲットにした温泉リゾートして売り込まれた。そのために豪華な宿泊ホテルも建設され、それらも世界遺産となっている。コンサートホールの入った複合施設もあり、カジノなどが人気を集めたという。
イタリアとチェコの名湯
イタリアのトスカーナは名湯の郷である。ヨーロッパ有数の火山地帯であちこちで湯が噴き出している。古代ローマの時代から愛された階段状の温泉などが今も人気を博している。山の上の中世に作られた市街の麓に温泉保養地のモンテカティーニ・テルメが存在する。温泉街は250年前に誕生したが、18世紀に作られたテットゥッチョ温泉は大理石の柱が並ぶ古代ローマをイメージした施設である。ここのぬるめの温泉は入浴する温泉ではなく、飲泉するための温泉である。ミネラル分の高い塩っぱい湯であり、飲むと内臓などに効果があるとされている。4種の源泉があり、症状に合わせてどれを飲むかが処方されるという。山の上にはケーブルカーで登れ、そこで宿泊したりする。ここにはかつてヴェルディが暮らしたという施設もあって、今はホテルになっている。
チェコには3ヶ所の温泉地が含まれる。カルロヴィ・ヴァリは世界的温泉地。川沿いに温泉地が広がっている。地下2000メートルから噴き上がるヴジードロ温泉がある。毎分2000リットルもの73度の湯が噴き出ししているのだという。入浴はできないが有数の観光スポットである。コロナーダと言う円柱を備えた建物があるが、ここは温泉を飲むための建物だという。飲泉専用のコップも売店で売られている。湯は鉄分を豊富に含むという。
忙しい方のための今回の要点
・ヨーロッパ7カ国11ヶ所に及ぶ温泉都市群が世界遺産に指定されている。
・ドイツ南西部のバーデン=バーデンはヨーロッパを代表する温泉地である。ここはかつて上流階級をターゲットにした温泉リゾートとして、各国からの要人も訪れた。
・イタリアのトスカーナは名湯の郷で、温泉保養地のモンテカティーニ・テルメではミネラル豊富な源泉を飲泉することができる。
・チェコのカルロヴィ・ヴァリは川沿いに伸びる世界的温泉地である。ここでは地下2000メートルから噴き出す温泉を見学出来る。また飲泉用の施設も存在する。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・温泉といえば日本のイメージですが、実はイタリアなんかもしっかり温泉文化はあります。もっとも向こうの温泉は水着着用で混浴(ローマ時代などは水着を着けずに混浴だったらしいが)なので、日本の素っ裸になる風呂文化には馴染めない外国人もいるとか。
前回の世界遺産