教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/9 BSプレミアム 偉人達の健康診断「源義経 バランス感覚は身を助ける」

本当は美少年ではなかった?

 今回の主人公は源義経。昔から悲運の美少年というイメージがあり、今ならジャニーズ系というようにされているのだが、実際はどうだったか。

 当時は寺に仕える児童は芸事などに狩り出されていたので、美少年の需要は高かったらしい。しかし義経の預けられたのは山奥の鞍馬寺ということから考えると美少年でなかったのではとのこと。また出っ歯だったという話もあるようで、これも美少年イメージとはズレる。ただ当時の美少年と言えばふくよかで目が細くてということなので、今日のジャニーズ系だと美少年の部類には属さない。義経の体格は残された甲冑によると身長は140センチ台で、体重も40キロ台というかなり華奢な体格。また出っ歯という話は平家の関係者が残しているので誹謗中傷の可能性もあるらしいから、いよいよジャニーズ系の可能性はあり(笑)。

 

鞍馬山で鍛えた卓越したバランス感覚

 また義経と言えば鵯越の逆落としのようにとんでもない作戦を使用したが、これができたのは卓越したバランス感覚があったと思われる。人間のバランス感覚に重要なのは視覚、三半規管に並んで体性感覚というのがあるという。体性感覚とは体に地面などが接していることを感じる感覚で、これによって自分の体の姿勢などを感知するのだとか。義経と言えば天狗に武術の鍛錬を受けたとの伝説があるが、この天狗とはいわゆる山伏などであったと考えられ、山伏と言えば一本歯下駄が有名。この一本歯下駄を履くのはまさに体性感覚を鍛えるのに最適とのことで、現在スポーツの訓練などにも取り入れられているとか。義経がこの下駄を履いて、足下の悪い鞍馬山を走り回っていたとしたら、人並み外れたバランス感覚の持ち主になっていた可能性があるという。

義経はADHDだった?

 その大活躍で平家を滅ぼした義経であるが、独断専行などの行動が回りの御家人衆から疎まれ、また兄の頼朝からも不審を買うことになってしまう。しかしどうも義経はなぜ頼朝が怒っているのかを理解していない節が見られるという。これは義経がADHDであった可能性が高いという。ADHDはいわゆる脳機能の発達障害というもので、落ち着きがない、キレやすい、他人の感情を理解できないといった症状が出る。義経の衝動的な行動などを見ているとまさにこれが当てはまるのではとのこと。結局は兄の頼朝と対立を深めた義経は、最後はそれで命を落とすことになる。

 以上、義経について。最後の義経はADHDだったというのは「あっ、言われてみると確かにそうかも」という気がしました。なお義経に一種の社会性の欠如があったのは、鞍馬寺という下界との交流が少ない場所に一人送られたという環境もかなり大きく影響しているように思われます。回りに人がいた頼朝と違い、義経は社会性を身につける機会が決定的に欠如していたように思われます。何にせよ、最後に生き残るのは有能な奴よりも人に好かれる奴ということで、どことなくサラリーマンの処世術のような気も・・・。

 

忙しい方のための今回の要点

・美少年のイメージのある義経であるが、当時の基準では美少年ではなかった可能性が高い。
・義経のたぐいまれなバランス感覚は、山中で一本歯下駄によって体性感覚を鍛えたことによると推測される。
・最後まで頼朝の心情が理解できなかった義経は、ADHDであった可能性が高いと考えられる。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・発達障害は近年になって注目されだしていますが、決して珍しい症状ではないとか。昔はただの変人と言われていた人も、現代は何らかの精神医学的病名が付く場合が多いです。最近になって精神疾患の患者が増えていると言われているのは、高ストレス社会になったというのもありますが、実は病名が増えたからというのも大きいと言います。
・この前の信長の足半といい、とにかく足の裏を鍛えろが多いですね。だけど確かに靴を履いてばかりいたら、足の裏を鍛えるどころか足の指なんてほとんど動かなくなります。私も足の指でビー玉を挟むなんてほぼ無理です。足の指を動かそうとすると、なぜか手の指が動いてしまう(笑)。

 

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