教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/15 NHK ガッテン「戻し0分でうまみ30倍!?真・干しシイタケ究極活用術」

 今回のテーマは、今これを加えたバーガーがUMAMIバーガーとしてアメリカで大評判という干しシイタケ。

干しシイタケの驚きの効果

 まず干しシイタケと生シイタケの違いであるが、生シイタケは菌床に菌を植え付けると3ヶ月で出てくるのでそれを収穫。これに対して干しシイタケの方は原木に菌を植え付けて収穫は2年後。圧倒的に手間がかかっている。また木の表面を割って出てくるのでしっかりとしたシイタケになっている。こうして収穫したシイタケを干して干しシイタケとなるという。

 ではわざわざ干す意味なのだが、シイタケの細胞内のリボ核酸と酵素が、干すことによって細胞が壊れてくることによって作用し、グアニル酸を生成するのだという。そしてこのグアニル酸はうまみを増す効果があるという。グルタミン酸にイノシン酸を混ぜるとうまみが7倍になるが、そこにさらにグアニル酸を加えるとうまみは何と30倍になるという。

干しシイタケが体に変化を与える

 なぜこのようなことが起こるのかを研究した研究者もいるようだ。番組ではデンマークのコペンハーゲン大学のオーレ・モウリットセン教授の元を訪問している。彼の研究によれば、グルタミン酸が普通に舌の味蕾に作用しただけなら洗い流されてしまうのだが、そこにグアニル酸がやって来ると、味蕾の口が閉じるような変化が起こり(「パックン」だそうな)、グルタミン酸が流れなくなるのだとか。そのことによってうまみが長く持続することになるのだとか。

 

干しシイタケ活用法

 しかしこんなシイタケも実はあまり一般には使われていない。その一番の理由は戻しに時間がかかると言うこと。冷水で戻すには3~5時間はかかるとのこと。ぬるま湯で30分で戻す手はあるが、高温になるとグアニル酸を分解する酵素が働いてしまうので、どうしても味が落ちてしまうのだとか(だから冷水で戻す時には冷蔵庫に入れておく)。

 何とかこれを短縮する手はないかということだが、ここで登場するのは干しシイタケの産地である大分県庁のシイタケ班の面々。大分の特産物である干しシイタケの普及活動のために、日夜かぶり物をしてまでも頑張っている連中(県庁の職員も大変だな・・・)。ここで開発された方法は、漬け物などの真空容器に入れて、空気を抜き続けるという方法。これだと5分で戻しが完了・・・とのことだが、かなりハードな方法で、志の輔氏は最初からほとんどする気はなし、途中で呼び出された宮森君もすぐにダウン。と言うわけでもっと良い方法はないの?という話になる。

 で、番組が編み出した方法が、干しシイタケをおろし金でおろして粉末にしてしまうという方法。これで見事なうまみ調味料となる。これをアイスクリームにかけて食べると、普通のアイスクリームが突然に高級アイスに。干しシイタケが嫌いな子供も喜んで食べるということで万々歳。しいたけ日本一農家の清原米蔵氏も大感激で目出度し目出度しの大団円・・・なんがだ、この方法だと筑前煮は作れんぞ!!

 

 と言うわけで干しシイタケをうまみ調味料にして活用する方法は提案しましたが、実のところ戻し時間の問題については現状では決定打はなしです。5分間ポンプをシュコシュコやるか、冷蔵庫に5時間放り込んでおきましょう。

 なおこれとよく似たのを以前に見た気がするなと記憶をたどってみたら、以前に干しエノキタケをうまみ調味料にするという話があって、この時も確かアイスクリームにかけていたという記憶が。うろ覚えなんだが、干しエノキを凍らせておろすんだっけ? 結局はキノコ類ということで同じ手が使えると言うことか。何か話の主旨も似ていた記憶が・・・「パックン」は出てこなかったのは確かだが。

 


忙しい方のための今回の要点

・干しシイタケはシイタケを干すことによってグアニル酸が生成し、このグアニル酸はグルタミン酸の旨味を30倍にする効果がある。
・最新の研究によると、グアニル酸は舌の味蕾に付いたグルタミン酸が洗い流されることを防ぐことでうまみを強めるのだという。
・干しシイタケは冷水で5時間戻すのがベストだが、急ぐ場合には真空容器で5分脱気を続けるという方法がある。もっともこの方法はかなりハード。
・干しシイタケをおろし金でおろすことでうまみ調味料として使える。これをいろいろな料理に加えるとうまみが大幅アップでアイスクリームも高級アイスに。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・シイタケパウダーのメリットだが、戻し時間がないために干しシイタケ特有の香りがほとんどしないとか。実を言うと私は干しシイタケが苦手で、その最大の理由はあの独特の乾物臭です。それがしないのなら活用方法があるかも。
・今回は大分県庁シイタケ班が登場しましたが、実はあの手のことをやらされる職員は全国各地でいろいろいます。地方公務員も決して楽な仕事ばかりではないということでしょう。なお仕事柄広報のようなものですから、大分県庁としてもできる限りの綺麗どころをメンバーに選んだのではという気もします。会社なんかでも綺麗どころの行く先は、広報か、本社の受付か、社長秘書かなんて話もありますが(笑)。

 

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