教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/17 BS11 歴史科学捜査班「伊達政宗 毒殺未遂事件 元刑事が徹底捜査」

 今回は伊達政宗が実母である義姫に毒殺されかかったという事件の真相について、元刑事である吉川祐二氏が徹底捜査をするというのだが・・・そもそも400年前の事件を刑事が何を捜査するというのか? これは以前にも坂本竜馬でやって散々マヌケな結果になっているのに、なんでまたやるのかな・・・。

元刑事の空振り捜査

 で、吉川氏はまた懲りずに「事件は現場が大事」と義姫が住んでいた西の館があったという福島の会津若松に行くのであるが、義姫が政宗を毒殺しようとしたという言い伝えが残っているということが分かっただけで捜査は暗礁に・・・ってそもそも400年後の現場検証なんて意味がなかろう。会津若松を今現場検証して意味がある歴史的事件なんて、白虎隊がギリぐらいである。

 次は遺留品調査と称して古文書を調べるということで仙台に赴くのだが、ここでは元仙台市博物館の館長の佐藤憲一氏に伊達家の正史に義姫による毒殺未遂の件が記されているという話を聞いて、後は仙台市博物館を観光旅行して終わり。

 その次は義姫の人物を調べるとして山形に行き、最上義光歴史館を訪れたり、当時の最上家の重臣の末裔の元を訪れて義姫が使用していたという能面と笛を見てくるが、結局義姫のことは特に分からず・・・というわけで、吉川氏はまたも単なるピエロ。

政宗毒殺未遂事件に疑問

 これだけだとあまりにマヌケなので、この後再び先の元仙台市博物館長の佐藤氏から奇妙な手紙を紹介される。それは朝鮮出兵した政宗が母・義姫に宛てたという手紙。それを見ると、とても毒殺されかけたと思えない親密さが感じられるのだという。さらに政宗の父・輝宗の菩提寺である覚範寺の初代住職である虎哉宗乙の手紙に決定的な記述があるという。そこには義姫が山形に出奔したとの記述があるのだが、それは毒殺未遂事件があったとされる時期の4年後なのだという。つまりは毒殺未遂事件があって義姫が山形に逃げ帰ったというのは間違いだとのこと。ではなぜ4年後に出奔したかだが、その頃に義姫が政宗を毒殺しようとしたという噂が家臣などに広がり、義姫はその目を避けるために出奔したのではとの推測である。

 もう完全に吉川氏と無関係に話は進んでいるのであるが、ここで再び吉川氏が登場して科学捜査は筆跡鑑定とのことで、古文書の鑑定方法を学芸員にインタビュー。その結果、花押の形や使っている紙などで鑑定するなどという話を聞いている。そこでそれを使って今までの証拠を鑑定するのかと思っていたらさにあらず、これは話を聞いただけで終わりというあまりにマヌケすぎる内容。何やってるの!?

弟・小次郎は実は生きていた

 最後は政宗に手討ちにされたという弟・小次郎が実は僧侶・秀雄として生きていたのではという文書を紹介。そして佐藤氏が再び登場して、この毒殺事件は政宗と義姫による狂言で、政宗派と小次郎派の内乱を防ぐためのものだったという説を解説して終了。

 というわけで今回大車輪の活躍をしているのは元仙台市博物館長の佐藤憲一氏であって、元刑事の吉川氏は何の意味もなしてません。せいぜいが単なるリポーター。これは当たり前で、400年前の事件なんて刑事ではなくて歴史学者の出番です。元刑事と強調すればするほど、何か吉川氏が馬鹿に見えてくるんですが・・・。何のために出してるの? 私だったらこんな馬鹿にされているみたいな扱いの出演は絶対断りますが・・・。それとも自分は単なる元刑事タレントと割り切ってるんでしょうか?

 無名の元博物館長の自説を紹介するだけだったら番組としての盛り上がりに欠けると考えての演出かもしれませんが、それこそ全く余計な代物というものです。この番組の構成、吉川氏自身はどう考えてるんだろうか? 私なら怒りますよ、こんな扱い。

 


忙しい方のための今回の要点

・政宗を母の義姫が毒殺使用した事件であるが、事件後も義姫がそのまま政宗と暮らしていたとか、弟の小次郎が実は生存していたことを示す文書などが発見されており、事件自体が狂言であった可能性が浮上している。
・事件が狂言であったとしたら、その目的は家中が政宗派と小次郎派に分裂して対立することを懸念してのものであったと考えられる。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・今回の番組を見ていての一番の謎は、政宗毒殺未遂事件の真相云々よりも、吉川氏はこんな扱いで納得しているのかということです。これで納得してるのなら、彼は自分のことを単なるテレビ芸人と思っているということで、殊更に専門家を強調するようなものではないということになりますが・・・。