現在東京都美術館でクリムト展が開催中ということで、その美術館に貫地谷しほりが出向いて(撮影したのは多分休館日でしょう)クリムトを紹介。相変わらず安い番組の作りをしているな。
旧約聖書の英雄を描いた絵
例によって貫地谷しほりが「ユディト」を見てああだこうだ言ってるんですが、前回の登場時には「すごい」しか言えなかったので、今回は明らかに言うべきことを横から誘導しているのが分かります。で、気になったのは女性の顔色がやけに悪いことと、また表情に性的なものを感じる。さらに下に描かれている男性は? ってこと。
ユディトとは旧約聖書に出てくる女性で、町が攻められた時に敵軍の将軍を誘惑して、寝ている時に首を取ってしまって敵軍を壊滅させたという英雄的女性です。つまりは下に出ている男性は生首と言うこと。
写真家にこの絵についてのコメントを取っていますが、とにかく普通は使わないライティングが気に掛かるとのこと。通常はレンブランライトと呼ばれる左右からの柔らかい光を当てることで表情を映し出すのだが、この絵は頭の上からライティングするトップライトにしているとのこと。このライティングだと顎の線などがハッキリと出て、顔がかなりキツくなるとのことである。
絵のモデルとクリムトの関係
さてこの絵のモデルだが、クリムトを援助していたユダヤ人実業家の妻で、クリムトの愛人との噂もあったアデーレ・ブロッホ=バウアーという女性。つまりは性的な表情というのは愛人関係があったから引き出せたのではとの話。
クリムトが描こうとしたもの
またこの時代ぐらいから女性が外で働くようになり、自立した強い女性が登場し始めていたという。彼女もそういう強い女性の一人であり、クリムトはそういう強い彼女を旧約聖書の英雄に重ねたのではとのお話。
後はこのキンキラキンは日本からの影響という話が出て、内容はその程度。ハッキリ言ってかなり中身が薄いです。正直なところ、ミュージアムショップをウロウロしている貫地谷しほりを紹介するような暇があるなら、せめてベートーベンフリーズをもっとまともに映せと言いたい。安作りなだけでなく、ポイントの当て方も完全にダメダメです。
で、次回は太陽の塔をまた又吉が・・・。これもまたかなり安い作りなことが初っ端から分かるような内容。だんだんと本当に嫌になってきた。特に又吉の回ってツラいんですよね。文化人ぶって背伸びして、無理に含蓄のあるコメントをしようとして苦労しているのがもろに見えるんで。
忙しい方のための今回の要点
・クリムトの「ユディト」は旧約聖書の英雄であるユディトを、愛人であったアデーレ・ブロッホ=バウアーをモデルに描いた作品。
・アデーレ・ブロッホ=バウアーは当時増えてきていた自立した強い女性の一人であり、クリムトはそういう彼女をユディトに見立てて描いたと思われる。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・クリムトを扱いながら、ベートーベンフリーズを始めとして他の絵をほとんどまともに出していないという時点で、今回は美術番組としてダメダメです。やっぱり作りがもろにバラエティの作りになっている。やっぱりゲストをなしにするしか根本的な改革は無理なように思える。
・というわけで、私も遠からずこの番組からは落ちるかもしれません。最近は段々と見ること自体が苦痛になりつつありますので。本当にこれだと昔の番組を再放送した方がずっとマシだわ。