主にドイツを流れるライン川。今回はこのライン川下りをしている。
川沿いに並ぶ多数の古城
ライン川沿いには中世の古城が多数建っている。これらの古城にはそれぞれ栄枯盛衰があり、フランス軍に攻撃されて今では荒れ果ててしまった廃墟となっている城や、かつて盗賊の根城となっていた城など様々な歴史を持つ城があるという。
これらの古城が建設された理由は、ライン川を行き交う船から通行税を徴収するためだという。川沿いの町はこの通行税によって非常に潤っていたという。中には川の中州に建つ軍艦のような形をした城もあり、大砲なども装備して行き交う船から漏れなく通行税を徴収していたとか。なお今日でもライン川は重要な水運ルートである。
ローレライ伝説の真相
さらに下流に行くと船乗りを惑わせるローレライ伝説の場所がある。実はローレライというのはライン川に張りだした小山の名前で、この山があることで川は大きく蛇行して流れも早くなっており、この地は船乗りにとっては難所なのだという。それが船を沈めるローレライの伝説となったとのこと。
大蛇行とワインとローマ帝国
さらに進むと今度はボッパルトの大蛇行といわれるヘアピンカーブにさしかかる。この地は南向きの斜面と川からの照り返しのおかげで良質のブドウの産地となっているという。ここで作られたワインは全国的に有名だという。なおこの地にワインを伝えたのは古代ローマ人であり、ボッパルトの町には古代ローマ時代の城壁が各地に残っている。そしてこれらの城壁は今では民家の壁の一部になっていたりするとのこと。歴史と共に生きる町である。
天空の城
また古城の中で唯一フランス軍に破壊されることなく中世のままの姿を保っているのがマルクスブルク城。この城では今でも城を維持するために人が住んでいるという。ただし防御を固めた古城では、門をくぐってから住居にたどり着くまでに200メートルもの屈曲した通路を抜ける必要があるので大変だとのこと。しかしここに住んでいる人によると、ここに住む一番の魅力は眺望の良さにあるという。また朝に霧が立ちこめると雲海に浮かぶ天空の城となり、その美しさは筆舌に尽くしがたいとのこと。
以上、ライン川沿いの風景について。こんな内容はやっぱり文字に起こしても仕方ないな(笑)。最後のマルクスブルク城なんて、まさに竹田城そのものでした。やっぱりこういう古城は浪漫を誘います。もっとも私は住みたいとは思いませんが(笑)。
忙しい方のための今回の要点
・ライン川沿いには30もの中世の古城が残るが、これらの古城はライン川を行き交う船から通行税を徴収するために建造された。
・ローレライ伝説のローレライとはライン川に迫り出した小山の名で、ここが通行の難所であったことからローレライ伝説が誕生した。
・ボッパルトではライン川は大蛇行しており、ここの斜面はブドウの産地として知られている。また町の中には古代ローマ時代の城壁が残っている。
・中世のままの姿で残るマルクスブルク城では、朝霧が発生した時には美しい天空の城となることで知られている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・ライン川は昔から水運の大動脈であると共に、防衛線の一つでもありました。古代ローマはこの川を蛮族との境界線にしていたようです。
・川沿いに城を作って通行税を徴収するというのは、日本では瀬戸内海で同様のことが行われてましたね。村上水軍とかがまさにそれです。そしてそういう連中はやがて巨大権力の登場によって駆逐されるというのが歴史の流れです。