今回は遠山金四郎の実像に迫る・・・という内容かと思っていたらさにあらず。江戸時代に発生した事件を紹介するという内容だった。なんか肩透かしである。
裁量の入った江戸時代の裁判
江戸時代の裁判を今と比較すると、違うのは再審などがないと言うことと、奉行などが一人で裁くのでそこに裁量の余地があるということ。遠山金四郎などが名奉行と言われているのは、そこに情が通っていたからだが、これは現在の裁判官では御法度である。
放火は大罪
江戸時代の大罪と言えば放火。木造建築の多い江戸では火事がしょっちゅう起こっていたために放火は基本的に死罪だった。中で世の中を驚かせたのは、小櫛金之助という武士が起こした連続放火。実は彼は組同心という江戸を警護する立場だったという。つまりは警察官が放火魔だったということで、彼は火事を見ると興奮する異常者だったらしい。どうもこの時代からこの手の異常者はいるようで、当然のように彼は死罪となった。
また有名なのは八百屋のお七の事件。彼女は火事の時に避難した先の寺の寺小姓の吉三郎と恋仲になり、吉三郎に会いたい一心で放火をしてしまうという事件。その放火はぼやで済んだそうだが、火付けは大罪ということで彼女は火あぶりになっている。この時の彼女は十代なので今なら少年法で守られるところではある。
鼠小僧は義賊ではなかった?!
さらに義賊として有名な鼠小僧であるが、実際の彼は義賊でも何でもなく、盗んだ金は自分で使っていたという。ただ彼がターゲットにしたのが大名屋敷などだったために、庶民の間で義賊伝説が生まれてしまったのだとか。この辺りは今日なら正確な報道によってこのような誤解が生まれる余地はない。
江戸時代の逮捕術
この後、番組では当時の捕り物術を検証しているが、要は梯子などで取り囲んで動きを押さえてから刺叉などで取り押さえるというのが当時の捕り物スタイル。これは刀などを振り回す凶悪犯を犯人の命を保った上で身柄確保することを狙った方法である。なお今日でも刺叉の有効性は言われており、不審者対策のために装備する学校なども増えている。
こうして身柄を取り押さえた犯人は取り調べを受けるわけだが、当時は口を割らせるのに拷問が普通に行われていた。しかし今日では拷問で自白を強要することは非効率かつ無意味ということになっており、もっと心理的誘導や物証などを使用することになっている。
最後は江戸城から4千両を盗み出した犯人の紹介と、江戸時代は身分制度があったために、身分が上の者に害を与えた場合には罪が重くなったのが今日とは違うというような紹介があって終わり。正直なところ、あんまり中身がなかったな、今回。そもそも検証も、梯子を使っての捕り物をしただけだし。
忙しい方のための今回の要点
・江戸時代の裁判は奉行などが一人で裁くために、そこに裁量の入る余地があった。
・江戸時代は放火は大罪であったために原則は死刑。八百屋のお七などは十代だったのだが死刑になっている。
・当時の捕り物には刺叉などの他に梯子も用いられていた。梯子で取り囲んで動きを封じ、刺叉などで取り押さえることで犯人の身柄を確保していた。
・当時は今日ではタブーとなっている拷問も日常的に行われていた。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・うーん、今回の内容は「何を今更」と言うのが多く、正直なところあまり面白くなかったな。そろそろこの番組もネタ切れかな・・・。それにしても毎度毎度、元刑事の吉川氏が登場すると必ずその回はハズレなのはなぜ?