教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

9/4 NHK ガッテン「心疾患&糖尿病をダブルで予防!すごさ再発見"あの栄養素"とは」

 今回のテーマは体の中で重要な役割を果たす金属について。その金属は何かというところが今回の鍵となっている。

体に含まれる金属の種類は?

 で、番組冒頭でいきなり登場するのが60種類の金属のサンプル。金、銀、白金なんてところまで入っている。なお金属によっては火を吹いたりなどするヤバいものもあるので(ナトリウムにカリウムなど)、危険物取扱者の免許所持者が同行しております。ちなみにこの役なら私も出来ます(笑)。一番のポイントはナトリウムやカリウムなどが火を吹いた時には消火に水は厳禁で、消火方法の基本は乾燥砂ってことです。甲種危険物の試験の消火方法で困ったら、とにかく乾燥砂と書いておいたらどんな時もまず間違いはないというのは鉄則の一つです(笑)。

 次は体内に何種類ぐらいの金属が含まれているかと言うことを、この番組の若手ディレクターが自らサンプルになって調査してます。彼から集めた血と汗と涙を検査したところ、多数の金属のピークが・・・というわけでその種類60種。つまりは先ほど登場した金属はすべて体に含まれているものだったというオチ。

 と言うことは体にの中に金や白金も含まれてるの? と疑問に思うかもしれませんが、実際に含まれてるんです。じゃあいくらぐらいになるの? というゲスな疑問のために番組ではわざわざ計算してくれてます。結果は1131円・・・意外に安い。要は大半はカルシウムで、金などはあるもののごく微量だからということ。

 

体にとって重要なその金属とは

 で、本題の今回のテーマ、体に重要な金属とは何かだが、それは金偏に美と書いてマグネシウム。地球上に非常にありふれた金属なのであるが、これが重要なのだという。

 マグネシウムと言えば、理科の実験のマグネシウムリボンの燃焼実験などで有名。大昔にはカメラのストロボで使ってました(ゲストの高橋英樹や志の輔氏などはもろにこれを体験している世代のようですが、私の頃になるともうほとんどなくなってました)。これが体内でどういう働きをしているかを、番組では例によって模型で説明。

体内の酵素を活性化するマグネシウム

 つまりはマグネシウムは細胞内にある酵素の働きを活性化する効果があるのだという。これが心筋で作用すれば心臓の働きが強化されることになる。そして最近の臨床実験で心疾患と糖尿病にはマグネシウム摂取量が影響していることが判明したとのこと。マグネシウムが血管を拡張する酵素を活性化して血圧を下げたり、細胞が糖分を取り込む酵素を活性化して血糖値を下げるそうな。

 あまりに普通すぎる金属なので今ひとつ印象が地味だったのだが、実は重要な働きをしているということ。そして問題なのは体にストレスがかかるとマグネシウムの排出が促されてしまうのだという。番組ではこれを宮森くんがモルモットとなって、算数ドリルを3時間解き続けるという滅茶苦茶しんどい実験で示している。3時間後には尿中のマグネシウム量が1.4倍になってしまったというオチ。

 

マグネシウムを摂取するには

 ではマグネシウムをどうやって摂取するかだが、これが他の番組だったら「サプリメントを飲みましょう」となるところだが、この番組の場合は食材で摂るのが基本。その食材はひじきなどの海藻類から、アーモンドなどのナッツ類、さらにマグロ、ほうれん草などの野菜、さらには豆腐など結構いろいろある。まあありふれている金属だけに、いろいろに含まれているようだ。ただその割には日本人はマグネシウム不足だとか。高齢者ほど不足量が少ないことから、和食の食材にマグネシウムが多いらしい。ただし取り方に注意が必要でマグネシウムは熱には強いが水に溶けやすいので、細かく刻んで水洗いすると流れてしまうとのこと。出来れば丸かじりが一番良いようである。なおマグネシウムは摂りすぎでの副作用というのはほとんどないというのが、登場した専門家の言であるが、番組では「サプリメントを使う時には服用量を守ってください」との注釈付き。サプリメントを馬鹿ほど摂れば、あっという間に許容量を超えてしまうのでこれは危険であるので、NHKとしてはやはり警告はいるのだろう。

工業分野でも注目されるマグネシウム

 で、最後は観点を変えて工業的に使われているマグネシウムを紹介。マグネシウムと言えば軽くて丈夫なマグネシウム合金なんだが、これまでは燃えやすさが問題となっていた。しかしこのほど、熊本大学で燃えにくいマグネシウム合金が開発されたとのこと。この材料は航空機などへの利用などが期待されているとのこと。これはどちらかと言えばこの番組よりも、サイエンスZERO向きのネタだな。


 以上、あまりにありふれているので注目されていなかった大事な金属マグネシウムについてでした。ところで酵素が活性化する模型。なんでマグネシウムパワーを現すのがアイアンマンだったんだろう? あれだとマグネシウムでなくて鉄だ(笑)。ちなみに私は亜鉛かと思ってました。まさかマグネシウムとは意表を突かれた。

 


忙しい方のための今回の要点

・人間の体内には実に60種類もの金属が含まれている。
・その中でマグネシウムが細胞内の酵素の活性化に大きな働きをしていることが分かっている。
・臨床実験の結果、マグネシウム量が多いほど心疾患や糖尿病が抑制されることが確認された。これは血管を広げたり、細胞内に糖分を取り込む酵素の働きを活性化することによる。
・マグネシウムはいろいろ食材に含まれているが(特に和食の食材に多い)、水に溶けやすい性質があるので、刻んで水洗いすると減少してしまうので注意。
・近年は燃えにくいマグネシウム合金が開発され、航空機材料などに期待されている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・マグネシウムの粉末を使ったストロボなんか、もう知らない世代がほとんどになってしまったんですね。私は直接は使ったことがありませんが、マグネシウムという金属を紹介する時は「ストロボで使うやつ」という説明をするのは定番だったんですが。時代が変わったということですね。段々と自分が時代遅れになっていくことを感じる。
・なおマグネシウムも燃えやすいとう点で危険物ですが、意外に知られていないところではアルミニウムも粉末などにすると危険物になります。非常に燃えやすい上に水分で発火したりするので。この辺りも甲種危険物取扱者の免状を取るための試験に出ます。で、対処は乾燥砂(笑)。