教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/27 TBS系 世界遺産「アルゼンチン…赤と白の奇岩地帯」

 アルゼンチンのイスチグアラスト・タランパジャ自然公園群は赤と白の奇岩地帯が隣接している。

白い奇岩の大地から発見された世界最古の恐竜

 白い大地のイスチグアラスト州立公園には月の谷と呼ばれる奇岩の谷がある。ここの岩は脆いために風によって浸食され、細長い柱が立っていたりなど地球離れした光景が広がる。また地面に30センチぐらいの球体がゴロゴロ転がっている場所もある。これは何かの生物の死骸を核にしてカルシウムなどが蓄積した物と推測されているらしいが、その詳細は不明だという。

 ここの地層は三畳紀の物で、ここからは世界最古の恐竜の化石も発見されている。肉食恐竜でありながら雑食性のエオラプトルと、肉食恐竜のエオドロマエウスである。これらの恐竜は体長1メートルほどしかなく、二本の足で素早く動き回っていたと考えられる。

 

赤い断崖の大地から発見された恐竜たち

 一方隣のタランパジャ国立公園には赤い岩の断崖が聳える。こちらの地層は隣の白い大地よりは新しい物である。赤い色は砂岩の中の鉄分が酸化することでついた物である。岩の中の成分の違いによって岩の色が変わるのだが、そのような地層が縦に連なっている箇所もある。これは昔に隆起した地層が、プレートの動きで歪んでから浸食されたために発生したと考えられている。このような模様の見える虹の谷と呼ばれる地形も存在する。

 こちらでも恐竜の化石が発見されている。全長18メートルにも及ぶ巨大草食恐竜レッセムサウルスである。恐竜は数千万年で1メートルからここまで巨大に進化したのである。また赤い大地にジャガイモのような丸い石がゴロゴロと転がっている場所があるのだが、この石は糞の化石なのだという。そしてこの糞をしたのが体長3メートルの哺乳類イスチグアラスティアである。イスチグアラスティアは子育てもしていたと考えられている。この地は彼にとって餌が豊富な森林だったのである。また体長5メートルの鰐の仲間サウロスクスの化石も発見されており、豊かな大地を巨大な獣たちが闊歩していたようである。

 この地域はそのまま恐竜の進化の過程を残しており、それが貴重な理由である。最近になって今まで恐竜の化石がほとんど発見されていない2億2千万年前の化石が発見されて研究が進められているとか。このような恐竜の歴史をとどめる貴重な地として世界遺産に認定された。

 

忙しい方のための今回の要点

・アルゼンチンのイスチグアラスト・タランパジャ自然公園群の赤と白の二種類の大地がある。
・イスチグアラスト州立公園には月の谷と呼ばれる白い奇岩の大地があり、ここからは世界最古の恐竜の化石が発見された。
・隣のタランパジャ国立公園は赤い砂岩からなる大地で、ここからも巨大な恐竜の化石が多数発見されている。
・この二つの大地を合わせることで恐竜の進化の歴史を物語っており、それが貴重であるとして世界遺産に認定された。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・やはり大陸には日本と違ってとてつもない規模の地形があるものです。それにしても恐竜って一体何種類ぐらいいたんだろう。最近になって爆発的に種類が増加しているような気がするのですが。

 

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