教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

11/7 BSプレミアム 偉人たちの健康診断「やじさんきたさん 東海道中食べ歩き」

江戸時代の大ベストセラー「東海道中膝栗毛」は旅行ガイド本だった

 今回のテーマはやじさんきたさんの珍道中を描いた東海道中膝栗毛がテーマ。この作品は東野圭吾や村上春樹を凌ぐ江戸時代の大ベストセラーであるが、単なるドタバタコメディというだけでなく、旅の指南書という側面もあると言う。

 時は江戸時代、パワースポットであるお伊勢参りは庶民の憧れの娯楽であった頃である。話の発端はやじさんきたさんというパッとしない二人が、突然に思い立ってお伊勢参りに出かけるところから始まる。

 

名物食べ歩きに秘められた健康パワー

 当時の旅といえば徒歩によるもの。ここで二人は宿場ごとの名物を食べ歩きながら二週間ほどで伊勢を目指すのだが、この食べ歩きに実は健康の秘密があるというのが最初の観点。

 この時代の旅は1日に40キロや50キロも歩くという過酷なもの。それだけにエネルギー補給が非常に重要である。実際に体力が尽きて行き倒れになる者も少なくなかったという。このような運動の際のエネルギー補給といえば糖質とそれをエネルギー変換するためのビタミンB1が重要になるのだが、東海道の宿場の名物を眺めると見事に糖質やビタミンB1が豊富なものが並んでいるのだという。特にきな粉を用いた安倍川餅は両方を備えているのでまさに旅に最適の食べ物とか。なお丸子宿の名物にはとろろ汁があるが、このような粘りのある食品は食後の血糖値スパイクを防ぐので体に良いとも言われているとか。

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私が丸子で頂いたとろろ汁

 

水が合わないと腹痛に

 なお特に病気にはならなかったやじきたであるが、腹痛のエピソードはしょっちゅう出てくるらしい。この腹痛の原因になる得るものはいろいろあるが、番組では水に注目している。土地によって水の性質が違い、東海道では東から西に進むと共に水の硬度が下がるのだという。水の硬度が変化した場合、浸透圧が変化したり、腸内細菌などに影響を与え、これが腹痛の原因になる可能性があるという。いわゆる「水が合わない」ということ。もっともしばらく滞在したら体の方も対応するので心配ないとのこと。

疲れずに歩くためのテクニック

 また長距離を歩く旅では疲れないように歩くと言うことが重要。そのために行われていたのが、たらいで足を冷やすということ。手や足を冷やすことで深部体温の上昇を抑える効果があるので疲労を防ぐのだという。手や足にあるAVAという血管の血を冷却できるので効果的に深部体温を下げられるのだという。もっとも冷やしすぎは血流が悪くなるので逆効果になるので、間違っても氷水なんかにはつけないように(笑)。

 さらに上り坂を歩く時の疲れないテクニックもある。上り坂では大腿四頭筋を酷使することになるが、この筋力は年齢と共に劣化するので、つまずいたりなどの思わぬ事故につながるという。ではこの事故を防ぐためのテクニックであるが、それはジグザグに歩くこと。距離が長くなって逆に疲れそうな気がするが、実はそうではないという。太ももをあまり上げなくて済む上に両足の筋肉を交互に使うので足に対する負荷が弱いので、結果として長距離歩けるのだという・・・のだが、明らかに時間がかかるので私のようなせっかちにはむかない。

 

各地の味噌を食べることで腸内が健康に

 さらに旅の楽しみの一つは各地での食事だが、これも健康効果があるという。各地でその土地の味噌などの発酵食品を摂れば、その土地ごとに菌が違うために大腸内の菌のバリエーションを増やすことになり、免疫力増強など健康効果につながるというのである。ということは、旅行をしないまでも味噌は特定のものばかりでなく、いろいろなものを試してみるのが良いと言うこと?

 こうしてドタバタもありながらやじきたは伊勢神宮に到着。いつになく荘厳な気持ちになった二人であるが、ここでも突然の腹痛でのドタバタなんかもあって一話完了とのこと。

 ちなみに番組では渡邊あゆみアナ、関根勤、井森美幸が旅籠を見学したり、とろろ汁を食べたりなどという旅番組もしていますが、これは内容的には不要なので省きます(笑)

 

 私も結構あちこちで歩いているので健康効果が・・・なんて思いましたが、よくよく考えると徒歩ではなくて交通機関を使用してますし、大抵決まった場所にしか行ってないので健康効果はほとんどなさそう。ただハッキリしているのは、間違いなく財政に対しては不健康効果はあります(笑)。特に最近は以前のような山城中心でなくてコンサート中心に遠征がシフトしているので、体に対する健康効果は低下する一方で、財政に対する不健康効果は増大しているという困った状態に・・・。

 

忙しい方のための今回の要点

・やじさんきたさんの二人がお伊勢参りの珍道中を繰り広げる東海道中膝栗毛は、実は良好のためのガイド本という要素もある。
・当時の徒歩の旅は過酷で特にエネルギー補給が重要である。その点では各宿場の名物は糖質とそれを利用するためのビタミンB1に恵まれたものが多く、名物食べ歩きがそのままエネルギー補給になる。
・また水が合わないと腹痛を起こすことがあるが、これは地域によって水の硬度が変わり、それが浸透圧の違いや腸内細菌に影響を与えることがあるからだという。ただ数日で人体はそれに適応するとのこと。
・長距離を歩く時には足を水で冷やすということは、深部体温の上昇を防ぐことによって疲労を抑えることにつながる。
・上り坂の直登は大腿四頭筋に負担をかけ、事故などにつながることもあるので、ジグザグに歩くことによって結果としては疲労を防ぐことが出来る。
・各地で味噌などの発酵食品を摂取することは、腸内の細菌のバリエーションを増やすことになり、免疫力強化などの健康効果が期待できる。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・今回の内容、渡邊アナらが出てくる場面がとってつけたようなオマケになっちゃってましたね。まあゲストたちがとろろ汁を食べるとかのどうでも良いような内容ばかりだったんで仕方ないですけど(笑)。ちなみに丸子宿は私も行ったことがあり、とろろ汁はその時に食べてます。あれは美味いです(笑)。

 

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