今回は日本で最初の世界遺産、白神山地。番組では1年をかけてその自然を追っている。
白神山地の約1割に当たるブナの原生林が世界遺産となっている。白神のブナは8000年前からほぼ手付かずの状態で残っている。春、雪解けのシーズンにはブナ林から溶けた雪が流れ出し、あちこちで滝となる。この地域は天然の水がめでもある。そしてブナは花の芽が出、これは熊の餌ともなる。この頃に多くの生き物たちが活動を開始する。なおブナは水分が多いために建築資材にも薪にも適さないので、それが今までブナ林が手つかずで残った理由だという。
白神の短い夏には、ブナから発散された水分によって雲が湧くという幻想的な風景が見られる。そしてこれらの雲からは雨が降ってそれが再び森に戻される。ブナは水の循環にも貢献しているのである。この地域には十二湖と呼ばれる湖が存在するが、実は33カ所もあるのだとか。白神山地はかつては海の底であり、それが隆起して今の地形となったのだという。日本キャニオンと呼ばれる景勝地では隆起した海底の地層が凝灰岩の白い崖として露出している。凝灰岩は脆いためにがけ崩れが多いのだとか。
秋になるとブナが色づく。この季節は紅葉による絶景を見せる。ブナは黄色く紅葉するのだが、様々な木が存在するので山は実に鮮やかに色づく。ブナの寿命は最長300年ほどで枯れた木の多くは倒れる。こうした倒木は朽ち果てて、他の命の苗床となる。そして白神を源流とする赤石川には多くのサケが遡上する。
そして冬、大雪が降る白神山地ではブナに樹氷が見られる。ブナは柔軟性があるので雪の重みにも耐えられるのだという。
今回はほとんどプロモーションビデオです。こういう回をテキストで紹介する不毛さ(笑)。本当はトレッキングにでも出かけるのが一番いいんでしょうが。
忙しい方のための今回の要点
・白神山地には8000年前からのブナの原生林が残っている。ブナは水分が多くて建築資材にも薪にも適さないことが人の手が入らなかった理由の一つだとか。
・白神山地は元々は海底であり、それが隆起したものである。凝灰岩の地層のために脆くてがけ崩れしやすい。
・ブナの寿命は最長で300年ほどなので、枯れた木は倒れて次の生命の苗床となる。こうして命が循環する。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・手つかずの原生林というのは実に貴重です。特に日本は先の大戦のときにほとんどの山がはげ山になってしまっているので、原生林と呼ばれる森はほとんど残ってません。そして戦後に植林された二次林が、現在完全に放置されていて様々な問題を起こしているという。
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