教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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番組リスト

2/9 TBS系 世界遺産「全長240km!地中海と大西洋をつなぐ大運河」

地中海と大西洋をつなぐ大運河

 今回の世界遺産は世界で始めて地中海と大西洋をつないだ、全長240キロにも及ぶ南フランスのミディ運河である。

 この運河が開通したのは300年前だという。ミディ運河は地中海から内陸のトゥールーズまでをつないでおり、ここから大西洋に注ぐガロンヌ川と接続している。

 地中海の海沿いの町セートから運河は始まる。セートはヴェネチアを思わせるような水の町である。運河が開通した時代にはエンジンはなかったので、船は馬によって引かれて運河を進んだという。運河は丘を回避してうねりながら進む。また高低差をなくすために、運河が川の上を橋で渡る運河橋なども存在する。

 

閘門やトンネルで高低差を切り抜ける

 ただどうしても避けられない高低差もある。それを乗り越えるために作られたのが楕円形をした閘門。これを7つ連ねた水の階段で高低差21メートルの丘を越えている。ミディ運河全体で65カ所の閘門で190メートルの高低差を克服しているのだという。

 またミディ運河には世界で初の165メートル運河トンネルも存在する。このトンネルは手掘りで作られている。このトンネルの横にはまるでミステリーサークルのような畑があるが、これは雨を畑の中央に集めて用水にするシステムになっているのだという。この地域は柔らかい砂岩なので手でも掘れたのだという。

 数々の技術的問題をアイディアと努力で解決していった運河建設だが、最後の問題は水を供給するための水源。それがないと運河は干上がってしまう。そのために建設されたのが運河の北にあるサン・フェレオール貯水湖。手動で水門を開いて水を供給していたのだという。

 

物流がさかんになり、周辺はワインの大産地へ

 運河建設はルイ14世の元で行われ、これは輸送を短縮するためであった。運河の建設で流通が活発になり、運河周辺ではワインが生産されることになった。この運河近くにはもう一つの世界遺産・カルカッソンヌの城塞都市がある。ここもワインで栄えた町である。またミディ運河によって地中海と大西洋の両方のぶどうが運ばれ、ここで栽培されたという。

 運河の終点はバラ色の町・トゥールーズ。運河の終着点は町の中央で、今は役目を終えた運河は川と切り離されているが、かつては川と接続していたという。この運河は17世紀の建築技術の傑作として世界遺産登録された

 

 この番組では以前にも別の運河を紹介していた記憶がありますが、その運河も川幅は狭いし運河橋がありましたね。かつての水運が大量輸送の唯一の方法だった頃の産物です。その後に物流は鉄道に取って代わられ、今はトラックに変わっている。効率を追求する時代の流れというやつです。ただ効率の追求は同時に環境負荷の増大でもあるのですが。

 

忙しい方のための今回の要点

・南フランスのミディ運河は、世界で始めて地中海と大西洋をつないだ全長240キロにも及ぶ大運河である。
・この運河では高低差を克服するために65カ所もの閘門が設置されている。
・運河を建設させたのはルイ14世で、輸送の短縮を図るためだった。運河建設によって物流が活発となり、運河周辺はワインの大産地となった。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・これだけの運河を機械もろくになかった時代に建設するには莫大な財力が必要だったと思われます。それが可能だったのはさすがに太陽王というところでしょうか。フランスの国力の象徴でもあるのでしょう。

 

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