最近増加しているひざのトラブル。その判定法や対処法などを紹介。
しゃがんで分かるひざ寿命の危機
まずはしゃがんだ時に音がするかどうか。音の仕方によってはひざ寿命に問題がある場合があると言う。音がしてもポキッ、パキッという高い単発音で痛みがなくて何度もならない場合は問題ないらしい。問題なのはギシギシ、ゴリゴリという低い音で痛みがあり、ひざを曲げる度に音が鳴るという場合。これは軟骨が磨り減っている可能性があるのだという。この場合は「ひざ寿命」が縮む事になる。
番組ではさいわい鶴見病院関節外科の大澤克成医長と共に、商店街の人々のひざチェックを行っている。1日12時間立ちっぱなしで3年前からひざに痛みがあるという魚屋のお上さんは、ひざの間に指が3本以上入るとという典型的なO脚(1本以上入るとO脚だそうな)。さらにしゃがんでもらうとひざを90度以上曲げる事が出来ない。これはひざ周囲の筋肉がこわばった状態で、ひざに負担をかけるのでひざ寿命が縮む可能性があるという。この対策は板などで2~3センチの段差を作り足を半分ほど乗せて背伸びを繰り返すという運動を10回1セットにして1日3セット行うとのこと。ふくらはぎの筋肉をつけると共にむくみ改善になるとの事。
ひざが伸びない、扁平足も注意
次は畳屋さんで縫う時は1時間ぐらい中腰という男性。寝転がってもらうとひざが伸びずにひざの裏に手が入る状態。これはひざ裏の筋肉がこわばっており、ひざ関節の支えが悪くなっているのだという。ひざを伸ばす筋肉がこわばってしまっているのだとか。この場合は足の指先にタオルを掛けて引っ張るタオル体操がお勧め。これを1日5分3回やればひざの裏が伸びてくるという。
最後は着物屋で働いている若い女性だが、昔器械体操をやっていてその頃はよくひざを痛めたとのこと。彼女の足をチェックすると扁平足であるのが目立つ。扁平足は足の衝撃を足裏のアーチで吸収できず、ひざに負担がかかる事になるという。これについては座って足の指をグーパーにするグーパー体操。10回1セットを1日3セットで効果があるとのこと。
ひざの痛みを解消する手術法
次は先ほどのさいわい鶴見病院関節外科のセンター長の竹内良平氏(大澤氏の上司でしょう)が登場して解説してくれる。まずひざ寿命が尽きるとどうなるかだが、最終的には変形性ひざ関節症という状態になってしまうと言う。これは日本でおよそ2500万人の患者がいる(4人に1人だ)と推測される。これはO脚になる事で軟骨が磨り減り、骨同士がぶつかるようになって強い痛みが出るという症状である。
この後はひざの痛みに苦しめられて運動が出来なくなっていた男性が、ある手術で再びテニスを出来るようになったという話。要は今回はこれのために竹内センター長が登場してるわけである。
竹内氏が手がけているのが骨切術という手術。ひざの骨を切断して調整する事でO脚を矯正してひざの痛みをなくすという方法である。ただ竹内氏の手術は従来の骨切術よりも骨を切る範囲を小さくする事で、従来はつながるのに3ヶ月ほどかかっていたのを2週間程度でつながるようにしたのだという。竹内氏はレントゲン写真を実際に切ってみて手術のイメージをつかみ、その通りの切除をする事で骨が段差なくつながるように施術する。骨を削って足を真っ直ぐに矯正すると骨を特別な金具でつないで手術終了である。手術を受けた患者は1週間後にはもう杖を使って歩いている。3日後には歩き始めて、早ければ2週間で退院するのだとか。高齢者になればなるほど、動けない期間が長くなればその分筋力が落ちてしまうので、これは非常に大きい事である。ただしこの手術を受けられるのは内側・外側のどらちかの関節に軟骨が残っている場合であり、両方ない場合には人工関節になるとの事。
最後に筧氏の質問は「ひざになぜ水が溜まるのか」というもので、これは炎症などによって関節液が溜まる事で痛みが出ているのだとの事。だから水を抜くと痛みは和らぐのだが、そもそも炎症を起こしている原因を治療するのが大切との事。
以上、高齢になるほど気になってくるひざについて。ちなみに私はややO脚気味でひざを曲げた時にバキバキと音がするという事はないですが、何やらギギギと引っかかった感じがあり、鈍い痛みというかダルさが出るのでかなりヤバいです。原因はハッキリしており、明らかに体重オーバーです。なお昔から扁平足ですので、そっちの点からもひざはかなり危ういです。そもそも10年ぐらい前から、硬い床にひざをつくという事が痛くて出来なくなっています。
よくひどいO脚の高齢者を見る事がありますが、あれが典型的な変形性ひざ関節症という状態でしょう。この病気も日本人の長寿命化と関連しているだろうと推測されます。まあ昔の人の場合、ひざに深刻な症状が出る前に寿命の方が先に来てたんだろうな。そもそも人間の体は本来は100年近くも生きるようには出来ていないのではと感じ始めている今日この頃。もし寿命が100才だとしたら私はちょうど折り返し地点を過ぎて少し経ったところですが、自分の体の調子を見ていると、どう考えてももう終盤が近づいてきている感じがしますので・・・。
忙しい方のための今回の要点
・ひざに現れるトラブルに各種あるが、O脚である、ひざを深く曲げてしゃがめない、平らな床に仰向けに寝た時にひざの後ろが床につかない、扁平足であるなどの症状を持っていると、ひざ寿命が短くなる可能性がある。
・O脚はひざの周辺の筋肉がこわばっているので、その時には背伸びをする体操、ひざが伸びない場合には足の指にタオルを掛けて引っ張ってひざを延ばす運動、扁平足には足の指をグーパーする運動などが効果がある。
・ひざの寿命が来てしまうと、軟骨が磨り減って変形性ひざ関節症という状態になってしまい、痛みで歩行が困難になってしまう場合がある。
・ひざの痛みに対しては骨切術で修正する事が可能。しかしこれは軟骨が残っている場合だけであり、軟骨が完全になくなってしまっていたら人工関節を入れる事になる。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・とにかく人類は二足歩行なんて無茶な進化をしてしまったので、そのツケがあちこちに来てます。最大のツケが来ているのは腰ですが、ひざもその次ぐらいにツケが来ているように思います。人間の体って、知れば知るほどよくもこんな構造で二足歩行なんて無茶するようなと感心する(笑)。
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