教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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4/12 TBS系 世界遺産「インド洋のガラパゴス!ゾウガメ×15万頭の島」

 先週に続いてインド洋の環礁の島・アルダブラ島の第2段。今回はこの島に15万頭棲息するという固有種のアルダブラゾウガメを紹介。

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アルダブラゾウガメ 出典:Wikipedia

 

洞窟に住む亀

 アルダブラ島には環礁上に4つの島が存在するが、南の島にあるゾウガメが住む洞窟があるというので、西にあるピカール島の研究拠点から満潮時にボートと徒歩で撮影に向かっている。徒歩で2時間と言うから、意外に大きい島である。

 その岩の隙間の小さな洞窟の中には大量のゾウガメがひしめいている。これは日中には気温が40度にもなるので、変温動物の亀が日中に表にいると命に関わるので、日中は日陰を求めてこの洞窟に押し寄せるのだという。そして夕方になると洞窟から出てきて餌をとる。ただこの地域は珊瑚による石灰岩の台地のため、餌はわずかに草だけで非常に餌に乏しいために、この地域のゾウガメは体が小さい。また川などの真水もないために、水は雨水や朝露からとっている。ゾウガメにとっては結構厳しい土地のようである。

 ゾウガメと言えばガラパゴスだが、南米がルーツのガラパゴスゾウガメとマダガスカルがルーツのアルダブラゾウガメは全く別種だという。顔立ちも四角いガラパゴスゾウガメに対して、アルダブラゾウガメは尖っている。

 

森に住む亀を中心とした生態系

 一方ピカール島の森に住むゾウガメもいる。ここのゾウガメは草だけでなく、伸び上がって木の葉なども食べる餌が豊富なので先ほどの洞窟のゾウガメよりも体は大きい。また木陰があるので日よけにも困らないと生息環境に恵まれている。なお雄のゾウガメの腹は交尾の時にメスに乗っかりやすいように腹にへこみがあるので、ゾウガメの雄雌の区別は容易であるらしい。

 この森ではゾウガメ以外にも固有種の鳥などが棲息している。このような固有種が多いために、この島には外来種を持ち込まないようにガラパゴス島と同様の厳しいチェックがなされている。これらの固有種はゾウガメの糞を食料とするヤシガニなどのように、ゾウガメを中心とした生態系となっている。さらにゾウガメが糞と共に種を蒔くことで森を広げる働きもなしている。

 しかしこのアルダブラも外から流れ着くゴミなどによって環境破壊が懸念されているという。いくら拾っても次々とプラスチックゴミなどが流れ着くという。

 

 何か最後に厳しい現実に引き戻されてしまいましたね。インド洋の固有種の楽園に流れ着くプラスチックのゴミ。何とかしないといけませんね。そもそも経済性だけを優先して何でもかんでもプラスチックにしすぎたという気がします。プラスチックというのはそもそも腐らないというのが特徴なんですから、使い捨てにするものをプラスチックで作るのはナンセンス。包装やらはもっと紙などを使うべきだと思います。私が子供の頃なんかは、市場で買い物をしたら魚やら野菜やらは新聞紙で包んでくれるのが普通だったんですが・・・。

 

忙しい方のための今回の要点

・インド洋に浮かぶ珊瑚礁の島・アルダブラ環礁には固有種のアルダブラゾウガメが15万頭も棲息している。
・彼らは住む地域によって生態が異なり、餌の少ない大地に住むゾウガメは体が小さく、森に住むゾウガメは体を伸ばして木の葉なども食べられるので体が大きい。
・森にはゾウガメ以外にも固有種の鳥などが棲息しており、ゾウガメの糞を食べるヤシガニなど、ゾウガメを中心とした生態系が確立している。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・それにしてもこの島にあの巨大な亀が15万頭って、あちこちに亀がゾロゾロといるというイメージだな。
・この亀には天敵とかいないのでしょうかね。陸上には巨大な獣はいないようだし、海には鮫がいたようだけど、ゾウガメは陸生で海に餌を取りには行かないだろうし。
・となるとゾウガメの生息数をコントロールしているのは、餌になる植物とのバランスか。かなり微妙なバランスを保っている感じですね。この島。それだけに人間が下手なことをすると一気に破壊される恐れがある。

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