教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/17 サイエンスZERO「驚異の自動認識技術!QRコード開発秘話」

日本発の技術であるQRコード

 日本で開発されたQRコード。元々はバーコードに変わる生産管理用のシステムだったのだが、今では幅広く利用されている。このQRコードの開発者の原昌宏氏をゲストに呼んでQRコードを紹介。

 1994年にQRコードは完成したという。バーコードに変わるシステムとして開発には2年を要したとのこと。ちなみに原氏が町中で初めてQRコードを見たのは捨てられていたハズレ馬券とのこと。

 

高速読込のための仕掛けと補正機能

 QRとはQuick Responseの略とのことで、読み込みの早さが特徴。コードの位置が少々ずれていても読み取れるように設計してあるとのことで、読み込み時間は0.3秒とのこと。3つの隅にある四角がこれがQRコードであることを示す記号だという。枠線が1:1:3:1:1の比率になっているのだが、この比率は一般的な文字などには極めて少ない比率であり、その比率を入れることでコードを認識させるということらしい。

 さらにアライメントパターン(パターン中にある四角の模様)というシンボルも導入してあり、これは曲面などに印刷された時のズレを補正するためのものとのこと。また一部が隠れた場合にも読み取れる誤り訂正機能も盛り込んである。データに冗長性を持たせており、3割ぐらいが隠れていても補正できるようになっているとのこと。

 

QRコードを用いた新技術

 さらに最近ではQRコードの応用として都営浅草線の車両の扉にQRコードを入れているのがある。あのコードは車両の扉の位置や数の情報が入っており、ホームドアが車両のドアに連携するためのものだという。QRコードは上方にあるカメラで読み取るようになっているが、かなり上から見るために歪みが強いのでそれを補正することと、さらには雨や光の関係などで見えにくくなることもあるので、復元率を50%まで上げる改良を行ったという(伝えるべき情報量は多くないので、それを犠牲にしている)。つまりは半分が読み取れなくても問題が発生しないシステムになっているという。なお外枠がついた形になっているのも補正のためとか。

 さらに顔認証をQRコードに変換するというシステムの開発も進められている。従来の顔認証システムは蓄積された情報がデータベースとしてサーバに置かれているが、このシステムでは顔情報をQRコードにしたカードを使用するために、サーバが不要で一つの機械で完結するとのこと(つまりは通信に障害が出た場合にも使用可能)。カードと顔情報が一致した時のみ扉が開くということができるので、なりすましを防ぐということになる。なおこの情報は普通の読み取り機では読み取れないようにすることで、情報の漏洩を防ぐ工夫もしているとのこと。

 

 QRコードについて。こうして改めて聞いてみると、意外と何も知らなかったことが分かった。そもそも日本発だということを私は知らなかったし、そんなに高速に読み取れることも知らなかった(スマホのアプリなどで読もうとすると、認識するまで結構時間がかかるので)。さらに車両ドアにつけられているQRコードの意味がそれだったのかというのは、今回初めて知った。私はてっきり、鉄道会社が広告でもいれたのかと思っていた(笑)。

 バーコードよりも情報量が多いということもありますが、さらにはバーコードよりもスペースをとらないというメリットもあって、QRコードは現在増殖中です。私は以前に蔵書管理のためにバーコードリーダーを導入したのですが(結局はバーコードで蔵書を管理するという計画は面倒くささのために頓挫しましたが)、書物などに入れられていたバーコードも早晩駆逐されるでしょう。もっとも一番の問題は、そうやってシステムが変わる度にこれまでのシステムを切り替える必要があるというところだったりするんですが。QRコードもその内にマイクロチップなどに取って代わられるという話もあるし。

 

忙しい方のための今回の要点

・QRコードは日本発のシステムで、バーコードに代わる生産管理システム用に開発された。
・バーコードよりも情報量が多いだけでなく、0.3秒で高速読み取りが可能で、30%が隠れていても読み取りが可能な高度な補正能力も持っている。
・最近ではバーコードを鉄道のホームドアのため(車両ごとに異なるドアの位置をQRコード情報で読み取る)にも使用されている。
・さらには顔情報をQRコードにして、顔認証用のカードを作るシステムも開発されている。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・今のスーパーはバーコードによるレジシステムになってますが、これもその内にQRコードに代わるんですかね。まあシステム更新にかかる費用と、QRコードに代えることによる営業メリットがどれだけあるかが鍵になるでしょうが。もしQRコードに代わると、今のセルフレジよりは読み取り精度は上がるんですかね(バーコードは曲面だったりした時に読み取れないことが結構多い)。

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