教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/19 テレ東系 ガイアの夜明け「物流を止めるな!~コロナで変わる「宅配」~」

コロナで急増する配送需要

 コロナでの在宅勤務が増えてから、中古オフィス用品を扱うオフィスバスターではオフィス用の椅子が飛ぶように売れているという。在宅勤務のためにオフィス用の機能的な椅子を求める消費者が多いらしい。例年の5倍の売れ行きだという。しかし問題となるのは配送の手配。運送会社も「トラックはあるが運転手がいない」と言っている状況で、配送の手配が大変なのだという。

 宅配の荷物量は最近になって急激増えている(2008年度の32億個に対して2018年度が43億個)。しかしそれに対して輸送に携わる人員の伸びは鈍い(ドライバー2008年度79万人に対して2018年度86万人)。結果として、輸送の現場では人手不足が深刻化している。そのような物流の現場の新しい流れを紹介。

 

フリードライバーによる配送サービス・ピックゴー

 緊迫する物流現場に新たに登場した企業が「ピックゴー」。フリーのドライバーが登録して、直接に配送の仕事を請け負うシステムである。ドライバーはアプリで依頼にエントリーし、依頼主は委託するドライバーを選択する。ガソリン代等は自己負担で走行距離に応じて料金が決まるという。個人事業種として登録しているドライバーは様々で、これを本業にしている人から、空き時間にパートとしてドライバーをしている主婦など様々である。

 運営会社は秋葉原にあるベンチャー企業のCBクラウド。登録ドライバーは1万5千人以上いるという。社長の松本隆一氏はかつて国交省勤務の航空管制官。義父がフリードライバーに仕事を紹介する会社を経営しており、一緒に物流の改革をしようと声をかけられたのだという。しかしその後、義父は過労で急死、義父が残した企画書を彼がアレンジして立ち上げたのが今のビジネスだという。しかしそのピックゴーも4月になると、企業間で荷物のやりとりが大幅に減少したことから仕事が急減、新しいサービスの検討が必要となっていた。

 

レストランの宅配に乗り出したタクシー会社

 乗客が急減しているタクシー業界では、荷物の輸送に活路を求めようとしていた。国土交通省が秋までの期間限定でタクシー会社の救済のために規制を緩和し、タクシーが貨物を輸送することが可能となったのだという。自粛で客が大幅に減って宅配に活路を求めようとしているレストランから料理を受け取り、宅配のサービスを行っている。輸送費は料理の代金の2割とのこと。料理店もタクシー会社も共に生き残りに必死である。

 

置き配用バッグのオキッパ

 またコロナの影響で荷物を玄関に置いていく置配が増加している。これは輸送側にとっても再配達の手間がないというメリットがあるのだが、やはり盗難や雨濡れなどが心配という声は多い。そこで登場したのがOKIPPA(オキッパ)なる布製のバッグ。折りたたみが可能で小さく畳んで玄関に吊して置く。広げると大きな荷物も入れることが出来、ファスナーを閉めて鍵をかけられるので盗難防止になる。またバックは撥水性があるので雨も大丈夫とのことである。これを開発したイーパーは2017年創業の社員8人の小さな会社だが、社長の内山智晴氏が自ら宅配に対して感じていたもどかしさを解消するためのアイディアがこのオキッパだという。当初は苦戦したが、新型コロナによって販売数は数倍に急成長しているという。しかも楽天からも導入の話が出てきて、ビッグチャンスにつながっている。目標は100万個だという。

ピックゴーが乗り出す買い物代行サービス

 一方、仕事の急減で困っていたビックゴーが導入した新サービスは買い物代行。依頼主からどこの店で何を買ってくるかという買い物のリクエストを受け付けて、ドライバーがその買い物を代行して配達するというサービスである。買う商品の指定の仕方には「これと同じようなもの」というのと「これと全く同じもの」の2種があり、前者だったら「南アルプスの天然水」の指定に「六甲の美味しい水」でもOKだが、後者だと「南アルプスの天然水」でないと駄目というような具合。依頼主とすれば近所の行きつけのお肉屋さんのコロッケなんかの指定が出来るというメリットがある。ちょうど仕事が激減して困っていたドライバーが実際にこの仕事を体験。一日に何件か依頼があれば何とかなるのではと言う感触のようである。またこのようなサービスは、今後は買い物弱者の救済などにも活用できるのではとの考えもある。

 

 以上、コロナをきっかけに激変しつつある物流業界について。実際に私もコロナのお籠もりのせいでAmazonの通販に頼る比率が以前よりも上がっており、配送の現場が大変なことになっているらしいことはどことなく伝わってきています。そもそも配送関係に人材が不足するのは、この分野は昔から典型的な3K職場なので、特に若者に敬遠されているということが大きいです。その点、ピックゴーなんかは空き時間で好きなだけ仕事というパターンなので参入障壁は低いだろうと考えられます。もっとも話を聞いていると、かなり輸送費としては割高という印象を受けたので、大手運送会社が混乱している状況だから隙間で活躍できているが、大手運送会社が体制を整えてきたらどうだろうという疑問はある。輸送費というのはユーザーからしたらなるべくかけたくないのが本音なので、価格のたたき合いになってしまったらかなり苦しいし、収入激減で3Kになる危険性はある。

 オキッパはなかなか面白い発想で、宅配ボックスなどに比べると場所を取らないというメリットがある。なかなかに時期を得ているので急成長が期待できるが、当然のように予想できるのは模倣するところが出てくることだ。内容的に特許や実用新案で権利を押さえるのも難しいところがあるし、中国辺りのパクリ業者をその度に裁判してても効果はほとんどなかろう。そんな中でどうやってブランドを築けるか辺りが勝負。

 

忙しい方のための今回の要点

・ネット通販の急成長に加え、コロナの影響もあって輸送業界はかなりドライバー不足が深刻化している。
・ピックゴーはフリーのドライバーが登録して、配送の仕事を直接請け負うシステム。距離に応じて料金が支払われる。
・一方、乗客減少で危機に瀕しているタクシー業界では、国土交通省による期限付きの規制緩和で貨物輸送にも進出。宅配サービスに乗り出した飲食店の料理を宅配する業務を請け負っている。
・コロナで増加した置き配に対応する置き配用袋のオキッパは、急激に販売を伸ばしている。楽天とも提携して100万個を目指すという。
・企業間の輸送が減っていたピットゴーでは新サービスとして買い物代行も実施中。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・今回のコロナ騒動の結果、リアル店舗は今まで以上にネット店舗に浸食されることになるだろうと思われます。そうなると宅配の需要はさらに増えるでしょう。しかし現行のようにマンパワーを取られる業態では限界も見える。Amazonがドローンの活用などを言い出していますが、省力化のシステムなんかも出てくるでしょう。

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