教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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番組リスト

5/12 テレ東系 ガイアの夜明け「ワークマンを追え!ライバル続々…知られざるアパレル戦争」

高機能低価格が人気となったワークマンの新商品開発

 現在、異業種からアパレル業界に参入する例が増えているという。その先鞭となったのは作業服のワークマン元々は各種産業用の作業服のメーカーだったのだが、機能的で価格の安い衣料が注目され、例えば溶接工用の耐火性の高い衣服は女性キャンパーなどに評判となり、作業用防寒着はライダーに評判となり、厨房の水や油で滑りにくい靴はしっかりした足下が妊婦に評判となったりなど、最近特に女性などに人気が上がってきているのだという。

 その影響でここ数年で売り上げは急上昇している。そこでワークマンはアパレル市場に本格的に参入し、女性層などの一般ユーザーをターゲットにして新たな商品開発を行うこととなった。担当するのはビッグ4と呼ばれる社内での売り上げの9割をたたき出すというカリスマ達。インナー、作業靴、アウター、撥水などの専門家達である。そして彼らが新規商品開発の協力者として選んだのがキャンプブロガーやユーチューバーなど。カリスマ開発者達も所詮は作業服の専門家であり、どうしても女性ユーザーなどの視点には疎い。高機能化のために施した仕掛けが女性ユーザーの目からは「ダサい」と見えてしまうことがある。それをブロガーなどからユーザー視点で補ってもらおうという考え。さらには影響力のあるブログなどで宣伝してもらうことで初期の商品の売れ行きにも好影響をという読みでもある。

 実際に彼らは今まで開発から考えもしなかったアイディアなどを提供し、開発者としては「目からウロコ」ということも多かったらしい。なおワークマンでは製造は中国メーカーの冬物と夏物の間に閑散期を利用して安く製造しているらしい。それを視察するために担当者は現地に飛んで品質管理にも配慮している。強度などが問題となるので、出来上がった商品を引っ張ってみてのテストなども実施。その時に「バリッ」という音が。一部の縫製が弱かったらしい。慌てて当て布つけて補強することにして問題解決という一幕も。

 結局はこうやって開発した新製品をワークマンでは市場に投入することにした。協力したブロガーの方も開発の経緯をブログで公開して宣伝。宣伝の効果もあって上々の滑り出しの模様。

 

作業着として使えるスーツの登場

 一方でこのようなワークマンを追撃する他業種の企業もある。作業服として使える動きやすいスーツを売り出しているのがオアシススタイルウェア。元々はマンション向けの水道工事の会社だったのだが、現場の作業員になりたがる若手が少なかったことから、現場の作業着を格好良くすることを考えたのだという。そして洗えて撥水するワークウェアスーツを開発したのだという。すると入社希望者が3倍に急増したと言うことで、スーツ事業を分社化したのだという。

 実際にこのワークウェアスーツを愛用している人も多い。自動車販売の店員は作業着のまま接客も出来るという便利さを感じているし、このスーツを着て農作業をしている男性も登場。丸洗いして部屋干しでそのまま着れるので非常に便利であるという。

 

釣り具メーカーダイワが仕掛ける新ブランド

 さらに釣り業界から参入しようというメーカーもある。釣り具メーカーのダイワでは表参道に洋服の店を出している。釣り用ウェアの技術を使用して、一般向けの高機能なファッション衣料を提供しようというのである。この背景には釣り人口の減少があるという。釣り用ウェアを町中で着られるファッションにしようという考えである。町用ファッションのために立ち上げたブランドであるディーベックと、釣り用品のダイワを融合した新たなブランドを狙っている。

 そしてファッションブランドのビームスと連携して、釣りの出来る街着を提案することになったという。お洒落であるが釣り着らしくポケットが多いなどの高機能性が売りとなっている(が、私としてはやけに価格が高いのが気になったが)。

 

 他業種からの展開という話だが、私が一つ気になったのは「だけどそのアパレル業界も決して金城湯池ではないんだよな・・・」ということ。アパレル業界は利益率も高いが、それだけ競争も激しくて無駄も多い業界で、それはそれで問題となっていると言うこと。もっともこれらの新規参入業者は、いわゆる意図的な流行廃りで次々と着せ替えさせていくという従来のアパレルでなく、ある種の定番商品を目指しているような気がする。

 ただワークマンの人気なんかの大きな理由に「低価格」があるように、背後には庶民の貧困化も透けて見えている。安いのに衣料としての機能が高いから人気があるということであり、高価格化ブランド化を目指したら「それは少し違うのでは」という気がするのである。要は一時期シマムラが「安いのに掘り出し物がある」と快進撃したのと同様で、安倍政権下で延々と続く不況(数字をいくら偽っても実際はずっと不況である)と庶民の貧困化で、あくまで「安さ」に大前提があるという点は注意が必要。CPが低下したら突然にそっぽを向かれる可能性がある。なんせ小洒落ているだけで価格の高い衣料品は従来アパレルが捨てるほど(実際に売れ残りを大量に捨てている)作ってるんだから。

 

忙しい方のための今回の要点

・低価格ながら高機能のワークマンの作業着が、一般女性などに注目されて人気となっている。
・そこでワークマンではこれらの一般ユーザーを対象とした商品開発を行うことにし、ブロガーなどに協力を仰いで商品開発を行った。
・従来の作業着開発者の観点にはなかった提案を採用し、ブロガーに宣伝してもらうことで上々の滑り出しをしている。
・一方、作業着に出来るスーツを開発したメーカーであるオアシススタイルウェアは、元々マンションの水道工事の会社が自社の作業着向けに開発したスーツの評判を受けて分社化したメーカーである。作業と接客を着替えずに行えるなどと評判が良い。
・釣り具メーカーのダイワでは、アパレルの分野に乗り出し、町中でも着られる釣り用ウェアの開発を進めている。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・正直なところ、私も「作業着に出来るスーツ」には興味があります。私も社会人としてスーツを着ることはありますが、あまりに機能性が低いので出来るだけ避けています。しかし作業着並に機能性の高いスーツなら、日常着に出来るという気がします。正直なところ私の日常着は極めてラフ(と言うよりも端的に言えばみすぼらしい)ので、TPOによっては困ることも少なくない(それでオペラの公演なんかまで行くもんだから)。山城をプラッと上ってきてから、その後そのままオペラの公演に出かけられる洋服なんかが私の理想。

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