教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/13 NHK ガッテン「台所の残り物に福あり!今こそ役立つワザ大公開SP」

 コロナ禍が全く収まる気配を見せない中、この番組も総集編モードに突入しています。今回は過去の放送の中から食材利用に関する内容を3本集めたもの。

 

ケチャップを和食の出汁に使う(2009.9放送)

 まずは2009年9月に放送されたという「ケチャップを和食系おかずの出汁として使う」という内容。そもそもトマトはグルタミン酸が強いので、イタリアンなどでは実際にトマトを出汁にしているわけだからこれはあり得る話ではある。とは言うものの、ケチャップをそのままほうれん草のおひたしなどにぶっかけるのはぶち壊しである。ポイントは薄めて使うということ。味覚センサーでケチャップの味を調べたところ、そのままでは酸味と塩味がかなり強いが、これを薄めるにつれて酸味と塩味は減少していくのに対し、旨味とコクは変化しないので、結果として旨味調味料の効果を持つようになるのだという。

 実際に薄めたケチャップを味噌汁に入れてみたところ、被験者も驚く美味さとのこと。なおこの時には100種類もの料理をテストしてみたとのことだが、これだけは絶対しないでというのはコーヒーとのこと。小野アナ曰く「頭が痛くなるほどマズかった」とのこと。しかしこう言うと逆に実際に試そうとするチャレンジャーが登場しそう。なおこの放送、今から10年ぐらい前の放送なので、画面にチラチラと映る小野アナが若いこと・・・。あの時、君は若かったです。そして私も今よりは若かった。なお志の輔氏も今よりも頭がずっと黒いです。

 

ゼラチンを使用した泡調味料で減塩(2014.6放送)

 次のネタはゼラチンを使うテクニック。2014年6月に放送した泡レシピの話。これは醤油に湯で溶いたゼラチンを加えて泡調味料にするという話。醤油の味が際立ち、その上に減塩になるというので大ヒットしたネタです。このネタは当時大ヒットしましたので、私もよく覚えてます。泡になることで舌に付きやすいことから味を強く感じるようになり、少量の醤油でも味を強く感じるようになるという話。なお泡立て器で泡立てるよりも天ぷらの時に使う網じゃくしで泡立てる方が早いですというオマケ情報付き。

 泡醤油の作り方は醤油10グラムに水40ミリリットル、20ミリリットルのお湯で溶いておいたゼラチン1グラムを加えて混ぜて泡立てるというもの。なお生醤油を使用する時は、ボウルを氷水で冷やしながら材料を泡立てるということ。確か、この回のテーマはゼラチンで、醤油以外に諸々泡立てていた記憶があるが、実際に泡豆乳や泡ドレッシングなども紹介している。ゼラチンを使った泡にすることで食味が強くなるというのがポイントだったはず。ただし泡にすると酸化しやすくなって変質しやすくなるだろうから、使う時に作るのが原則だろう。

 

缶詰の賞味期限と活用法(2017.4放送)

 最後のネタは缶詰。2017年4月に放送した回を再編集で流している。まず缶詰はどのくらい保つかという話からであるが、これは視聴者から提供された30年は経っているというサンマの水煮缶を開けるというところから始まっている。実際に開けてみると、匂いに特に変化もなく美味そうという結果(さすがに問題が発生してはいけないので食べてはいないが)。缶詰は空気を抜いてから加熱して内部を高温高圧下で殺菌しているので、原理的には缶に穴が開かない限りは半永久的に保つとされている。実際に73年前に製造された赤飯の缶詰を開缶して調べたところ、雑菌は検出されなかったという。もっとも日本では缶詰の賞味期限は大抵は3年に設定されているとのこと。

 そして缶詰には食べ頃があるという話。メジャーな缶詰といえばマグロの油漬け(いわゆるシーチキン)だが、これを作っている人たちに聞いたら、「賞味期限が切れてからぐらいの方が美味い」という声が。これは長期間をかけて筋繊維の隙間に調味液の塩分がじっくり染み込むからだとのこと。これを普通の状態で行うと染み込む前に腐敗してしまうが、缶詰は腐敗しないのでこういうことが可能になるらしい。もっともNHKは責任があるので、大っぴらに賞味期限切れ缶詰を食べることは奨励していない(笑)。あくまで自己責任でというやつである。

 なおこの後に缶詰博士なる人物が登場し、各缶詰の食べ頃を紹介しているが、果物缶などは製造から半年過ぎてから、野菜などは新しい方がシャキッとした食感があるという。オイル系や味噌・醤油系、鯖の水煮などは期間をおいた方が美味しいとのこと。そして最後はガッテン御用達料理人の野崎氏が登場して、大和煮缶とホワイトソース缶を使用したハヤシライスやホタテの水煮缶を使用した冷や汁レシピなどを紹介して終了。

 

 以上、過去の総集編でした。こうして見ていると、やっぱりこの番組は最近よりも以前のネタの方が実用性の高い情報を提供していたような・・・。ちなみにこれらの回の内容、私は覚えてました。特に缶詰の「理論的には半永久的に保つ」というのは鮮明に覚えております。ちなみに私の家でも放りっぱなしになっていた冷蔵庫の中から、30年ぐらい経っているというUCCの缶コーヒー(エヴァ缶)が見つかったのですが、開けてみたところ普通にコーヒーの匂いがしてました。もっともさすがに飲む勇気はなかったので全部捨てましたが。

 震災以降缶詰の便利さが見直されているというような主旨の話もありましたが、実際にいざという時の保存性が一番高いのは缶詰です。そのために非常食として注目されています。昔から、人類滅亡後のサバイバルを描いているようなSF作品でも、昔の商店の廃墟から缶詰食料を物色しているなんてシーンがよく登場します。レトルトなんかと違って、缶詰は保存の信頼性が各段に高いです(レトルトパックはどうやっても酸素を完全に遮断するのは難しいが、缶詰の場合は酸素も紫外線も完全に遮断できる)。ただ昔から「缶詰はあるが缶切りがない」という悲劇がよく発生しましたので、現在の缶はワンタッチで開けられるように技術革新がなされています。こういう技術開発を見ていると、純粋に「すごいな」と感心したりするのですが。

 

忙しい方のための今回の要点

・ケチャップは薄めることによって塩味や酸味が弱まり、旨味調味料として使用することが可能。和食などに出汁として入れると美味い。
・ゼラチンを醤油に加えて泡立てた泡醤油は、醤油の味を強めるので使用量を減らすことが出来、減塩につながる。
・缶詰は理論的には半永久的に保つ。また魚の油漬けの缶詰などは、古いものの方が味が浸みて美味くなる。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・で、次回は血糖値対策SPとのこと。お籠もりでコロナ太りが言われているご時世ですから、これが気になる人も少なくないでしょう。

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