教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

"水道の水が昔よりも美味しくなった理由"7/26 所さんの目がテン!「知らない間に美味しくなった?水道水の進化」

水道水が美味しくなった浄水処理の進化

 昔は水道水はとにかく不味いといわれたものである。特に悪評が高かったのがカルキ臭で、夏なんかになるとまるでプールの水のようなニオイがしてとても飲めたものではなかった。しかし今は水道の水がそのように臭うことはほとんどなくなり、食味テストでもミネラルウォーターに劣らないような結果が出ている。この水道水の進化はどのような変化によるものか。

 番組で浄水場に行って取材しているが、川から取水した水はまずは殺菌のための塩素と、ゴミを除くためのPACが添加される。特にPACを添加してしばらくかき混ぜていると水の汚れが凝集してくるのが分かる。このPACと何かであるが、これはポリ塩化アルミニウム。水中のゴミはマイナス電荷を帯びて反発によって安定化しているので、ここにプラスイオンであるアルミニウムを加えて汚れを集めるのである。そこにさらに高分子系の剤を加えて凝集させる。

 番組では実際に牛乳、野菜ジュース、味噌汁にPACを添加するという実験を行っているが、いずれも上澄みが出来、その上澄みは牛乳で乳酸などの酸っぱみが残り、野菜ジュースは何かの苦味。さらに味噌汁では出し汁の味がするなど、水溶性成分だけが残っている。

 こうして凝集した汚れは沈殿槽で除去される。ここまでは昔の浄水場でも行われていたが、この処理だと臭いが取れないという弱点がある。そのために昔の水道水は夏になるとかび臭いニオイがすることがあったのだという。

 

ニオイを取り除くための高度浄水処理

 そこで上澄み液にさらに施されるのがオゾンによる高度浄水処理。オゾンは強烈な酸化剤であるので、これで残存する有機分を分解してしまうのだという。そして分解された有機分は活性炭に吸着される。実際に先の味噌汁の上澄みにこの処理をすると、出しの味がなくなって塩分しか残らなくなったという。

 最後に輸送中の汚染を防ぐために塩素を添加する。最近は水処理が高度化したので、この加える塩素の量が減らせるようになったのがカルキ臭さが軽減された理由であるとのこと。

 

 以上、どうやって水道水が処理されているかの紹介。なおこのようにして高度処理で安全性と食味が改善された水道水であるが、実はこれらの安全な水道を竹中平蔵などの売国勢力が「経済性」を口実にしてアメリカなどの企業に売り渡して民営化しようと企んでいる。既にアメリカで水道を民営化されたところは、企業が営利優先にした結果水質が著しく低下して住民に病気が出るなどの問題が発生している(マイケル・ムーアがこれを取材した映画を作っている)。ヨーロッパなどでも水道を民営から公営に戻す例が続出しているとか。国民の安全を守るためには、利権目当ての連中の暗躍を許してはいけない。

 

忙しい方のための今回の要点

・最近の水道水は美味しくなったと言われている理由を浄水場で取材。
・取水された川の水はまず塩素で殺菌され、そこに凝集剤であるPAC(ポリ塩化アルミニウム)を加えて汚れを凝集させる。
・沈殿槽で凝集した汚れを取り除いた上澄み液にはまだ未処理の有機分が残っているのでニオイなどが発生する。そこでそれをオゾンを使った高度処理で分解、活性炭で除くことで臭い成分などを除去することが出来る。
・最後は輸送中の汚染を防ぐための塩素を添加する。最近はここで加える塩素量を減らせるようになったことが、水がカルキ臭くなくなった理由である。

忙しくない方のためのどうでもよい点

・竹中平蔵は安倍と結託して、日本人を犠牲にしてすべてを自らの利権につなげようとしている。ああいう奴らの暗躍を許したら、日本人はその命まで外国に売られてしまう。
ネオリベはまるでお経のようにすべてを民営化したらサービス向上して効率化すると唱えていたが、今はそんなものは嘘八百であることは判明している。そもそも公共サービスは収益化に向かないのだが、そういう分野を民営化した結果は、サービスの大幅低下及び安全性の欠如につながるというのはハッキリしている。