教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

9/13 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「必見!今、あなたに足りていない栄養素は?」

メタボでも栄養失調?

 今回まず登場するのは身長170センチ、体重76キロとちょっとメタボ気味なのが気になる中年男性。と言うわけで今日のテーマはメタボからくる成人病・・・でなくて、何とこの男性が実は栄養失調だというのである。

 これが現代型栄養失調。つまりはカロリーは足りているからメタボなどになっているのだが、栄養の中身を見た時に偏りがあって必要な栄養素を十分に摂れていないという状況。隠れ栄養失調と言えるという。疲れやすくなったとか傷が治りにくくなったなどの身体の不調につながるという。

 そこで彼の朝食を見てみるが、一見したところカロリーも基準範囲内でバランスも極端には悪くなさそう。ではどこが悪いのかだが、彼の場合はカルシウムとビタミンAがかなり不足食物繊維も不足しているという。彼の場合は下痢をしやすいという問題を抱えているらしく、それは善玉菌の餌になる食物繊維が不足しているせいではとのこと。どうも彼は野菜類をサラダで摂っていたのが原因なのではという気が。

 ビタミンAについてはやはり人参など。これが不足すると目が乾燥したり肌荒れしたり、風邪をひきやすくなると言う。さらには抗酸化作用があるのでがんを予防するのではとまで言っている。

 

一見健康的な食事の落とし穴

 次は健康に気を使っているのに身体が不調だという女性。彼女の食事も非常にバランスが良さそうに感じられる。特にカルシウムを意識しているという。しかし栄養的に見ると摂取カロリーは標準値なのに、栄養素の方は軒並みバランスよく不足している。気にしていたカルシウムでさえ不足している。特に問題なのがタンパク質の不足だという。肉を控えめにしているせいだという。タンパク質は身体を作る成分なのであちこちに不調が現れることになる。過度にダイエットを気にする人が増えたせいで、現在の日本人のタンパク質摂取量は戦後すぐの1950年代レベルにまで低下しているという。タンパク質が不足すると新陳代謝が低下して筋肉量が低下する。これはフレイルと言われる要介護状態の手前の状態になる危険性があるという。実際に現在はこのフレイルが増えているという。

 さらに問題なのは脂質が不足していること。油分を制限しすぎているのだという。脂質が不足しているせいで脂溶性ビタミンの摂取も上手く行っていないという。またカルシウムは摂取が難しいので彼女のようにヨーグルトだけで足りると思ったら甘すぎるとのこと。

 

チェック法と対処法

 現代型栄養失調になっていないかのチェック項目は以下の5つ。1.甘いものでイライラが収まる気がする。2.野菜中心の食事をしている。3.ダイエットやリバウンドを繰り返している。4.シミやシワが目立つようになった。5.めまいや立ちくらみをよく起こす。以上のうちで1つでもチェックがあれば可能性があるとのこと。

 筧氏の食生活をチェックしたところ「炭水化物が足りない」との指摘が。どうも糖質カットダイエットをしている模様。しかし今回番組に登場した専門家によると、炭水化物が食事に占める割合が3割以下の人が一番死亡率が高いというデータがあるとのことで、糖質カットダイエット懐疑派のようである。

 摂取量の目安として「手ばかり法」というのを紹介している。基本は三食で、まず炭水化物のご飯はにぎりこぶし1つ分、肉や魚の主菜は片手1枚で厚さは手のひらぐらい、副菜は生野菜で両手1杯(加熱野菜なら片手1杯)を目安にするとバランスよく適量摂れるという。

 さらにはちょい足しを進めている。またタンパク質を夕食だけなどに偏って摂るのが良くないので、その分を一部朝に回すと良いという。最初の男性の場合、昼食に人参ジュースをちょい足ししたりしている。またカルシウム不足には木綿豆腐がおすすめという。絹こしよりもカルシウムが3倍とのこと。またビタミン補充にナッツ類などを進めている。

 

 以上、栄養の内容についてのお話。ここで「このように食事だけでビタミン類を摂取するのは難しいので、サプリやビタミン剤を使用しましょう」とならないのがこの番組の良心的なところ。サプリなどの薬品類での栄養補充は余程の危機的状態でない限りは身体に悪いというのが最近の常識です。また糖質カットダイエットを批判的に取り上げている辺りも良心的。あれも「短期的には確かに体重が減るが、長期的に見て間違いなく身体に悪影響がある」というのが今は常識です。

 私の食生活を見てみると、やはり栄養のバランス云々以前に圧倒的にカロリー過多、炭水化物過多なのは明らかです。栄養バランスが崩壊しないように全体を減らすしかないという結論は明らか。だけどそれが一番難しい。間食が多すぎるってのは嫌ってほどよく分かってるんだが・・・。

 

忙しい方のための今回の要点

・一見して健康的な食生活をしているように見えて、実は栄養バランスが不十分という現代型栄養失調が増えている。
・特に現代は過度に肉類を減らすことによるタンパク質の不足が深刻化しており、現代日本人のタンパク質摂取量は戦後まもなくの1950年レベルにまで低下しているという。
・タンパク質不足は筋量の低下をもたらし、寝たきりの前段階のフレイルという状態に陥る可能性がある。実際に最近はこのフレイルに当たる患者が増えている。
・栄養摂取の目安として「手ばかり法」というのがある。主食は握り拳分、主菜は手のひら分、副菜は両手一杯というのが良いバランスだという。
・また不足した栄養素を補うのに一品加えるのが良い方法。カルシウム不足には木綿豆腐がおすすめ、絹こしの3倍の量が含まれるという。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・今の時代に栄養失調なんてって気がしますが、実際は特に若者の過度のダイエットが社会問題になっています。成長期に食事制限しすぎたせいで身体の基本がガタガタで、年を取ってきたらあっという間に寝たきりなんて事例が今後増加するのが確実だと言われてます。だからそれを懸念した欧米などでは、病的なガリガリモデルを出さないようにするなんて動きも出てます。その点、日本はまだ対応が遅れてます。

次回の健康カプセル

tv.ksagi.work

前回の健康カプセル

tv.ksagi.work