教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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10/11 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「味覚異常になる原因とは味覚チェック方法紹介!」

最近注目を浴びる味覚障害とは

 最近は「コロナを発症すると味覚を感じなくなる」とのことで、にわかに注目を浴びることになった味覚異常であるが、その発症原因には様々なものがあるという。今回はその味覚異常について、耳鼻咽喉科のはくらくクリニック院長の生井明浩氏が解説してくれる。

 まずは新型コロナで味覚障害を起こすメカニズムだが、まだ明らかではないが、恐らく嗅覚神経などを障害することで起こっているのではとのこと。これは私も同意見。

 味を感じるのは口の中にある味蕾という器官によるものだが、それが特に多いのが舌の上。そして舌には味ごとに感じる場所があるという話を聞いたことがあるのだが、これについては生井氏は明確に「嘘」と断言する。これには西尾氏が「えっ!?」という反応を示していたが、私も全く同じ反応。昔の教科書ではそう教えられたのは間違いない。生井氏によると、最新の研究によると一つの味蕾の中にすべての味覚を感じる部分があるのだということが分かったとのこと。と言うことは、舌がんなどで舌の一部を取り除いた時に甘味だけを感じなくなるというようなことはないということか。

 この味覚が鈍ると味付けが濃くなって、生活習慣病のリストが増加してしまうという危険がある。味覚異常は50を過ぎてから発症することが多いという。

 

味覚障害の症状と原因

 実際に味覚異常を発症した患者(当時31才)に経験を聞いているが、豚骨ラーメンを食べたら匂いはするのに食べたらお湯につけた麺のような感じで、ゴムを食べているような感じだったという。帰って塩をなめてみたら味を感じなかったという。思い返せば1年前から味が薄いなと感じてはいたという。当時は原因不明とのことでメンタル的なものなども言われたらしい。生井氏が改めて問診したところ、外食中心の乱れた食生活をしていたことが判明し、亜鉛不足が原因ではないかとの診断。

 亜鉛は新陳代謝に不可欠のミネラルであるが、不足すると味蕾の新陳代謝が出来なくなって味覚障害につながるという。味覚障害の原因の7割は亜鉛が絡んでいるとのこと。偏った食生活が原因となるが、加工食品に含まれるフィチン酸(安定剤として使用されるらしい)を大量に摂取すると、亜鉛をいくら摂っても吸収されなくなってしまうのだという。なお味覚障害は治るのに時間がかかり、今回の体験者も回復に3年ほどかかったという。味覚障害は発症から治療までに6ヶ月を過ぎると治りにくいとのことなので注意が必要である。今回の男性の場合は結婚して奥さんの手料理を食べているうちに、徐々に味覚が復活したという。

 味覚障害の症状には様々あり、まず8割を占めるのが味覚減退・味覚消失。つまりは味を感じにくい、感じないという症状である。さらに口の中に何も入っていないのに味を感じる自発性異常味覚、5つの基本味の中で特定の味だけ感じない解離性味覚障害、本来と異なる味を感じる異味症、何を食べても嫌な味がする悪味症などがあるという。

 

味覚障害を防ぐためには

 なお日本人は全世代で亜鉛が不足しているという調査結果が出ており、誰もが味覚異常になる可能性があるのが現状だという。積極的に摂取すべき亜鉛の多い商品と言えば、肉類では牛肉・レバー、乳製品ではチーズ、魚介類では牡蠣・カニ・ウナギ、海藻類ではワカメ・ひじき・海苔、その他ではゴマだそうな。こうしてみると、レバー以外はいずれも私はよく食べている内容だが・・・現代人が亜鉛不足になる原因は過労や睡眠不足によるストレスだとか。ストレスが亜鉛を消費させるのだとか。うーん、これなら思い当たるところはある。

 また辛いものが好きでやたらに香辛料を使用するような人は、味蕾やその周囲の細胞の機能を障害するので、味覚の感度が悪くなるとのこと。なお辛いという味は存在せず、この感覚はそもそも「痛い」である。で、番組では辛いものが大好きでアイスクリームにでも唐辛子を振りかけるという女性が登場したが、検査の結果は見事に軽度の味覚障害だった。辛いものを食べる時には水を飲むなどして口内を洗うことが重要とのこと。また舌をブラシでこするなどは味蕾の機能に障害を与えるとのことなので、ツルツルになっている舌は平滑舌という味蕾の機能が低下した状態であり、舌の表面はある程度ザラザラしているのが本来だという。と言うわけで一時流行した舌ブラシはアウト。

 また味が足りないと何にでもソースなどをドバドバかける人がいるが、あれは加齢による味覚の低下が原因とのこと。味蕾の数は年齢と共に減少し、70歳以上になると乳幼児の半分にまでなるという。味蕾の減少を防ぐにはガムを噛むなどで唾液を良く出すことが重要とのこと。味の成分は唾液に溶けることで未来で感じられるので、唾液が減ると味蕾が働くなり消滅するとか。

 さて味覚チェックの方法だが、水100ミリリットルに砂糖1グラムを溶かし、これをティースプーン1杯分を口に含んで甘味を感じられるかどうかで判別するとのこと。味覚が気になる人は耳鼻咽喉科へ相談をとのこと。

 

 以上、味覚についてですが、亜鉛が不足すると味覚異常になるというのは有名です。また亜鉛不足は全身の疲労などにもつながるというので、注意したいところです。というわけでこれからのシーズンは私は牡蠣を食べに産地に行くということをします。漁港で殻付き牡蠣を購入し、それを牡蠣焼き専用フライパン(テフロンフライパンのテフロンがはげたもの)を使用して蓋をして蒸し焼きにして頂きます。これがなかなかに美味。また牡蠣は高タンパクで以外にカロリーは低めなのでその点でもお勧め。私は極度に疲労した時には牡蠣を食べるのが回復に一番効果的というのを実感しています。

 なお私の母が味覚異常を発症したことがあります。突然に「味を感じない」と言い出したので調査をしたら薬の副作用が原因でした。希有な副作用らしいのですが、母の体質が見事にクリティカルヒットしてしまったようです。結局は薬を変更して味覚が回復するのには1年近くかかりました。高齢者が味覚異常を起こすと食欲低下につながるので、それが衰弱に直結して実はかなり危険です。

 私の父の方は高齢による味覚低下が覿面で、元々感覚の鈍い人が味がかなり分からなくなっているようで、放っておくと高血圧にもかかわらず調味料をドバドバとかけ、カツなんかはヘタしたらソースに浮いているような状態にしてしまいます。またかけたソースが衣などに染み込んで見えなくなったら、ソースがかかっていないと考えてさらにかけたしてしまうので困ったものです。おかげで我が家の調味料が異常なペースでなくなるということが起こったりしてます。

 なお辛味は味ではなくて口内への刺激による「痛い」という感覚だという話がありましたが、これは結構有名な話です。ですから私は、辛味好きは潜在的にM嗜好であるという仮説を提案してます(笑)。誰か証明して学会で報告してください(笑)。

 それにしても味ごとに舌での感じる部位が違うというのが「嘘」というのは一番の衝撃だったな。西尾氏なども私と同様に学校でそう習った世代だろう。やはり知識というのは常に最新のものにリニューアルしていくのが重要なようだ。歴史でさえ過去の通説がひっくり返ることがあるんだから、最新の科学になるとなおのことである。

 

忙しい方のための今回の要点

・味覚に異常を発症する味覚障害が増加している。発症は50を過ぎてからが多いという。
・原因の大部分は亜鉛不足だが、加工食品の摂りすぎはフィチン酸の摂取による亜鉛の吸収阻害を起こすので要注意。
・過労や睡眠不足などのストレスも亜鉛の消費を増大させる原因となる。
・辛味好きは味蕾の機能を阻害して味覚障害になる可能性がある。辛いものを食べる時は水などで口の中を洗い流すこと。
・また味蕾は破壊されやすいので舌ブラシなども注意。
・加齢は味蕾の数を減少させて味覚を鈍らせる。ガムを噛むなどして唾液を分泌させることが味覚の低下を防ぐ。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・私は食品的には亜鉛が不足しそうな懸念はないのですが、ただ多大なストレスは年中背負ってるので、気になるのはそちらですね。どちらかと言えば薄味好みで、ソースとかをダバダバかけるのは苦手なので、外食の時はそういうのはむしろ削ぎ落としてから食べる口なんですが。

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