隆起を続ける土地
ボスニア湾を挟んだスウェーデンのハイコーストとフィンランドのクヴァルケン群島は1万年前から大地が上昇し続けている。
『世界遺産』11/22(日) ハイコーストとクヴァルケン群島 〜 1万年上昇しつづける大地! 北欧の島々【TBS】
フィランドのクヴァルケン群島は細長い線のような島々が洗濯板のように並んでいる。ここでは年間9ミリ土地が上昇しつづけている。年1キロ平方メートルの土地が増えているのだという。大地の隆起で島と島の間の海が湖に変化する。かつて氷河が海底を押しながら海底に細長い皺を作り、これが隆起して細長い島になったのだという。
対岸がスウェーデンのハイコースト。入り組んだ海岸線に島が点在する景勝地。森にあるぽっかり空いた空間はかつての海岸線。200メートルも大地が上昇した。そこには海岸にあった丸い石がゴロゴロ転がっており、そのために木が生えないのだという。高い海岸線という意味でハイコーストなのだという。今も毎年0.7平方キロの土地が増える。だから入り江が孤立して丸い湖になる。
氷河が生みだした地形
土地が上昇し続ける理由はかつてここには巨大な氷河に覆われていたこと。ここは北欧を覆う巨大な氷河の中心の下にあった。そのために地面は2700トン/平方メートルの圧力で押されて、地面が800メートルも低下していた。それが氷河が消えてリバウンドしているのだという。このリバウンドが標高296メートルのスキューレ山を生んだ。ここは山頂にだけ小さな森があるのだが、その下はかつては海だったのだという。山頂はかつての海岸線で氷河の末端にあった。ここに氷河が運んだ土砂が溜まり、隆起の間に森となったのだという。
また200メートルに渡って高さ40メートルの巨大な割れ目が存在する。これは溶岩が冷えて固まる時に割れ目が生じたのだという。また氷河に運ばれた巨大な迷子石も各地で見られる。最大のものは25000トンもあるという。
フィンランドの海岸線から15キロの内陸にサンマルラハデンマキの遺跡が存在する。これは3000年ほど前は海岸線にあった古代人の集落だという。その後に土地が30メートル上昇して今のように内陸になったのだという。今も土地は隆起を続けているので、トリースンダ島の船を使って生活している人々は海沿いに家を建てるが、海岸線が離れると新たに海岸に家を建て直して生活している。
入り江が湖、湖が湿地に変わるそのことによって特有の植物が繁殖した。貝殻の石灰分があるために蘭が繁殖したのだという。
忙しい方のための今回の要点
・スウェーデンのハイコーストとフィンランドのクヴァルケン群島は1万年前から大地が上昇し続けている。
・これらの大地が上昇する理由は、かつてここが巨大な氷河に覆われていた時、その重みで800メートルも地面が押し下げられていたから。氷河が消滅したことでリバウンドを起こし、今も上昇を続けている。
・海岸が上昇することでかつての海が湖となり湿地となる。湿地には貝の石灰分が大量にあるために、蘭が繁殖している。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・それにしても年間9ミリの隆起って、考えてみたらすごい速度です。地面全体がそれだけの速度で上昇するのだからまだマシですが。これが局所的なものだったら、家なんて数年で傾いてつぶれてしまいますね。
・まあ土地が水没して減っていくのと違って、上昇して増えていくんだからまだ良いですか。
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