教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

12/6 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「骨卒中を防げ!健康的な骨の作り方」

寿命を縮める骨卒中を予防するためのセルフチェック

 今、医学界で問題となっている病気が骨卒中だという。これは高齢者が骨折したことがきっかけで活動が低下して死につながる症状で、実際に大腿骨骨折をした65歳以上の高齢者の5年後生存率は63%しかないという。そしてこの骨卒中の原因である骨折を起こす理由が骨粗鬆症。そこでまずはそのセルフチェックから始まる。

 チェックは4項目で、1.やせ形である 2.運動不足である 3.顔のシワやたるみが気になる 4.血糖値が高めである 以上該当数が多いほど骨粗鬆症になっている可能性が。番組では実際にこれらが3項目該当する女性と4項目該当した男性で骨密度の測定を行っている。

 骨密度は20代の平均値を100としてこれが80以下になると骨粗鬆症予備軍、70以下だと骨粗鬆症と判断できるという。先ほどの女性は実際に段差でつまずいてひざにひびが入ったなどの経験があり、予想通りに骨密度68%で骨粗鬆症との診断。男性の方は81でギリギリセーフだが、55才の平均値よりは下回っているという。

 

骨粗鬆症発生のメカニズム

 骨粗鬆症が発生する原因だが、骨は古くなった骨を分解する破骨細胞と新しい骨を作り出す骨芽細胞の働きによって新陳代謝している。それがこの活動のバランスが崩れて破骨細胞優位となると骨の分解に生成が追いつかなくなって骨がスカスカになり、いわゆる骨粗鬆症を発症することになる。

 このバランスが崩れる原因であるが、まず女性ホルモンの減少女性ホルモンには破骨細胞の働きを抑える効果があるので女性ホルモンが減少する高齢女性が骨粗鬆症を発症しやすい原因となるという。しかし原因は女性ホルモンだけでない。先ほどのチェックのやせ形というのと、運動不足というのは、骨に対する負荷が少ないという意味であるという。骨は負荷をかけることで丈夫になる。だから運動することによって骨に適度な負荷をかけることで骨芽細胞の働きが活発となるのだという。さらには運動以外では積極的に下り階段を降りるというのも骨に対する刺激になるのでお勧めとのこと。

 まあ下り階段が刺激になるというのはよく分かる。もっともこれは膝にも負担になるので要注意。さらに下りの方が太股の筋肉への負荷は実は大きく、翌日に痛みが発生する原因となる。ちなみに人間の骨は負荷がかからないと見る見る弱くなると言うのは知られており、だから頑強な宇宙飛行士が数ヶ月の宇宙滞在の後に地球に戻ると、自らの力では立ち上がることも出来ないほどに衰弱するのである。

 

頭蓋骨も実は小さくなっている

 さて3つめの顔のシワやたるみであるが、これは頭蓋骨が小さくなることで発生するのだという。実は頭蓋骨の重量は40代で650グラムあるのに対し、70代では280グラムまで減少するという(これは驚いた)。だから顎回りの骨が減ると頬の皺や法令線になり、目の回りの骨が減ると目の窪みや目尻の皺となって現れるのだという。特に下あごの骨は全身の骨の中でも骨密度の低下が最も大きい部位になるという。だからここの骨密度が低下している人は、全身で骨密度が低下していると推測されるという。

 予防にはガムをかむこと(つまりはあごを鍛えること)、さらには筋肉に働きかける方法としてほほえみ体操を提案している。これは上下の歯を1センチ程度開け、口角を奥に押し込んで上げる。そして10秒キープ。これを5セット繰り返すことで筋肉に引っ張られて骨に負荷がかかるのだとか。

 

骨の強度に影響する骨質

 なお骨の強さを支配する要素として、骨密度ともう一つ重要な要素があるという。それが骨質。それは骨の中に存在するタンパク質であって、骨がコンクリートだとしたら骨質は鉄筋だという。このタンパク質が糖化して劣化すると、骨は脆くなってしまう。だから4つ目の血糖値が高いというのが問題なのだという。で、先ほどの男性の骨質を調査したところ、見事に骨質に問題ありとの結果が。なお喫煙、高血圧なども骨質の悪化の原因となるという。

 骨を強化する食材としては、まずは牛乳や乳製品、小魚などのカルシウムを含む食材。これにカルシウムの吸収を高めるビタミンDを含む青魚やキノコ類を組み合わせるのが良いという。さらに骨質を良くするにはタンパク質に加えてビタミンKを含む納豆、ブロッコリー、ほうれん草がお勧めとのこと。

 

圧迫骨折の最新治療法

 また加齢によって咳などのわずかな衝撃で脊椎が押しつぶされる圧迫骨折が問題となる。これは放置すると寝たきりにつながりかねない。最後はこれの治療法を紹介している。

 患者は自宅で転倒してお尻と腰を打ったことで圧迫骨折をしてしまい、痛くて日常生活を送れなくなっているという65才の男性。彼は特に骨粗鬆症はないようだが、レントゲンを撮ると見事に脊椎がつぶれてしまっている。

 彼に施す治療法はバルーン椎体形成術というもの。全身麻酔の上で背中にパイプを通して脊椎のつぶれた部分をバルーンで膨らまして形を戻し、その後にその空洞に医療用セメントを流し込んで硬化させるというもの。手術痕はテープを貼っているだけで身体への負担が小さいのが特徴。手術は30分程度で終了し、2時間後には患者は痛みが消えたと言っている。そしてなんと翌日には退院である。圧迫骨折の治療もここまで進化したのだという。

 

 以上、高齢者に特に問題になりやすい骨折について。骨卒中という言葉は初めて聞いたが、大腿骨頭骨折は高齢者に増えており、特にここの骨折はもろに寝たきりになりやすいので、認知症などが急激に進行して寿命を縮めることになるというのはよく言われているところ。また圧迫骨折も高齢者に多い恐ろしい事例である。同時多発的に圧迫骨折が発生し、身長が大幅に縮んだなんて事例まで聞いたことがある。

 とにかく骨を守るためにはカルシウムと運動なのだが、牛乳については特に日本人は高齢になるにつれて体質的に飲めなくなる場合が多いから困りもの。実は私も気がつけば牛乳を飲むと下痢をする体質になっていた。まあチーズなどは摂ってはいるが。実は牛乳は嫌いではない(というかどちらかというと好き)なだけに、牛乳を飲めないというのは私的には大打撃である。これの回復方法はないのか?

 

忙しい方のための今回の要点

・高齢者が骨折をきっかけに大幅に寿命が縮む骨卒中が問題となっている。
・骨折の原因となるのは骨粗鬆症。破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスが崩れることで発生する。
・女性ホルモンには破骨細胞の働きを終えサル作用があるので、高齢女性が骨粗鬆症になりやすくなる。
・また骨への負荷が少ないと骨密度が低下する。だから運動などで骨に適度な負荷を与えるのが骨を丈夫に保つコツとなる。
・さらに頭蓋骨も骨が減少してくるので、それが原因となって顔のシワやたるみにつながりやすい。防ぐためにはガムなどをかんで顎を鍛えること、また顔の筋肉を刺激するほほえみ体操などがある。
・骨の強度に影響する要素は骨密度だけでなく骨質もある。骨質は骨の弾力性を保つためのタンパク質であり、これが糖化などによって劣化すると骨が脆くなる。だから高血糖や喫煙、高血圧なども骨を弱くする原因となる。
・骨を丈夫にするにはカルシウムとビタミンDの摂取、骨質についてはタンパク質に加えてビタミンKを摂取するのが効果的。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・私は骨は今まで何度か転倒した時に「これは骨が折れたな」というシチュエーションで悉く骨折を免れているので、弱いと言うことはないと思うのですが、高血糖が該当するので骨質の方は不安がかなりあります。気をつけないと、ある日突然にボキッなんてことがあるかもしれない。最近は運動不足もひどいし。あのチェックの中ではやせ形でだけはないですね。

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