教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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12/27 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「山梨県に学ぶ!健康長寿の秘訣」

健康寿命1位の山梨県に学ぶ

 最近は単なる寿命ではなく、実際に健康的に活動を続けることが出来る年齢、いわゆる健康寿命というものが重視されているが、男女ともにそれが1位なのが山梨県だという(西尾氏が沖縄か長野かと思っていたと言っていたが、沖縄はアメリカ型食生活の流入が祟って近年急激に寿命が縮んでます)。その山梨県に健康長寿の秘訣を学ぼうという話。

 

生涯現役の高齢者

 まず山梨県の高齢者の特徴としてピックアップしているのが、働いている高齢者が多いというもの。特に農家などで生涯現役の方が多い農作業は身体を動かすし、歩き回ったり踏ん張ったりで下半身が鍛えられる。これは当然のように健康長寿に貢献する。中には100才を越えて現役で農作業をされている方も。皆さん、高齢になっても健康診断の結果などは健康そのものだという(だからこそまだ農作業が出来るのか、農作業をしていたから健康になったのかは鶏と卵だが)。やはり農家には健康な方が多いという話(私自身もこれを地方で目の当たりにしている)。番組では触れていないが、農家の人は農薬などを使わない自家栽培の野菜を食べているし、さらに山梨は水も良いということも影響していると私は推測する。

 また農家以外でも工場で働いている超ベテラン職人なんかも存在する。やはり手を動かすということは脳に対する刺激になって脳機能の衰えを防ぐとされている。なお番組では身体を動かすという観点のみに注目しているが、社会の中で現役で活躍することによる精神的効果もあるだろう。もっともこういうことばかりを喧伝すると、今の政府などは「年金受け取るな、高齢者は死ぬまで働け、そして竹中平蔵のためにパソナに中抜きさせろ」とか言い出しそうだが。

 と言うわけで番組ではまずスクワットで下半身を鍛える(この時に膝がつま先よりも前に出ないように注意)。さらに手先を鍛えるという意味で輪ゴムを指の動きだけで小指から順に親指に移動させ、次はその反対という輪ゴム手指体操を紹介している。これについては脳の血流云々以前に器用かどうかを問われるところがある。ところでキーボードを叩く作業は手先を使っていることになるんだろうか?

 

山梨特有の食生活が健康効果を持つ

 次は食生活に注目しているが、やはり山梨と言えばほうとうほうとうと言えば不可欠なものはカボチャだが、それに人参など有色野菜が多いのが特徴。このような有色野菜は抗酸化作用のあるポリフェノールを含むので、これが動脈硬化などを防ぐと言われている。実際にほうとうを好きな人はそうでない人よりも、1年後に生活活動を維持できる確率が高いなんて話もあるとか。なお私もほうとうは大好きで山梨に行くと必ず食べてます。山梨には別名ミレー美術館とも言われている山梨県立美術館があり、その向かいに有名なほうとうのチェーンである小作の店舗があるのでそこで昼食を摂るというのが私の定番巡回コースだったんですが、残念ながらコロナの影響で小作の県立美術館前店は閉店になってしまったようです。

 また山梨県の意外な食文化としては寿司屋の数が全国1位なんだとか。特に山梨県民はマグロが大好きらしい。一世帯当たりのマグロの購入量は全国2位とのこと(ちなみにぶっちぎりの1位は隣の静岡県)。何で海のない山梨県で?と感じるのだが、江戸時代から中道往還という街道を使うと一昼夜で魚を輸送できるので、年中魚を生で食べられたとか。既に江戸時代からマグロを食べていたというから、これは意外なところ(ちなみに江戸ではマグロは人気がなかった)。そしてマグロはEPAやDHAが非常に多いので、これが健康効果があるというは近年有名なところ。

 

山梨独自の文化も健康効果がある

 さらに山梨独特の文化も影響しているという。山梨で多いのが無尽会。これはメンバーが金を出し合って必要な人がそれを使用するという共済システムである(サラ金の「ラララ無人クン」ではない)。その金をやりとりするための集会が無尽会らしいが、結局はこの伝統が今日では月に1回程度金を出し合って開催する食事会として残っているらしい。様々なメンバーが定期的に集まるので、そこで健康情報も含めた情報交換が行われるし、たまたま顔を合わせた時に「あれ?お前ちょっとやつれてないか?」なんてことにもなるの変化に気づくきっかけとなるとのこと。このような社会や地域における人々の結びつきがソーシャルキャピタルと言われて現在注目されているという。参加者も「ストレス解消になる」なんて言っていてその点でも有効。


 以上、山梨の生活についてですが、やはり自然とある程度結びついての、昔ながらののどかな生活という要素がやはり健康長寿には良いようです。そりゃ高ストレスの東京なんかで暮らしていたら健康長寿なんて難しいと思う。空気は悪いし、食品は添加物や農薬で汚染されているし、水なんかも極めて怪しいしなんて環境で健康長寿を保てたら、むしろその方が異常。

 

忙しい方のための今回の要点

・健康寿命が男女とも1位である山梨県の生活スタイルから健康長寿の秘訣に迫った。
・山梨は現役で働いている高齢者が多い。農作業などは足腰を鍛えることになるし、職人などで手を使うことで脳を刺激している者もいる。
・また山梨の郷土料理ほうとうはカボチャや人参などの有色野菜を含んでおり、ここに含まれる抗酸化作用のあるポリフェノールが動脈硬化などを防ぐ。
・さらに山梨はマグロの消費量が多いのだが、マグロのEPAやDHAも健康効果がある。
・山梨独特の文化として無尽会があり、様々なメンバーが定期的に顔を合わせて会食をしている。このような地域のつながりはソーシャルキャピタルと言い、これも健康に影響することが近年注目されている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・山梨っていいところですよ。私は好きですね。食べ物も美味いですし何よりも水がすごく良い。だからそれを使った美味い甘酒がある(私は酒は飲めませんので)。
・だけど、関西からだったらアクセスが悪いんで、残念ながら行く機会はそう多くないんですよね(関西からだったら東京経由になるので交通費が高い)。だからあそこは関西からは「距離の割にかなり遠いと感じる地域」でもあります。ちなみにその感覚で行けば、国内で関西からもっとも遠い県は秋田県です。

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