教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

3/14 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「必見!危険な頭痛の見分け方」

命に関わる危険な頭痛

 頭痛に苦しめられている人は少なくないが(日本人の4割が該当するとか)、緊張性頭痛や片頭痛のように直接に命には関わらないような頭痛だけでなく、致命的な脳の疾患などが頭痛の形で現れることがある。そのような危険な頭痛をどうやって見分けるか。

 番組にいきなり登場するのは、単に頭痛だと思っていたら実は4.5センチの脳腫瘍が出来ていたという女性。彼女は頭痛持ちで常に頭痛薬を持ち歩いている人だったらしい。

 偏頭痛、緊張型頭痛のような頭痛は脳に特に異常はない一次性頭痛であり、脳には異常はないので本人が苦しいのはともかくとして命には別状ない。しかし問題となるのが二次性頭痛というもので、これが命に関わる頭痛であり、これを早期に判別するのが重要である。

 

脳腫瘍による頭痛

 脳腫瘍の彼女の場合、頭痛だけでなくその内に耳が詰まったような感じが現れるようになったという。そこで耳鼻科で検査を受けたが異常はなかったという。そうこうしている内に顔の左側だけがしびれるようになったことから脳を疑って脳外科を受診したのだという。するとCTの結果腫瘍が見つかったのだという。幸いに早期の摘出手術で彼女は健康を回復したという。

 脳腫瘍は脳自体だけでなく脳を覆う膜や頭蓋骨などに腫瘍が発生することもあり、これらの腫瘍が脳を圧迫する症状だという。彼女の場合は三叉神経の近くに腫瘍が発生したために、聴力障害や顔面のしびれが現れたのだという。なお脳腫瘍による頭痛は、睡眠中に頭に血が集まることから、圧力が上がって圧迫されるため、朝方に発生することが多いという。頭痛薬を飲んでも回復せず、日に日に痛みが強くなる場合は危険であるという。

 

くも膜下出血に伴う頭痛

 さらに危険な頭痛はくも膜下出血。幸いに早期治療によって社会復帰した者も1/3いるとのことだが、これで亡くなる者が少なくないし、重度な後遺症が残る場合もある。これは脳のくも膜の下の動脈が動脈瘤などを生じて破裂することで発生する。

 くも膜下出血には警告頭痛が発生する場合がある。これは少量の出血や、動脈瘤が含んだ刺激で発生するという。症状は片頭痛に類似し、大出血の数時間から数週間前に見られる場合があると言う。これを見極めるポイントは吐き気を伴う事例が多いということだが、偏頭痛でも吐き気が起こることがあるので難しい。さらなるポイントは「薬が効かない」、またかすかでも意識に障害が出る場合は危険だという。また目が開かなくなるという症状が出ることもあると言う。

 ただしこのような前兆がなく突然に大出血が起こることがある。よく「バットで頭を叩かれたような痛み」と表現されるが、雷鳴頭痛と言われるという。早期に対処しないと直ちに命に関わる。一刻も争う状態である。なお高血圧、たばこ、大量の飲酒が危険要因とのこと。

 

髄膜炎による頭痛と薬が原因となった頭痛

 さらに命に関わる頭痛としては髄膜炎がある。細菌やウイルスが脳を包んでいる膜で炎症を起こす症状。首を動かしにくくなるなどの症状が出るという。

 なお鎮痛剤を飲み過ぎるとそれが原因となったタチの悪い頭痛を発症することがあるので、鎮痛剤は服用しすぎないように注意とのこと。

 

脳ドックと手術法について

 ではこれらの病気を防ぐにはどうするかだが、注目されているのが脳ドック。番組ではレポーターが実際に体験しているが、MRIと脳の血管を視覚化するMRAを実際に受けている。これらは頭を固定して同時に測定するらしい。検査時間は20分程度

 ではこれで動脈瘤などが見つかる事例だが、検査した5%ぐらいでは見つかるとのこと。対処としては5ミリ以下で単独ならしばし様子見で半年後に再検査。特に大きくなる様子がなければひとまず経過観察。なお動脈瘤は自然治癒することはないので、原因要素を排除する生活改善で大きくなることを防ぐことが出来る。

 治療するとなった場合は瘤の大きさや位置で開頭手術によってクリップで血流を留めるクリッピング術か、カテーテルで動脈瘤内にコイルを詰めて閉塞させるコイル塞栓術がある。なお脳ドックだが自由診療になるので一般的に4万~8万円とのことなので、貧民は命を守ることも難しい。


 以上、危険な頭痛についての紹介。私は特に頭痛持ちというわけではないが、睡眠不足など身体に負担があったら偏頭痛のような症状が発生することはある。さらに強度な精神的ストレスで頭の一部が極度に痛むことがあるのだが(私の場合は前頭部)、これは一体どういう頭痛で危険性はないんだろうか? なお眼精疲労に基づく鈍い頭痛はしょっちゅうです。

 

忙しい方のための今回の要点

・片頭痛、緊張型頭痛などの脳などに異変のない一次性頭痛でなく、脳の機能に致命的な障害が発生している二次性頭痛というものも存在する。
・一つは脳腫瘍が発生している場合。腫瘍に圧迫させて頭痛が発生する。神経が圧迫されることによる身体の障害が出たり、日に日に痛みが強まる場合は要注意である。
・二つめはくも膜下出血の前兆頭痛がある。吐き気を伴う場合が多いのが特徴だが、偏頭痛でも吐き気を伴う場合があるのて区別が難しい。わずかでも意識障害が生じたら危険。
・さらにくも膜下出血は前兆なしに大出血を起こす場合もある。この場合は「バットで殴られたような」と形容される雷鳴頭痛を発症し、直ちに対処しないと命が危険である。
・また髄膜炎による頭痛も存在するが、これは首を動かしにくくなるのが特徴。
・これらの病気を防ぐには定期的な脳ドックで動脈瘤などをチェックするのが大切。
・瘤が見つかった場合、5ミリ以下で単独なら経過観察、大きい場合にはクリッピング術とカテーテルを使用したコイル塞栓術がある。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・脳ドックとかも受けたい気持ちはあるんですが、4万~8万と言われるとハードルが高いです。とにかくこの国では生きていくのに金がかかりすぎる。

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