教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

4/2 テレ東系 ガイアの夜明け「今こそ攻める!外食チェーンの秘密」

 金曜日に移動したこの番組ですが、その最初はコロナ禍で苦戦する店が多い中で必死で頑張って攻勢に転じている外食チェーンについて。

 

苦戦する中で新店舗展開を目指す日高屋

 駅前店舗で有名な「日高屋」。安価なラーメンと深夜営業などが人気で、サラリーマンなどの支持を受けている店である。しかしこのコロナの影響を受けて都心などからサラリーマンが激減、売り上げは前年の50%まで低下したという。テレワークだけでなく、時短営業が響いているという。昨年度は創業以来最大の30億円の赤字の見込みという。

 会長の神田正氏は現在80才。若き頃に駅前に深夜営業のラーメン店を出店して成功、そこから都心を中心に駅前に400店を構える大チェーンにまで成長させた苦労人である。この神田氏はあえてこの時期に攻勢に出ていた

 80歳になっても神田氏は出店物件は自ら足を運んで視察するという。日高屋に向いている物件は駅前であまり大きくない物件だという。今はコロナの影響で撤退する飲食店などが多く、駅前の一等地でも空き店舗が出ており、テナント料も低下しているという神田氏は自ら駅前の人通りなどをチェックして店舗の見極めを行っている。

 

時代の変化に合わせて戦略の変更も

 その一方で、状況の変化を受けて大胆な方針転換も行っていた。駅前出店をやめて郊外のロードサイド出店を行うことにしたのだという。やはりテレワークの普及に伴う人の動きの変化が影響していた。神田氏が目をつけたのは郊外型飲食店が競合するロードサイドのあまり大きくない店舗。店舗規模が日高屋に向いているのと、他の店舗が出店すると言うことはそれだけの市場があると見込んだのだという。また競合となる中華料理店は存在していない。

 ただここに出店するとなると、周辺の住宅地を考慮して今までのサラリーマン中心から家族需要を想定する必要がある。そのためには女性にうけるメニューの開発が必要だし、またこのご時世下で持ち帰り弁当も検討する必要がある。

 それを担当したのは社長で神田氏の義弟の高橋均氏(73才)。これまでも神田氏が物件、高橋氏がメニュー担当で日高屋を成長させてきたのだという。高橋氏は女性向けに酸辣湯麺を開発。これを女子社員に試食してもらったところなかなか好評。さらには彼女たちの意見を入れて持ち帰り弁当の内容も決定する。

 こうして新店舗開店。出足はなかなか好調で狙い通り女性客も取り込めている。また弁当も順調に売り切れた。神田氏はさらなるロードサイド新店舗の展開も決定、日高屋にはやや大きすぎる店舗の半分だけを日高屋に改装して、残りの半分には別業態の店舗の入居を求めるという形での営業を目指しており、現在は豆腐店と交渉中。飲食業界は人が命という神田氏は、この状況下で社員達に臨時ボーナスを支給してさらなる勝負に挑んでいる。

 

好調かつやが狙う新業態

 一方、苦戦する外食チェーン中で好調を保っているのがとんかつのかつや。カツ丼で人気のあの店である。コロナ禍でも郊外の客を掴んで時短営業にもかかわらず売り上げは前年を上回ったという。しかしかつやを運営するアークアンドサービスホールディングの社長の臼井健一郎氏によると、かつやが好調と言っても全く楽観できる状況ではないという。というのも、都心に出店している海鮮レストランなどの大型店舗がコロナ対策が困難なために軒並み閉店であり、これらの店舗は1店でかつや10店分の収益があることから、かつやを10軒単位で閉店しているのに等しいという。

 その臼井社長が始めてたのが新しいテスト店舗。ここで昼食時に30食限定で新メニューを出してみて、客の反応を見た上で新しい業態の検討を行うのだという。各メニューは基本的に1週間単位で、臼井社長が手がけたレストランのエースシェフが新メニューに挑む。それを客に食べてもらってアンケートを書いてもらい、その内容を参考にするのだという。やはり内輪だけの評価だと、担当者の苦労を知っているだけにどうしても忖度して評価が甘くなりがちだからだという。

 番組が注目したのはイタリアンのシェフの中島宗則氏とエスニックの舘山修氏。館山氏は女性をターゲットにベトナム料理のフォーで挑んだ。チキンのフォーとビーフのフォー、さらにハーフ&ハーフで挑戦。やはり両方を楽しめるハーフ&ハーフが一番好評だったという。アンケート結果も上々だったのだが、臼井氏によるとどうも無難な回答が多かったことから、いわゆる病みつき性にかけるのではないかとの判断。もう少し特徴を持たせた方が良いと言われる。そこで1週間延長して館山氏はもっと濃いめの味付けにして再挑戦する。

 一方の中島氏が用意したのは日本人には馴染みの少ない羊肉を使用したラーメンなど。鳥よりもカロリーが低いといったヘルシーさで女性などに受け入れられると判断したのだという。シンプルなラーメンとスパイシーな担々麺、さらに濃厚な羊ラーメンの3種を用意した。すると狙い通りに女性に好評。羊は苦手だったという女性からも好評を得る。結局は臼井氏はこの羊食堂を現在展開している唐揚げの店から切り替えることを決定した。またフォーについても出店を検討しているという。

 

 コロナ禍で外食チェーンも大打撃を受けて青色吐息のところが少なくない中、あえて勝負に出ようとしているチェーンを紹介。まあライバル店が体力を失っている今は一つのチャンスという捉え方もあるのだが、市場全体が縮小している中で勝負を挑むのは大博打でもある。それが吉と出るか凶と出るか。ただ日高屋のような普段使いの飲食店は常に一定の需要はあるので、それが強みではあると思う。かつやが順調なのもまさにそこに原因があるだろうし。

 なおかつやは私も時々利用します。確かに普段使いとしてはCPがなかなか良いんです。日高屋は私が定宿としている南千住の駅前にあるので知ってますが、私は一度も入ったことがありません。正直なところチェーンの定食屋の類いはあまり良い印象を持ってませんので。ちなみに南千住には競合としてはやよい軒が存在します。日高屋としてはこのような競合の動向も気になるところでしょう。

 ちなみに私は今まで何度も日高屋の看板を見ていたのですが、あの独特の字体のせいで「回高屋」だと今まで思ってました(笑)。実は「日高屋」だと知ったのは今日が初めてです。

 

忙しい方のための今回の要点

・外食チェーンが苦戦する中で、駅前店舗を特徴とする日高屋では新たな出店を計画していた。現在は売り上げが50%低下して、創業以来最高という30億円の赤字を出した日高屋であるが、駅前店舗に撤退が増えて良質な物件が増えている今はチャンスでもあると言う。
・一方でテレワークの普及による人の流れの変化にも注目し、今までの駅前出店からロードサイド出店にシフトする動きも行っている。また家族需要を狙って女性受けする新メニューも開発、持ち帰り弁当なども開発して勝負に臨んでいる。
・苦戦する外食チェーンが多い中で、郊外の客を取り込んで好調なのはかつや。昨年を売り上げを更新したという。ただ経営するアークアンドサービスホールディングの社長の臼井健一郎氏によると、都心の大型店の閉店が多く、全く楽観できる状況ではないという。
・そこで臼井氏は新たな業態を探るテスト店舗を開いて、昼食限定で30食のメニューをエースシェフ達に開発してもらって反響を見ている。その中から羊料理の店とフォーの店の出店を検討することとなった。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・外食チェーンも大変だろうと思います。とにかくみんなでワイワイガヤガヤと食事というのが出来ないご時世になってますので。こんな時にあるのは家族単位での普段使いなので、それに対応できるチェーンはどうにかなってますが、対応できないチェーンは瀕死状態のようです。そこで明暗がかなり分かれてます。
・なおもっと悲惨なのは個人経営の店舗で、資金力も無いことからコロナ禍の長期化で持たないところが続々と出て来ているようです。気がかりなのは、そもそも薄利で商売をしていたような優良店舗ほどコケていること。コロナ禍が終息しても、クソ面白くないチェーン店と、ボッタクリのろくでもない店舗だけが生き残るような気がしてなりません。特に東京のような地代の高いところほどその傾向が顕著になるでしょう。

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