サビとは何であるか
今回のテーマはサビ。知らない間に鉄が錆びてしまって困ったことは多いと思うが、それをどうするかという話。
まずはサビとは何であるかであるが、これは言うまでもなく鉄が酸素と結びついた酸化鉄。水があるとこれが出来やすくなる。
番組では製鉄所を訪問してラインを紹介しているが、鉄鉱石を巨大な溶鉱炉で溶かして、その過程で不純物を除いていって最終的に鉄が出来る。この元々の鉄鉱石であるが、これがそもそもサビのようなものである。番組では鉄のフライパンの表面のさび止めを剥がして、それを濡れた手で触るという実験をしているが、5分でサビが出始め、1時間も経てば真っ赤になっている。鉄とはかくも錆びやすいのである。
サビが出来ることで鉄がボロボロになってしまう
サビが出来るメカニズムだが、鉄に水がかかるとそれに溶けた酸素が結合してサビが生成するのだという。なおこの時に出来るサビには水素が含まれており、スカスカの構造になるのでそこに水が浸みてよりサビが成長するということになる。
番組では金属製品を野外に晒してサビの状況を調べる暴露試験場を取材しているが、5年屋外で放置した鉄板はボロボロで、さびを落としてみると窪みだらけになっている。750グラムだった鉄板が600グラムになってしまったとか。このようなサビを放置すると危険で、台湾では橋を吊すワイヤーが錆びたことで橋の崩落が起こり、6人が亡くなった。このような事故を防ぐには定期的なメンテナンスが必要で、日本全体でサビ対策費用は年間4兆3000億円もかかっているという。
ではサビをどうやって取るかだが、番組で紹介する方法はケチャップをつけてから乾かないようにラップを巻いて30分放置、それから歯磨き粉をつけた歯ブラシでこするという方法。酸を使用することでサビを溶かすことによって浮かして削り落とすのだという。
ステンレスに出来るサビ
サビと言えば金以外のあらゆる金属で生成するが、錆びない鉄と言えばステンレス。ステンレスは鉄をクロムやニッケルとの合金にすることで、表面にクロムのサビの被膜が出来て保護しているのでサビが出来ないのである。しかしこのステンレスも上に鉄を置いているとサビがついてしまう。これは上の鉄が錆びて出来たサビが付着したもらいサビだという。しかもステンレスと鉄を密着させていると鉄がより錆びるので(電気の関係のはずである)、あっという間に錆びだらけになる可能性がある。
さらに怖いのは最初はサビが付着しただけだが、これが出来ることでクロムの被膜が弱くなってしまって、ついには中の鉄の層に貫通してしまってステンレスの本体が錆びてしまうことがあること。こうなると放置していたらステンレスがボロボロになってしまう。そう言うわけでステンレスのさびは見つけたら早めに取っておくことが重要という。
サビを防ぐには
なおサビの中には有用なサビもある。それは黒サビというもので、南部鉄の鉄瓶などは鉄瓶を作った後で900度で焼成することで強固な黒サビの層を表面に作っている。これが保護膜となって内部が錆びないという仕掛けである。
なお鉄製品は使った後はお湯で洗って拭き取るのが基本。なおフライパンなどの場合はから焼きして水分を飛ばすのがよい。また長期保存する時は新聞紙などで巻いておくと、新聞紙が水分を吸収するのでサビを防げる。
以上、サビについてですが、まあ常識レベルかな。さび落としにケチャップを使用するというのが面白くはあったが、さび落としに酸を使うということを考えるとまああり得る展開ではある。
ちなみに赤サビと黒サビの話は化学の教科書にも載っているので、学校で習っているはずですが。私の時は鉄釘を焼いて黒サビを作ることでサビに強くするという実験をした記憶があります。まあ錆びるのが問題の時は最初からステンレス釘を使いますが。もっともステンレス釘は鉄釘よりも柔らかいのか、金槌で打つ時に曲がりやすいんですよね。なお鉄釘は錆びることで抜けにくくなるという効果もあるとのこと。
忙しい方のための今回の要点
・鉄は錆びやすいので水がかかるとすぐにサビが出来る。そしてそのスカスカのサビが水分を含むことでサビがドンドンと深くなっていく。
・サビを落とすには酸を使う。ケチャップを塗って30分後に、歯磨き粉をつけた歯ブラシで磨くという方法を紹介。
・ステンレスはクロムのサビで表面を覆うことで錆びることを防ぐが、鉄を接触させるともらいサビをするので要注意。
・また伝統的なさび防止の方法に、南部鉄瓶のように黒サビで表面を覆う方法がある。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・身近なところで錆びて困るものといえば自転車が一番に浮かびます。とにかく野外においておくとあっという間に錆びてボロボロになりますので。特に海に近い地域だと顕著。また意外と知られていないのがテレビのアンテナ。
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