教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/7 テレ東系 ガイアの夜明け「冷凍食品の熱い闘い!」

コロナで売れ行き順調の冷凍食品の開発現場に密着

 コロナの影響による巣籠もり需要で、急激に売り上げを伸ばしているのが冷凍食品。料理教室では冷凍食品を利用した時短メニューの紹介も大好評であるという。そこで冷凍食品の新商品の開発現場に密着した。

 

新たな冷凍シュウマイ開発に挑む味の素のシュウマイ王子

 味の素では新しい冷凍シュウマイの開発に取り組んでいた。シュウマイは餃子と共に冷凍食品の花形である。競合他社や専門店の売れているシュウマイを試食してその味のパターンを分析する。開発リーダーはシュウマイ王子こと朴泰洪氏。営業部門で売り上げを伸ばして2年前に抜擢されたという。彼が考えたのは大きなエビを特徴とした新しいシュウマイ。調理実験室でエビの大きさ、加える調味料、肉の温度や具材などあらゆる条件を吟味する。

 そこに現れたのが同期で餃子を担当している餃子王子。味の素の餃子は業界トップを突っ走っている看板商品である。社内では「餃子は太陽、シュウマイは月」と言われているとか。密かに対抗心を燃やす朴氏。

 試作した製品は官能評価室に回され、社内でも味覚に優れた社員がそこで試食検査する。その結果「特段食べ応えがあるわけでない」という手厳しい評価を受ける。改良に取り組んだ朴氏は具材を混ぜる時間を変更し、その具材を物性測定器で粘りなどをチェック、これが食感にどう影響するかを吟味する。そして10ヶ月後、最後の関門である社長の試食を受ける。ここであえて専門店のシュウマイと食べ比べてもらうという勝負に出た朴氏、社長からも「負けていない」という評価を受け、「大海老焼売」発売が決定される。

   
これがAmazonでも売ってたりするんですよね・・・

 発売が決定されてもそれで終わりではない。販売店からの声を元にさらに商品の改良に挑む。朴氏の挑戦に終わりはない。

 

冷凍庫から出してすぐに食べられるコンビニスイーツの開発

 一方、ローソンが挑戦していたのは冷凍庫から出してそのまま食べられるスイーツ。開発リーダーの前田恵助氏は既に一ヶ月、各地から送られてくるスイーツを食べ続けている。しかしカチカチでスプーンが通らなかったり、霜が付いていたりなど、なかなか納得できる商品に当たらない。前田氏は昨年、冷凍ローストビーフをヒットさせ、開発リーダーに抜擢されたのだという。

 納得できる商品に出くわさず発売延期の文字も頭に浮かびだした前田氏が出会ったのが、初めて取引をする菓子メーカーが持参した冷凍アップルパイ。冷凍しても凍らないクリームを使用し、サクッと切れる生地の中にクリームとリンゴが入っている。試食した前田氏は手応えを感じる。

 北千住の工場に直々乗り込んだ前田氏は、リンゴの切り方のサイズの吟味を始める。1センチ角のものと2センチ角のものを食べ比べた結果、あえて若干の凍った感じが残る2センチを採用することにした。

 彼のアップルパイは社内プレゼンにかけられる。ここで彼の商品を吟味するのは、ローソンの冷凍食品開発に最初から携わってきたミスター冷食こと林洋一郎氏。彼が納得しないと発売にGOサインは出ない。前田氏は冷凍庫から出したばかりのアップルパイを試食してもらうが、林氏からも生地のサクサク感をもっと増す必要があるとの指摘が出る。

 早速工場に向かった前田氏はパイ生地を何層にするかのテストを始める。その結果、64層の生地を採用することに決定する。そして再プレゼン、これがダメなら発売延期も。しかし林氏からはGOが出る。ちなみに番組では松下奈緒が実際に試食してサクサク感を宣伝している。

 

 まあ開発物語なんですが、この番組に時々ある露骨なメーカーCMです。今回なんて商品までピンポイントですからかなりの宣伝効果はありそう。

 食品開発の現場を紹介しているのは興味深かったですが、まあジャンルが違っても開発の現場って言うのは大体同じようなものなんだなというのは良く分かった。もっとも食品の味などと言った個人の好みの影響の大きい分野は一概に数値でスペックを決定しにくいところが難しいのではとは感じた。本当に世の中、いろいろな好みの人がいるから。だから万人共通で美味いものマズいものというのは決められない。とか言って最大公約数を狙ったら特徴が無くなって誰からも相手にされなかったりするから難しいところである。

 

忙しい方のための今回の要点

・コロナの巣籠もり需要で売り上げが増加している冷凍食品の開発現場に密着。
・味の素では新しいシュウマイの開発に取り組むシュウマイ王子の活躍を追跡。海老の食感を生かした新しいシュウマイを開発するべく。調味料から具の練り具合まで様々にテストを行った結果、最後は食味検査を受けて新商品発表にこぎ着ける。
・ローソンは冷凍庫から出してすぐに食べられるスイーツの開発に挑戦、その結果、アップルパイを採用することにする。リンゴの大きさや生地の層数なども検討し、最後は社内プレゼンでGOサインを獲得する。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・私は餃子はあまり得意でないので、冷凍食品は専らシュウマイですね。以前のヒット作として登場した味の素のシュウマイはよく知っています。まあ今度の新商品もいずれ食べることになるとは思いますが。そう言えば海老焼売は良くありますが、カニシュウマイの美味しいのに当たった経験はないですね。カニシュウマイの方が難しいのかな。
・昔はシュウマイと言えばまずはグリーンピースが乗っていたものですが、あれが特に冷凍シュウマイの場合はマズかったんですね。最近はあれがなくなったのは助かります。
・とにかく冷凍技術は近年の進歩が著しいので、最近の冷凍食品は冷凍による味の劣化というのがほとんどなくなってます。これは非常に大きい。

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