教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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5/21 テレ東系 ガイアの夜明け「アパレル サバイバル~コロナで激変!生き残るブランドは?~」

苦境の三陽商会の再生に取り組む社長

 コロナの影響をもろに受けているのがアパレル業界である。実際にレナウンなど倒産する会社も現れた。また在宅勤務などの増加によって、半分近くの人が「洋服にかける予算が減少した」と答えている。アパレル大手3社の売り上げも軒並み激減で赤字が並んでいる。そんな一角の三陽商会に密着。

 三陽商会では社長が若手の意見を聞く会が開かれていた。以前に3回行われたように人員削減があるのではないかと不安を語る若手社員に対し、大江社長は「現在の人員は反転攻勢のための最少人員であり人員削減は考えていない」と答える。

 73才の大江社長は昨年5月に再生を期待されて三陽商会の社長に就任した。三井物産の生地貿易畑を歩んだ大江氏は2007年にゴールドウインに転進、見事に会社の再生をなしている。その手腕を買われての起用である。1942年に創業した三陽商会はバーバリーブランドなどで急成長し、1990年代までは右肩上がりの成長をした。しかし2015年に契約が終了してから売り上げが急減、その後の5年は赤字が続いている。今年度中に黒字転換するのが大江氏の使命である。

 ペットボトルなどをリサイクルしたブランドであるエコアルフを視察した大江氏は、ブランドの顔となる商品の開発の必要性を訴える。さらにポール・スチュアートの新店舗を出店するなどの顔を作ることに注力している。さらに大江氏の再生プランには百貨店依存の脱却も掲げている。百貨店内の売り場を試着してもらう場にし、ネット販売に注力するなどの新展開も推進中である。客は手ぶらで帰れて、三洋も余分な在庫を抱える必要がないメリットがあると言う。百貨店で儲かる売り場作りを考えている。価格に機能が見合えば高くても売れる。薄利多売でない付加価値を目指している。確実に売れる服だけを作るという方向も考えている。

 

基幹ブランドの新戦略を展開するが

 三陽商会の婦人服企画課の森氏に託されたミッションは、基幹ブランドであるEPOCAにおいて新商品の開発。ここで森氏はラインナップを4割減らして売り切ることを求められていた。森氏はヒントを求めて販売店長などからの意見を聞き、仕事着にも普段着にも使えて洗えるというのがポイントという話を聞く。生地メーカーを訪れた森氏は、段ボールニットという厚みがあって保温性があり、洗えるという生地に目をつける。

 しかしその頃、三陽商会に激震が走る。従業員の1割に及ぶ希望退職の実施が発表されたのである。大江社長によるとコロナ禍の想定以上の拡大・長期化により、状況が多く変化し、より一層の経費削減が余儀なくされることになったのだという。森氏もショックを受けるがミッションを続ける必要がある。

 森氏は7月販売用の試作品を作るが、販売員から聴取からは「7月販売用にしては生地が厚すぎる」という指摘を受ける。結局はこれらの商品は10月に投入することにし、7月用には新たに薄手の素材の涼しげなワンピースを投入することにした。

 

コロナ禍でも好調のGU

 一方、コロナ禍でも順調な売り上げを上げているのが、ユニクロの弟分である「GU」。手頃な価格であることが受け入れられ、若者だけでなく年配者にまで受け入れられているのだという。爆買いしていく客も少なくないという。

 社長の柚木氏によると、今は「本当に必要なものしか買わない」という状況になっていると言う。危機感を持つ柚木氏は店舗のコスト削減にも取り組んでおり、床材のチェックまで行っている。これらのコストカットが安い商品の販売につながるのである。商社出身の柚木氏は2002年にユニクロで野菜事業を手がけるが大失敗して撤退している。柚木氏によると市場のニーズを読み違えていたという。しかし柚木氏の実力を買う柳井氏が彼をGUの社長に抜擢、柚木氏は期待に応えてGUの売り上げを大幅に伸ばした。

 GUでもネットに力を入れている。おしゃリスタと呼ばれる店員が、客にコーディネイトなどのアドバイスを行うだけでなく、自ら積極的にネットに商品についての発信を行っている。これらが若い客を引き込むことになる。

 商品開発会議ではおしゃリスタや店長達が集まり、新商品のサンプルに容赦ない意見をぶつける。少数意見なども現場に返し、それを参考にして商品の改良に取り組む。こうして売れる商品開発を行っている。

 

 今回は苦境のアパレル業界について・・・なんですが、所詮は私にとっては全く興味の無い業界だけに、「はぁ、そうですか」って感じですね。かつての大量生産大量廃棄の方向から売り切りに変わりつつあることは評価しますが、何も地球環境をおもんばかってではなく、コストを下げて収益を上げるためですから。

 そう言えば在宅勤務で服の予算が下がったと言うが、私に至ってはこの1年間、服の類いを全く買っていなかった(笑)。着飾ってどこかに出かけるというわけでもなく、今更女性に対して格好つけるという気もないし(既に遅すぎる)。在宅勤務はないが、出張が皆無になったおかげでスーツなどもほとんど不要な状態である。結局は普段着を使い回している状態。私の普段着はいわゆる定番ものばかりなので、流行遅れになって着れないなんてことはなく、着れなくなるのは擦り切れた時である(笑)。

 というこのような絵に描いたようなむさい男の私から見ると、アパレル業界自体が不要に見えてしまうので、その生き残り戦略を言われても・・・ってのが本音です。正直なところ、三陽商会は看板であったバーバリーを失ってからは完全に低迷しているという噂は聞いており、このままではレナウンの後を追うのではという気がしている。今回見ているとアッパー層にターゲットを絞っての生き残りを考えているようだが、その割には今ひとつ徹底していないような。まさに看板を失った今、大江社長が「看板となる商品」にこだわるのは理解出来るが、重要なのは現場にどこまで底力があるかである。

 

忙しい方のための今回の要点

・コロナ禍で苦境に立つアパレル業界の仲から三陽商会に密着。
・三陽商会の社長は、ゴールドウインを立て直した手腕を買われて起用された大江氏。大江氏は看板となる商品の開発、脱百貨店の方針などを掲げて改革に挑む。また商品の作りすぎを避け、売り切ることも考えている。
・一方、ユニクロの弟分であるGUは低価格であることも受けて、コロナ禍でも好調である。社長の柚木氏は、店舗の内装までコストダウンに徹底している。
・さらに内部ではおしゃリストと呼ばれる店員や店長などが新商品に対して徹底的な評価をして、売れる商品の開発につなげている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・今の政府の無策ぶりを見ていると、コロナ禍はさらに長引きそうです。ましてやオリンピック強行開催などしたら、感染爆発が起こるのは必至。そうなると経済が大打撃を受けることになりますが、アパレルブランドも持たないのでは。今の日本を見てたら、竹中(平蔵)太って国民死に絶えるというディストピアが見える。

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