教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/28 テレ東系 ガイアの夜明け「レジャー戦線 異状あり!~今どきテーマパークの作り方~」

西武園ゆうえんちの100億円をかけてのリニューアル

 コロナで苦戦する遊園地が多い中で、100億の費用をかけて最近になってリニューアルオープンしたのが西武園ゆうえんち。これを紹介・・・ってよくある露骨な宣伝です。

 そもそも西武鉄道が所沢の再開発を行っており、その総仕上げとして5年前から計画して取り組んだのが西武園のリニューアルだという。去年の秋から閉園して工事をしており、それがこの5月19日にリニューアルオープンとなったという。

 リニューアルは後藤高志社長が決断、低迷していたUSJをV字回復させた森岡毅氏を頼り、彼が独立して設立した会社「刀」に西武園の再建を依頼したのだという。そして森岡氏の懐刀である近藤正之氏が中心となって動くこととなった。

 

昭和30年代のレトロゾーンを設置

 リニューアルの目玉は入口すぐにある昭和30年代の商店街をイメージしたアトラクション。ここではふれあいを中心とした展示を行って、昭和レトロの雰囲気と「古き良き時代」に触れてもらおうという考え。なお奥のかなり古くなった遊具はあえてそのまま残したという。つまりはこの昭和商店街でタイムスリップしてもらえば、古びた遊具達も「懐かしい」に変わって見えるという算段である。近藤氏が西武園を訪れた時に古さと同時に「懐かしさ」を感じたことから発想したという。

 商店街内ではアクションスターが演じる泥棒と駐在の逮捕劇アトラクションなどもあるが、実際に営業している喫茶店などもある。メニューはナポリタンスパやらクリームソーダなどの懐かしさ満載のもの。店では「心温まる接客」を求められることになる。

 ただ裏では今までとやり方が全く変わるために、スタッフ達が対応にてんやわんやであった。自然に客に声をかける喋りが出来るスタッフがいる一方で、どうしても不自然になって自信を失うスタッフも。戸惑うスタッフに演技のプロが指導する。

 

課題を抱えつつも何とかオープンへ

 テストのプレオープンでは近藤氏が各スタッフの様子を見て回る。流暢に接客をしていた喫茶店のスタッフが「少しオーバーでわざとらしいので、もう少し本当の自分を出した方が良い」とダメ出しされるシーンも。彼女によるとやはりややテンションを上げすぎていたという。まあありがちである。

 またアトラクションコーナーを抜けて裏の遊具ゾーンに行くと、ここは以前とほとんど変わっていないことに問題点を感じする近藤氏。やはりスタッフがもっと「心温まる接客」を心がける必要があると考え、彼らに対してそれを求めるシーンも。

 なおリニューアル西武園の売りは昭和商店街だけでなく、ゴジラとキングギドラが登場する体感アトラクションも新設されたらしい。本格的に映画監督を起用しての気合いの入った映像で、ゴジラの戦いの中を特殊装甲車で走り抜けるという設定だとか。松下奈緒氏も体験していたが、臨場感はかなりあるらしい。

 そしていよいよオープン。大勢の客に戸惑って思うようにいかないスタッフもいるが、どうにか無事に切り抜ける。まだまだ課題はあるものの、変革は始まったばかりである。

 

 と言うことで、もろに西武園の宣伝でした。まあこの番組は元々経団連の広報番組で、半分以上は宣伝なのでこういう回もありです。しかし正直なところ「また昭和レトロか」というのが本音。今は結構あちこちで「なんちゃって昭和」がありますが、実際に昭和40年代生まれの私の目から見ると、「それは違うだろう」なんてのがよくあったりする。ここのアトラクションは実際に見たわけでないので分からないが、よくあるのは昭和初期と戦後の風景が一緒くたに扱われていること。実際に昭和生まれの私などから見ると、昭和初期と昭和40年代ぐらいは全く別世界なんだが、平成以降生まれからするとそれが「昭和」の雑な括りで一緒くたになっていることがある。ひどい場合には昭和でなくて大正や明治が入り込んでいることさえ。時々「いや、それは『三丁目の夕日』の世界でなくて『ハイカラさんが通る』の世界だから」と言いたくなることがある。ここまで来ると私には「懐かしい」でなくて、「一体ここはどこの異世界だ?」になります。

 西武園のリニューアルですが、このコロナの時期にあえて勝負を挑んだというように見えますが、実際はもっと前から計画していたら運の悪いことにコロナが直撃してしまったというのが実態のようでしょう。さらに「どうせコロナで営業出来ないから、この間に工事をやってしまえば、オープンの頃にはコロナは収まるだろう」と踏んでいたら、案に反してオープン時もまだコロナは大流行中だったという見込み違いである。タイミングが悪すぎて、先行きがあまり明るくはない。まあ埼玉は東京や大阪と違って「遊園地に無観客開催を求める」なんてわけの分からんことはしてないようだが。ただ明らかに「密」になっていた開園時の様子を見ると、かなりやばそう。

 

忙しい方のための今回の要点

・コロナ禍で遊園地が苦戦する中で、西武園ゆうえんちが100億円をかけたリニューアルを実施した。
・リニューアルの目玉は昭和30年代の商店街をイメージしたアトラクション。懐かしい心温まる風景とおもてなしで、西武園の「古くさい」という印象を「懐かしい」につなげようという戦略である。
・リニューアルはUSJをV字回復させた森岡毅氏の会社が手がけ、彼の懐刀である近藤正之氏が担当した。
・スタッフは今まで勝手の変わるやり方に戸惑いもあったものの必死の対応をしている。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・まあその内に「平成レトロ」なんて言われる時代も来るんだろうな。そう言った時には昭和末期と平成がごった混ぜにされてしまうんだろう。まあそれが一般に言われるようになる頃には私は既にこの世にいない可能性が高いが。大昔に「明治も遠くなりにけり」って言葉があったが、まさしく「昭和も遠くなりにけり」だな。今までジジイ達はこういう思いを抱いてきたのか。自分がジジイの世代になってようやく分かってきたわ。世代間ギャップなんて言うけど、実際に自分がその年にならないと分からないことってあるわな。

次回のガイアの夜明け

tv.ksagi.work

前回のガイアの夜明け

tv.ksagi.work