教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/20 NHK-E サイエンスZERO「雲をとらえろ!最新科学に挑む富士山頂の"研究所"」

富士山測候所を利用しての気象研究

 富士の山頂と言えば山頂の測候所の気象レーダーは廃止されたが、観測施設はまだ稼働しており、特に雲の研究などが行われているとか。

レーダードームが撤去された富士山測候所

 最近、富士山の雲の中からマイクロプラスチックが発見されたとのこと。汚染がここまで進んだということで世界にショックを与えた。風で舞い上がったマイクロプラスチックが雲の水滴に付着したものである。マイクロプラスチックが雲を作る核になれば、気象自体が変化する危険性があるという。どのような影響があるかは今後の研究の課題であるとのこと。なおこれらのマイクロプラスチックの発生源は東南アジアの可能性が高いとか。

 標高1500メートルの五合目では、ドローンを用いた雨雲発生のメカニズムの研究もなされている。ドローンによって雲の核を集めるのだという。核になるものの中で硫酸塩に注目しており、その量と雨量との関係などを研究しているのだという。目下のところ硫酸塩が増えるほど雲粒が大きくなることは分かってきたとか。

 

 

宇宙に伸びる技官ティックジェット

 富士山から見られる超レアな気象現象として、雷が宇宙にまで伸びていく「逆さ雷」というものがあるという。ギガンティックジェットと言われる現象で、60キロ以上の長さの雷が宇宙にまで伸びるのだとか。富士山頂は遠くまで見渡せるのでその研究に最適であるという。

ハワイで観測されたギガンティックジェット


 以上、富士山を使った気象研究の最前線。レーダーはなくなっても富士という高山の地の利はあるらしい。にしてもマイクロプラスチックが雲の核になっているというのは流石に絶句。どうも全地球がプラスチックのゴミに覆われる図が見えるようになってきた。これもまさに以前に言っていた「人新世」の特徴になるのでは。

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忙しい方のための今回の要点

・富士山頂の測候所は、現在も様々な気象研究に使用されている。
・富士山頂での雲粒の観測から、マイクロプラスチックが発見されたニュースは世界を震撼させた。このマイクロプラスチックは東南アジアから来た可能性が高いという。
・また富士山中腹ではドローンで雲粒の核の硫酸塩を測定することで、雨量との関係を導き出そういう研究もなされている。
・さらに富士山頂の見晴らしを利用して、雷雲から宇宙に60キロものギガンティックジェットが伸びる現象についての解明の研究もなされている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・富士山レーダーはプロジェクトXの世界でしたが、測候所は完全に使命を終えたと思ってたんですが、まだ活用されてたんですね。もっとも夏季限定の模様ですが。
・富士山って登山にしても夏季限定で、やっぱり冬の富士山って人間が入れるところではないんですよね。

前回のサイエンスZERO

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