教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/9 NHK ガッテン「まさか!?育てて最強"アサリ"新調理術」

アサリはみんな生きている

 スーパーなんかでも売られているアサリだが、あれは生きた状態で店頭に運ばれている。かつてはアサリは全国で取れていたので、近場のアサリをそのまま輸送していたのだが、最近は産地が限られてきて、熊本産のアサリを東京に運んだりしている。ではどうやって輸送しているのか。航空便でひとっ飛び・・・なんてことをしていたら全くコストが合わない。実際はトラックで運んでいるらしい。しかし流石に熊本から東京までの長旅ではアサリも持たない。と言うわけで一工夫あるらしい。

 それに関与している施設が千葉、三重、大阪の3カ所にあるらしい(番組が確認出来たのがこれだけとのことで、他にもある可能性はあり)。そこはどういう施設かといえば、輸送中のアサリを一旦休養させる施設なのだという。ここに着いた頃には長旅でヘロヘロになり、口を閉じる力もなくてダラしくなく口が緩んでいるアサリを、ここで16メートルの海の底から組み上げた綺麗な海水に浸して16度の水温の中でしっかりとアサリを休ませるわけである。するとアサリが元気を取り戻してしっかり口を閉じている。この状態でスーパーに出荷するのだという。と言うわけで、今回のテーマは「アサリはみんな生きている」とのこと。

 

生きているからこその味付けと禁忌事項

 アサリは生きているから、外との水のやりとりをしている。海水の中に入れていると砂を吐いたり、栄養を取り込んだりする。と言うわけでここにカツオやごま油などを入れてアサリに味をつけるなんてことをやってみている。実際に世界ではそういう料理法もあるらしい。カツオ味の付いたアサリなんて出汁付きだし、ごま油もなかなか入れるという。ただ中には乳酸菌飲料を加えたマンゴー味のアサリなんてゲテモノまで作っている。何をやりたいんだ? と思ったたのだが、実は今回の本題はこれからだという。この過程でアサリの味を大幅に向上させる方法が見つかったのだとか。

 まずはその前に我々はそもそも間違ったアサリの扱い方をしているという話が出る。まず店から購入してきた直後のアサリは苦労しての運搬の甲斐あって最良の状態である。しかしこの後に間違った処理をすることでアサリの身が激しく痩せてしまうのだという。その間違った処理というのは「冷蔵庫に入れること」。低温の冷蔵庫内に生きたアサリが入れられることでアサリが弱ってドンドンと身が痩せるらしい。

 

アサリをふっくらさせるための方法

 ここで登場するガッテン流。これをするとむしろ最初よりも身が太るそうな。その方法というのは片栗粉を海水に入れるのだという。アサリはプランクトンを水管から吸い込んで栄養にするので、ここで粉末状の片栗粉を加えてやると、それを吸い込んでふんわりとするらしい。500ミリリットルの3%の塩水に大さじ1杯程度の片栗粉で良いらしい。粉っぽくならないかと気になるところだが、そんなことはなくむしろアサリの旨味が強くなるとか。ちなみにシジミも同様の方法で旨味を増すのだとか。

 最後はアサリの絶品味噌汁の作り方。アサリの味噌汁を作る時はあまり煮すぎないというのが重要なのだが、そのための方法。大阪の魚市場の一角のアサリの味噌汁で有名な店で学んだというその方法は、少ない水で煮るというもの。鍋にごく少量の水を入れて加熱すると、アサリは下から加熱されることで下の貝柱が外れるので、身はすべて上の殻について開く、こうなることで身が強く火入れされることがないので、それで半分ぐらいの貝が開いてから、他で沸かしていた熱湯を加えて蓋をしてむらす。それから2~3分ムラしてから味をつけるのだそうな。

 

 以上、例によって非常に実用性の高い内容でこの番組らしいところ。なおアサリをふっくらさせるには味噌汁は水から煮て、貝が開き始めたら火を切って蒸らすというのが一般的にされている調理法だが、今回はそこにさらに手を加えたようである。またアサリを冷蔵庫に入れてはいけないというのは、大抵の家でしてしまっている盲点だろう。まあ理屈で考えたら、生きているものだから冷蔵庫はないだろうというのは分かっても良いようなものではあるが。なお片栗粉は思いつきもしなかった。片栗粉って貝にとっての餌になるんだろうか? プランクトンを食べることを考えると、デンプン質よりもタンパク質のものの方が良いような気もするが。ただタンパク質系の粉末は多分それの味も付いてしまうんだろうと思う。

 ところでこの番組に前から時々出るゲストに指原がいるんだが、どうも以前から不快感を持っていたが、今回は極めつけに不快だった。どうも明らかに受けを狙ってのボケがわざとらしくて不愉快なんだが、今回なんかももろにそれがひっかかる。まあNHKはAKBとかが大好きだから(コネとかなんだろう)こういうのを出すんだろうが・・・。ところでメイクの関係か照明の関係か、今回やたらに顔がテラテラと光ってたのは何なんだ?

 

忙しい方のための今回の要点

・スーパーで販売されているアサリは生きた状態なのだが、産地から陸路で輸送する時、出荷前にわざわざ綺麗な海水中で休養させて元気にしてから店頭に出している。
・生きているので、買ってきてから冷蔵庫で保管すると弱って身が痩せてしまうので、これは禁止事項。
・あさりは生きているので、海水中に入れると水の交換をしてこの時に砂を吐く。さらにこの時に海水に調味料の類いを加えると味をつけることも出来る。
・そんな中で、片栗粉を加えることでアサリが今までよりもふんわりとすることが判明した。プランクトンを取り込む要領で片栗粉を取り込むのだという。
・また味噌汁にする時は貝が半分浸かる程度の少ない水で煮て、半分ぐらいが開いた時に熱湯を注いで蒸らすとふんわりした味噌汁になる。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・とにかくあさりは「加熱しすぎない」というのが重要です。味噌汁でグラグラと煮たらカスカスになってしまいます。身をなるべく縮ませないにはとにかく加熱を短時間で済ませること。実際に試してみると全然変わりますので。なお片栗粉は次の機会に試してみたい。

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