教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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8/8 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「必見!熱中症の意外な原因&予防法」

このシーズンに要注意の熱中症対策を事例から学ぶ

 暑さが本番だが、この季節になると増加するのが熱中症。この時期が一番多く、昨年は1万3千人も搬送されたという。侮っていると命を落とすこともあるが、確実に予防することも出来る病気である。しかしそこに落とし穴が。それを経験者から学ぶ。

水分を摂っていても要注意

 まず最初の事例は水分をキチンと摂っていたにもかかわらず熱中症になってしまった男性。屋外で麦茶を飲みながら作業をしていたらしいが、それでも熱中症で倒れたのだという。

 ここでの落とし穴は塩分の不足。彼はこの日は暑さで食欲がなくて昼食を食べずに仕事をしていたのだという。そのために塩分とエネルギーが不足して熱中症になってしまったのだという。1リットルの汗をかくと3グラムぐらいの塩分が汗で出てしまうという。夏は2~3リットルぐらいの汗をかくこともあるので、9グラムもの塩分が失われることがあることになる。日本人の平均塩分摂取量は男性で10.9グラム、女性が9.3グラム。塩分は食事で補給されるので、食事を抜くと塩分不足になってしまうということである。食欲がないときはスポーツドリンクなどで塩分や糖分を補給するのが良い。

 なお水分不足の場合に出る症状は、めまい、頭痛、吐き気、集中力低下、食欲不振などであるのに対し、塩分不足の場合には足が攣ったり痺れる、脱力感などが出るという。なお水分補給はカフェインのあるものは利尿作用があるので、カフェインを含まない飲料が良い。

 

室内での熱中症予防は温度管理が重要

 次は室内で熱中症になってしまった女性。しかも彼女はエアコンを使用していたという。実は室内で熱中症になる例は多く、問題になるのは温度管理。彼女は設定温度を29度にしており、これだと部屋が十分に冷えずにジワジワ型の熱中症になったのではという。この手の熱中症は体温調整機能の弱い高齢者が発症しやすいという。

 予防するためには設定温度ではなく、室温を28度以下にキープすることが重要であるという。室内に温度計を置いて実際の気温を調べる方が良いという。また28度でも蒸し暑いと感じる場合は湿度が高い可能性があるので、除湿を使用して湿度を低下させるのが良いという。こうして温度は25~28度、湿度は40~60%に保つのが良いとのこと。

睡眠不足にも注意

 次の男性は日課の散歩中に熱中症になってしまったという。その日が特別に暑いというわけでなかったというが、前日に寝不足になっていたのが原因であるという。

 睡眠不足になると自律神経の働きが落ちるので、体温の調節機能が低下してしまうので、身体に熱がこもって熱中症になるのだという。朝起きて疲労感がある場合は睡眠不足が溜まっている可能性が高いので無理は禁物であるという。寝室を十分に冷やして質の高い睡眠を取ることが大切だという。

 

熱中症への対処法

 熱中症になった時は首や脇などの太い血管を冷やすことが大切であるが、さらに熱中症になる前に手のひらを冷やすとAVAという動脈と静脈をつなぐ動静脈吻合が開くので身体全体が効率よく冷えるのだという。AVAの方が太い血管を冷やすよりも身体がよく冷えたという実験結果もある。ただしその時の温度が重要で、あまりに温度が低すぎると逆に血管が閉じてしまうので氷温などと違って15度ぐらいの方が良いのだという。外で買ったペットボトルにタオルハンカチを巻いて5分ほど経つと表面が15度になるという。また手を洗うときに手だけでなく肘までしっかりと水にさらすと身体が冷えるという。

 なお熱中症の応急処置はFIREだとのこと。これはFluid(水分補給)、Icing(冷却)、Rest(安静)、Emergency call(救急車を呼ぶ)の頭文字を取ったものである。

 

 以上、夏場に重要な熱中症対策。特に今年はコロナのせいで救急車がすぐに来ない可能性が高いので熱中症の予防は大切である。さすがに今時は「運動中に水を飲むな」というような前世紀の遺物のような指導者はほとんどいなくなったと思うが、今でもごく一部には脳まで根性論に支配されたアホが存在するので要注意。その時は自ら命を守る行動を取るように。

 なお番組中でも言っていたが、高齢者が室内で熱中症になる例が非常に多いという。高齢者は体温のコントロールが低下している上に、気温に対して鈍感になっているので、気温が上がっていることに気づかない事例が多いのだという。また高齢者の中には未だに「冷房は贅沢だ」と考えている者もいるという。今の日本の夏はかつての日本の夏とは違うということを認めて、夏のエアコンは必需のライフラインと考えるべきである。何しろ、今は生活保護者でさえ冷房は認められるようになったのだから(かつては冷房をつけると贅沢だとして保護を止められることがあった)。

 また今からだと間に合わないためか番組では触れていなかったが、真夏の最盛期になる前に自然に汗をかく習慣をつける熱順化を行って、正しく汗をかけるようにしておくというのも重要であるという話がある。実際にいきなり暑さに直面すると、ほとんど汗もかかないまま熱中症で倒れるという。日頃デスクワークの労働者が急に屋外作業などを行うとこうなりやすいので注意(私の職場でも、真夏の避難訓練で参加者が熱中症でバタバタ倒れる大惨事が発生したことがある)。

 

忙しい方のための今回の要点

・熱中症の事例を紹介。
・最初は水分を摂っていたのに熱中症になった事例。原因は塩分不足。1リットルの汗に塩分が3グラム含まれるので、夏に2~3リットルの汗をかくと身体の塩分が不足することがある。特に食事を抜いたりすると危険。
・塩分が不足した場合には痙攣などの筋肉の症状や倦怠感が出る。そうなる前にスポーツドリンクなどで塩分を補給する。
・室内で熱中症になる例も多く、それは温度管理が出来ていないことが原因。エアコンの設定温度に頼るのでなく、実際に温度計を置いて28度以下になるように設定温度を調整する必要がある。また蒸し暑いときには除湿機能で湿度を下げる。
・さらに寝不足は自律神経の機能低下から体温調整機能を不全にしやすいので危険。寝室は十分冷やして質の良い睡眠を取る必要がある。
・熱中症の際は首筋や腋の下の太い血管を冷やすのが良いが、さらに効果的に身体を冷やすには手のひらを15度程度に冷やしてAVAを開かせること。なお低温にしすぎると逆に血管が閉じてしまうので注意。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・非常に放熱の悪い身体をしている私にとって、このシーズンは天敵のようなものです。既に慢性的な疲労で身体はボロボロ。早く涼しくなって欲しい・・・。

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