亜熱帯の大湿地
今回の世界遺産はアメリカの水浸しの大地・エヴァグレーズ国立公園。フロリダ半島の南の果てに広がる大湿地帯である。面積は東京都の3倍もの広さがあるという。
この湿地帯の3つの顔のまず1つ目は湿地帯の森。水に強いヌマスギの森だという。樹齢数百年で大きい物は高さ40メートルにも達する。ここを南下すると2つめの顔の大湿原。背の高い気がなくなり視界が広がる。水深30センチぐらいなのでここの移動はエアボートで行う。ここは400種以上の鳥類が暮らす。そしてさらに南に行くと3つめの顔であるマングローブ林になる。まるで水の迷路である。これらマングローブ林はハリケーンから海岸を守る働きもなしている。そしてこの先が海となる。
大湿原には緑の島が点在するが、これらの島はワニが作ったのだという。水中の小さな魚を餌にしているのがアリゲータ。大きい物で体長4メートル。鹿などを捕食することもあるという。ワニは巣づりのために穴を掘り、この時にかき出した土の上に鳥が種を運んで植物が茂る。それが繰り返された結果として平らな湿原に樹木が生える島が多く出来たのだという。島には木が生え、ツタなども茂っており、フクロウなどの生き物の楽園となっているという。
湖から流れ出した水がこの湿原を作った
この湿地帯が生まれたのは、フロリダ半島の中心にあるオキチョビー湖(面積はびわ湖の3倍)から流れてくる水のためだという。流れる早さは1日30メートルで大地を潤わせながら、160キロ離れたフロリダ湾に達する。その緩やかな流れは草原の川と言われているという。さらにここの地質は石灰岩なので、浸食による地下水路なども存在するのだという。
地形によっては水浸しにならない森もある。そんな森ではピューマの仲間のフロリダパンサーが棲息する。一時は乱獲でわずか20頭にまで減少した。しかし保護活動によって現在は200頭にまで数を増やしたという。
穏やかな浅瀬のフロリダ湾ではマナティが棲息している。マングローブ林を抜けて供給された栄養豊富な水によって茂った水草がマナティの食料となっている。このマナティも一時絶滅しかけたが、今は6000頭にまで増えた。その中の一部は海から10キロも内陸にある川に遡るという。寒さに弱いマナティは冬に海水温が20度以下になると川に逃げてくるのだという。ここには年間を通じての水温が22度の水が湧き出しているので、マナティにとっては生きていきやすいのだという。
忙しい方のための今回の要点
・アメリカのフロリダ半島のエヴァーグレーズ国立公園は広大な湿地である。
・一番北は水に強いヌマスギの森、その南が一面の大湿地、さらに南がマングローブ林である。
・大湿地にはあちこちに木の茂った島が点在するが、それはここに棲息するワニが、巣のための穴を掘った時にかき出した土に、鳥が種を運んで植物が生えた物だという。
・この湿地の源となる水は内陸のオキチョビー湖から流れてきている。この辺りの土地は石灰岩のために、無数の地下水路が存在するのだという。
・この地には絶滅寸前だったフロリダパンサーが棲息し、さらには海にはマナティが棲息する。マナティは冬になると温かい川に遡ってくるという。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・いかにも豊かな湿地帯というイメージでした。細かい魚などが多いでしょうから、鳥などには特に楽園でしょうね。
次回の世界遺産
前回の世界遺産