教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

9/5 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「新型コロナ後遺症外来」

症状は軽度でも後遺症の起こる場合が

 コロナが大流行して社会問題化しているが、感染後幸いにして社会復帰できても、そこでコロナの後遺症を訴える患者が多く、長い人になると1年以上不調を訴える者もいるという。またそこには症状は軽かった若い人も多いという。昨年3月にコロナ後遺症外来を開設して、そのようなコロナの後遺症を診療しているヒラハタクリニック院長の平畑光一氏に話を聞く。

 まずコロナの後遺症と言っても重症化した患者と軽症の患者では症状が違うという。平畑氏はその中でも軽症や無症状だった患者の後遺症を診療しているという。コロナ自体は軽症だったのに、その後に後遺症が長引く患者が多く、その数は2000人以上という。患者の特徴としては40代や30代が多いという。症状は倦怠感や嗅覚障害、脱毛など様々で200種類以上に渡るという。

 

倦怠感に苦しめられている40代男性

 実際の患者を見ると、まず1年以上後遺症に悩むという40代の男性。軽症でホテル療養から退院したものの、その後強い倦怠感に苦しめられたという。頭も身体も思い通りに動かないという。会社に行こうとしてもその途中で身体も頭も動かないフリーズしたような状態になってしまったという。ひどい時には布団から出られなかったという。だから仕事にも支障が出たという。この倦怠感は一番訴えの多い症状だという。通常は2週間から2ヶ月ぐらいで症状が消えるが、3ヶ月以上続く場合には新型コロナ後遺症と診断される。

 このような倦怠感はサイトカインストームのせいで、免疫細胞が感染細胞のみならず、正常細胞まで攻撃破壊することによって起こっているのではないかとされている。この時にどの程度まで細胞がやられるかで後遺症の有無や期間が変わるという。

 

味覚異常や嗅覚異常が発生した20代の男性

 次に登場するのは1年以上後遺症に悩む20代の患者。彼は感染時には微熱と少しの倦怠感に寒気程度で、ホテル療養で済んだという。しかし熱や倦怠感が治まると共に味覚や嗅覚がおかしくなったのだという。これも訴える患者が多い。感染時には無症状だったのに後で出る人がいるという。彼は1年経って味覚は戻ってきたが、嗅覚はおかしいという。煙がガソリン臭く感じてしまうのだという。実際に彼に酢を嗅いでもらうと、匂いが良く分からず醤油かと思ったと言う。物によっては全く匂いを感じないのだという。

 彼の診断はまずコロナ後遺症以外の原因がないかを血液検査、胸部X線、心電図で調べる。その結果は異常なし。ただし血液検査では6割の人が亜鉛が低いことが多いという(ただし彼は亜鉛の数値には異常なし)。亜鉛不足が味覚・嗅覚障害を長引かせるのではという。なお彼のように臭いが違って感じるという場合は、鼻の奥の上咽頭に炎症が起こっている可能性が高いという。上咽頭はコロナで炎症を起こしやすい部位で、さらに臭いを感じる嗅球に近いので嗅覚障害の原因になるという。この場合、Bスポット療法という塩化亜鉛を鼻と喉から綿棒で上咽頭に塗布して炎症を抑える方法が効果があるという。

 

後遺症で精神的に追い詰められることも

 次の40代の女性は半年前から倦怠感で苦しめられている。しかも彼女の場合、その結果退職することになったという。おかげで身体よりもメンタルがボロボロだという。未だにコロナ後遺症は社会的に認知されているとは言い難く、「甘えるな」とかの前時代的な馬鹿な精神論を振りかざして患者を傷付ける例が少なくないという。さらに症状が軽い内は治ったと思える時があるのだが、一定以上重くなると一生残ってしまう可能性があるという。だから適切な医療を受ける必要性があるという。

 

亜鉛の摂取やワクチンが後遺症に効果がある?

 なお感染が重症化した患者の場合、さらに深刻な後遺症が残る場合があるという。退院しても常に酸素を付けておかないといけない状態になった患者もいるという(COPDのように決定的に肺が破壊されてしまったということだろう)。だから感染に注意するのが一番であるという。なお平畑氏によると重症者が若年者などにも増えていることから、変異株は毒性が高いと見ているという。なお亜鉛については免疫細胞の働きにも影響しているのではないかと言われており、後遺症防止にある程度の効果があるのではとのこと。

 なお亜鉛が多いと言われる食品はまず牡蠣。そして牛肉・レバー、チーズなど乳製品、牡蠣以外にカニ・ウナギなど魚介類、そしてワカメ・ひじき・海苔などの海藻類にゴマとのこと。

 ちなみに最初の男性はワクチン接種後に後遺症が改善したという。実際に57%の患者がワクチン接種後に改善したと言っているとか。その理由については崩れた免疫機構のバランスが戻るのではというのが平畑氏の見解。とりあえず患者については無理をせず急がずが重要ではないかとのこと。

 

 以上、コロナ後遺症について。未だにコロナはただの風邪なんていっている馬鹿がいるが、これだけ深刻な後遺症が出るただの風邪なんて聞いたことがない。やはりそれだけ危険な病気と認識しての対応が必要である。ワクチン接種なども進んでさらに同時にコロナの弱毒化などが起こればいずれは本当にただの風邪になるかもしれないが、それまではまだかなり時間が必要であろう。

 ちなみにワクチンでコロナの後遺症が改善するというのは初めて聞いた。なお私はつい最近にようやく一回目の接種を受けたところだが、正直なところそれ以降体調不調に苦しめられている。接種直後は倦怠感が中心だったが、最近は突発的な目眩が起こる。例によって「ワクチンとの因果関係は証明できない」ってことにはなるが。

 

忙しい方のための今回の要点

・コロナに感染して症状は軽かったにもかかわらず、その後に後遺症で苦しめられている患者が多数発生している。
・後遺症は様々で200種以上の症状があるという。後遺症外来を開設したヒラハタクリニック院長の平畑光一氏の元には2000人以上の患者が訪れたという。
・一番訴えの多い症状は倦怠感で、これはサイトカインストームによる免疫系の暴走で、感染細胞以外も破壊されてしまったことが原因ではとしている。
・また味覚・嗅覚障害の訴えも多い。上咽頭が炎症を起こすことで嗅覚に影響している事例が多く、幹部に塩化亜鉛を塗布するBスポット療法が効果があるという。
・亜鉛欠乏が後遺症の原因となる可能性も指摘されており、亜鉛の食品からの摂取が後遺症を防ぐ効果があるかもしれないという。
・症状の程度によっては一生回復しない可能性も考えられるので、適切な治療を早期に行うことが重要である。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・最近になってようやく首都圏で感染者数が減少傾向に入ったとされていますが(検査数がいい加減なので半信半疑なところがあるが)、全国的に見たら首都圏から拡散した感染が拡大中の地域もあり、まだまだ油断できません(特に大阪)。まあそれにしてもいつまでお籠もり生活を強いられるのやら。

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