教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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9/26 TBS系 世界遺産「南イタリア 1600軒のトンガリ屋根の家」

南イタリアのトンガリ屋根の町

 今回の世界遺産は南イタリアの町・アルベロベッロ。ここにはトゥルッリと呼ばれるトンガリ屋根の家が建ち並ぶ。この街並みは400年前から続いている。このような建物は1600軒もあるという。


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 アルベロベッロは乾いた大地に立つ石の町である。漆喰の壁の家の上に石造りのトンガリ屋根を乗せたのがトゥルッリ。屋根は石灰岩を積み上げたもので、漆喰などは使用していない。屋根のてっぺんには蓋のようなものが着いており、謎めいた模様が着いている屋根もあるが、これらは魔除けなどの宗教的意味があるという。

 建物はシンプルなトルッロから、トンガリ屋根が複数つながったトゥルッリまで様々あると言う。16世紀の半ばに移り住んだ開拓農民が建てた家だという。周辺には農園が広がるがわずかな作物に頼った貧しい暮らしだったという。

 

 

気候に合わせた機能的なトゥルッリ

 最も古い地域であるアイア・ピッコラ地区には400人が居住している。内部は開口部は少ないが、白く塗られているので結構明るいという。気温が40度を超す時でも内部は18度でクーラーいらずだという。屋根は傾斜に反って雨水を集めるようになっている。雨が少ないこの地域では水の確保は重要課題だったという。このようなトゥルッリは畑の中にもある。これらのトゥルッリは牛舎などとして使用されているという。夏は涼しくて冬は暖かいので優れた家畜小屋なのだという。

 石灰岩の痩せた土地であるこの地は、開墾の度に不要な石灰岩が出るので、それらを積み上げてスペッキアと呼ばれる石積みを作る。これらは見張り台や土地の仕切り代わりに使用されていたが、この石でやがてトゥルッリを作るようになったのだという。これらは居住したり農業小屋として使用されていた。トゥルッリの形の原型は中東から来たのではという説があるという。トゥルッリで教会やホテルまで建てられている。これらの修復技術は職人によって受け継がれている。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・南イタリアのアルベロベッロにはトゥルッリと呼ばれる石灰岩を積みかねたトンガリ屋根の家が1600軒も並んでいる。
・これらの家は400年前に建造され、今まで続いてきたものだという。
・この地は石灰岩の痩せた土地であり、開墾の度に不要な石灰岩が出てくるので、それを積み上げていたのだが、その内にこれらからトゥルッリを作るようになったという。
・トゥルッリは夏は涼しく冬は暖かいので家畜小屋などとしても最適であるという。
・これらの修復技術は現地の職人によって引き継がれている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・このアルベロベッロは大昔にNHKの世界遺産の番組で見て印象に残っていたのですが、雨水を蓄えるための実に精妙なシステムを搭載してました。まさに現地にあるものを用いて、現地に合わせて作られた住宅です。

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