教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

9/26 サイエンスZERO「遠隔操作ロボットで"働き方革命"」

遠隔操作ロボット技術の開発

 現在、自動運転などの自律型ロボットの技術開発が進められているが、その一方で求められている一つの技術が遠隔操作ロボットである。

 遠隔操作のメリットは、人間が介在するので応用力が効くこと。さらに自律型ロボットの場合はかなり精緻なプログラムを組む必要があるが、遠隔操作の場合はその必要がない。

 遠隔操作ロボットが活躍する場として想定されている場面の一つが宇宙。月面の基地に遠隔操作ロボットを置いて、それを人が操作すればその場にいなくても自由な作業が可能になる。ベンチャー企業が開発中の宇宙ロボットは物を立体視することで、操縦者が細かい作業をしやすくなっている。

 番組ゲストはロボットベンチャー代表エンジニアという白久レイエス樹氏。濃いイケメンの彼は、実は高専ロボコンのOBで、その後に日米で3つのロボット関係のベンチャーを立ち上げたという技術者兼経営者である。

 遠隔操作のポイントは操縦者が安全な環境で作業が出来るということと、一人の操縦者が複数の現場の作業が出来るなどがあるという。

 

 

コンビニのバックヤードから工事現場まで

 遠隔操作ロボットをコンビニの商品補給に使用しようというベンチャー企業がある。バックヤードの商品補給は寒くて結構ハードな上に、どこのコンビニも人手不足で苦しんでいる。しかしこれなら一人で複数の店舗の商品補給が可能となる。様々な商品を持ち上げられるように手の機能に工夫を加えているという。ペットボトルを2本取りできる腕などもつけている。

 コジルリが「あるところからは自動の方が良いように思うが、遠隔操作と自動の組み合わせは可能なのか」というなかなか鋭い質問を飛ばしているが、それに対しての白久氏の解答は「可能」というもの。

 さて白久氏が手がけているロボットだが、重機を遠隔操縦する物だという。重機の操作は結構身体の負担が多い上に、危険な場所で作業することもあるので、それをもっと手軽にしようという物。白久氏のロボットのポイトンは、既存の重機に後付けで加えるので低コストで納入も早いと言うこと。モーターなどで操縦桿などを操作するシステムになっている。

 実際に事務所に操縦システムを置いてテストをしているが、最初は戸惑っていた作業員もしばらく経つと慣れてきている。このようなシステムによって人手不足の解消などにつながるのではないかと考えられている。

 なおこのシステムの小型版というべきシステムをコジルリが体験しているのだが、白久氏が驚くぐらい上手く操作している。なかなか勘が良いようである。もしかしてニュータイプ?

 この白久氏のシステムは基本的にどのような重機にも搭載可能であるというのがポイントである。将来的には船舶への搭載なども考えているとのこと。

 

 

 以上、遠隔操作ロボットの話。遠隔操作ロボットと自律型ロボットが混在していると言えばまさに「宇宙兄弟」の世界である。遠隔操縦だからブギーでなくてジョックの方だな。

     

 さらに遠隔操作ロボットと言えば離島などでの手術に使えるのではと言われているダヴィンチなどもある。離島などの僻地医療の切り札になるのではなどと言われているが、ただ目下の価格では僻地医療にはコストが高すぎるだろう。この世界でも遠隔操作だけでなく自律型装置の開発も進められている。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・自立型ロボットが注目されているが、一方で遠隔操縦ロボットのニーズも増している。そのメリットは「一人で複数の箇所の作業が出来る」「人が安全な場所から操作できる」「人が動かすので応用が利く」などがある。
・ベンチャーが開発した物に、コンビニのバックヤードで商品補充をするロボットがある。これを導入すれば、一人のオペレーターが複数の店の商品補充を順番に出来るので、人手不足解消になるのではとしている。
・また重機に後付けでコントロール装置をつけて、遠隔操縦するロボットの開発も行われている。重機の操縦は身体の負担が大きいので、それを軽減すると共に、作業の安全性を高めることになる。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・遠隔操縦ロボットの元祖と言えば鉄人28号でしょうか。確かに危険な作業をするロボットに人間が乗り込むというのはナンセンスですから、遠隔操縦の方が理に適ってます。ただし「敵に渡すな大事なリモコン」です。

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