教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/15 テレ東系 ガイアの夜明け「withコロナ時代 日常を取り戻せ!」

コロナ感染小康状態の日本、世界の状況は

 日本はコロナ感染についてようやく小康状態に入ってきたが、世界では現在どのような対応を取っているかという話。

 まず日本の状況だが、去年の5月に設置された神奈川県立臨時医療施設を取材している。コロナの重症患者を見るための野戦病院である。8月の時には感染爆発で重症患者が殺到してこの時は入院患者は120人と病棟はフル稼働していた。10月上旬に再び訪問した時には一部の病棟は閉鎖されており、入院患者は6人にまで激減していたという。重症患者が減少しており、ワクチンの効果が出ているのではないかという。ただワクチンの効かない株の登場する可能性はあり、医師は油断は出来ないという。

 

 

経済を優先したイギリス、再規制に乗り出したシンガポールなど

 日本よりもまだ感染者も死者も多いが、既に日常生活に戻すという選択をしたのがイギリスである。ジョンソン首相はコロナをインフルエンザと同じと位置づけすることを宣言し、店などもほぼ通常の営業をし、街並みでもマスクをつけている人はほとんど見ないという。ただ連日死者は100人以上出ており、その現実を糊塗しているという批判もある。

 一方のシンガポールは徹底した封じ込めを行って、今まで感染水準を低く保ってきた。一方でワクチンの接種も進めている(摂取率83%)。しかしこの8月に規制を緩和した途端に再び、クラブなどを中心にクラスターが発生して感染が爆発した。結局は再び規制を強化することになったという。ただし重症者が少ないことから、以前のような規制はしないという。

 ドイツでは抗原検査を活用している。65%がワクチン接種を終了しているが、あちこちで抗原検査を気軽に受けられるようにした。屋外でのマスク着用義務はないという。抗原検査については「いつでも、どこでも」というのが基本だという。

 抗原検査についてはシンガポールなど海外の多くの国で導入されており、シンガポールでは全世帯に政府が無料で配布しているという。

 

 

日本でも導入の始まった抗原検査

 日本でも医療用の抗原検査キットの販売を解禁した。厚労省が承認した15種類の抗原検査キットを薬剤師のいる薬局での販売を解禁したのだという。しかしそれ以前に抗原検査キットはネット通販などで販売されている。これらは「研究用」と記述されているが、これは「認可を受けていない」という意味だという。必ずしもインチキという意味ではないが、インチキなものも含まれているのは事実である。番組では実際に購入してみたところ、中身は同じものというものもあったという。

 長崎大学病院で調べてもらったところ、まず唾液で検査すると書いてあるものは、唾液での検査方法はまだ認可されていないことから信用できないという。そこでそれらを除いて他をコロナウイルスを使用してテストしたところ、感度の悪いものもあったという。5つテストしたところ、1つに誤判定があったということで、まあまあそれなりという結果のようである。

 さらにイタリアではグリーンパスというワクチンパスポートを導入して、各地でこの提示が義務づけられているという。10月15日からは職場でも義務化するとのこと。さらに針を使用しない注射器も導入されており、子供などにワクチン接種率を上げる切り札とされている。

 ドイツではペロペロキャンディーを使う検査が子供のコロナ対策の切り札として小学校に導入されている。これを30秒口の中で舐め(味が付いているらしい)、それを回収して検査するのだという。陽性が出たら再検査するそうな・・・とのことだが、さっき唾液を使った検査は信用できないと言ってなかったか?

 

 

 タイトルに「withコロナ」を掲げている時点で明白であるが、経団連広報番組としてのスタンスは当然ながら「コロナの少々の犠牲には目をつぶって経済を優先しろ」という内容になっている。

 ただそれで良いのかというのは当然議論になるべき。コロナに対する特効薬が登場したら、まさしく「コロナは風邪」という扱いで良くなるが、そうならない内はワクチンでコロナが重症化しないというのが大前提となっているが、ワクチン接種の進んでる国でも相変わらず死者がでる現状から見れば、ワクチンが万能ではないことも明白ではある。さらに番組中にほんのわずか出ていたが、ワクチンが効かない変異株の流行という危険性はかなりある。

 自分には関係ないと思っている者は簡単に「コロナで重症化して死ぬ奴はそもそも寿命だ」などと軽く言うが、果たして自分の身内がそうなった時にも同じことを言えるだろうかという問題がある。それと一度規制を緩めてしまって爆発が起こったら、その時にとりかえしがつかないということもある。何にせよ、科学的データに基づいた迅速な対応が必要なのだが、日本が一番欠けているのはそこである(望ましくない結果が出そうなデータはそもそも取らないし捏造する。望ましくない状況が出てきても対応せずに利権を優先する。)。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・日本ではコロナ感染が小康状態になったが、世界の対応はどうなっているか。
・イギリスでは毎日100人以上の死者が出ているが、コロナをインフルエンザと同等に位置づけるとして規制を解除した。規制解除を喜ぶ声も大きいが、危ぶむ声もある。
・インドネシアでは厳しい規制で封じ込めていたが、規制を解除した途端に感染爆発が起こり、再度規制強化に乗り出した。ただしワクチン接種が進んでいることから、以前のレベルまでの厳しい規制は取らないという。
・ドイツではどこでもいつでも抗原検査を受けられる体制を取っている。
・抗原検査については日本でも医療用キットの一般販売が始まった。
・イタリアではグリーンパスというワクチンパスポートを導入している。また子供などの抵抗減らすための針のない注射器の導入も進んでいる。
・ドイツはでは小学生向けのペロペロキャンディー検査の導入も始まった。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・日本の対策は、とにかく一番最初の最初に「オリンピックのためにコロナを存在しないことにした」という隠蔽から始まったせいで後が全部コケてしまっている。そう考えるとやっぱりオリンピックなんてろくでもないイベントだったという話に尽きる。とにかく「国民の命よりも自分達の利権を最優先する政府では対策は打てない」というのはハッキリしている。

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