降水確率30%の意味
今回のテーマは天気予報。料理と健康関連がほとんどになってしまっているこの番組には珍しい内容である。
最初にスタジオに1ミリ、10ミリ、30ミリの雨を再現しているが、正直なところこれはどうでも良い内容。とりあえず30ミリも降ればかなりの雨であって、100ミリとなれば年に1,2回あるかというような豪雨で、前は何も見えないし身の危険を感じるというレベルになる。
天気予報で雨絡みといえば降水確率があるが、これが一般人の捉え方は実は間違っているとの話。降水確率30%と言われた時に傘を持って出るかと一般人に聞いたところ、10組すべての人が「傘は持っていかない」と答えたという。しかし同じことを気象予報士10人に聞いたら、全員が「折りたたみ傘を持っていく」とのこと。これが気象予報士と世間とのズレだという。
NHKで天気予報を放送している南氏によると、実は年間通じての雨の日は27%ぐらいで、30%はそれよりも高く、40%ぐらいになるともう梅雨の最盛期ぐらいなのだという。だから「結構高い」というのが実際の感覚だという。また降水確率は雨量とは関係ないので、降る時には大雨ということもあるので要注意とのこと。
天気予報が当たらないと感じる大きな落とし穴
ここで南氏の日頃の仕事っぷりの紹介が入るが、これも野次馬でどうでも良いようなこと。なお昔の天気予報の映像が入るが、昔からお天気記号を使っているが、それが今とは随分と違う。で、このお天気記号が今回の番組の肝の一つ。
番組が行ったのは、天気予報を見せて今日は洗濯物を干すべきかどうかを聞くというもの。実はこの天気予報に仕掛けがあって、画面には日本全国に晴れマークが並んでいるのだが、実はアナウンスでは「本日は全国的に雨で、太平洋岸では雨脚の強いところもあり」などと全く逆のことを言っているのである。しかしこの天気予報を見た人たちはほぼ全員が「晴れなので洗濯物を干す」と言っている。そこでさらに滅茶苦茶にして「今日はところにより槍が降るので、お出かけには盾の準備が必要です」なんてとんでもないことを言っているのだが、それでもほとんどの者が気付かないのである。
つまりはお天気マークが出てくると、そのビジュアルイメージが強烈なのでそれに引っ張られてナレーションなどは聞いていないという人がほとんどであるということ。しかしこれが大きな落とし穴だという。実際にこれで天気予報が大ハズレしたという記憶が残っていると言っている人が。彼は7年前の広島の安佐地区での豪雨での土砂災害を体験したという人物。彼が天気予報を見た時には広島地区は曇りマークが出ていたので、雨は大したことがないと考えていたのだという。
ここが大きな落とし穴。あの時の雨は線状降水帯による局地的な豪雨だったので、広島地区全体で見ると他のほとんどの地域に引っ張られて曇りマークが付いてしまうことになるのだという。南氏によれば、そのような注意すべき事象がある場合にはナレーションで補足するのであるが、番組での実験のようにほとんどの人がそれを聞いていないというわけである。そこで番組の結論は「天気予報は見るな(聞け)」ということらしい。なお南氏は少しでもナレーションを聞いてもらおうとダジャレなどで興味を惹こうとしているとか。うーん、南氏のあの寒いダジャレにそんな深い意図があったとは(笑)。
天気予報がコロコロと変わるのも仕方ない
なお閑話休題的に昔の忍者の天気予報なども紹介していた。気象の変化は彼らの任務にも影響するので(火を放ったのに雨が降ったりしたらおじゃんである)、気象の変化につながる数々の兆候などを把握しており、その中には実際に天候がその通りになるものが少なくないとか。いつの時代でも天気予報の基本は雲を読み、風を読むということだとのこと。
また天気予報に対する苦情として多いのは、予報の内容がコロコロ変わるというものもあるという。確かに予報が数時間で曇りから雨になってまた曇りになるなんていうように変化することがあるのは事実。何やら現実に対して慌てて合わせ込んでいるような気もするので、確かに不信感を抱かれる原因にはなる。
しかしこれについては、実際には雲は数分で湧いたり、また消えてしまったりなどがあって気象というのは非常に変化が激しいので、それに追随しようとするとどうしても変化せざるを得ないという。まあそこまで先読みで予測できないのかという話にもなるが、実際の気象現象は関与するファクターが非常に多いので、完全な予測は大型コンピューターを使用しても不可能であるということは私も知っている。また特に最近は気象の変化が激しくなっているのだという(明らかに地球温暖化の影響だろう)。大抵の人は天気予報を見るのは朝か前日の夜だと言うが、実際は出かける直前に見るのが重要とのこと。
最後は雨雲レーダーの情報を使って虹をさがすなんてことをしていたが、これも全く余計。
料理、健康以外のネタを扱ったというところは評価すべきだが、残念ながらそういう時にはなぜか紹介するべき情報が減るのか、余計なネタでの番組のかさ増しが目立つことになる。今回もややそういう傾向が見られた。
とは言うものの、ほとんどの人は天気予報を見ているが聞いていないというのは確かに目からウロコである。確かに一般人はそうなんだろう。私のように「画面では晴ればかりなのに、話は雨が降ることばかり言っていたよな」とかツッコミ入れるのはひねくれ者のようである。なお降水確率30%の時ですが、私は降水確率0%でも常に折りたたみ傘を持ち歩いてます(笑)。どうも天気予報がとにかく信頼度が低かった時代を体験している人間なので、未だに天気予報を完全には信じていないのと、天気を見て傘を荷物に入れたり出したりをしていると肝心な時に入れ忘れることが多いので、最初から入れっぱなしということです。
忙しい方のための今回の要点
・多くの人が降水確率30%は低いと傘を持たないが、実は30%とは十分に高い確率だという。また降水確率と降水量は無関係なので、激しい夕立に遭う可能性もあるので、折りたたみ傘を持っていった方が良い。
・天気予報を見た時、多くの人は画面の天気マークにのみ注目し、曇りマークなら曇りと判断しがちだが、実は局地的な気象などはねぐられて簡略化されているので、ナレーションに注意する必要があるという。
・また天気予報がよく変化するという苦情もあるというが、実際に雲は数分で劇的に変化したりするので、これは仕方のないことだという。また近年は気象が劇的に変化することが増えているという(恐らく温暖化の影響)。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・天気予報に関しては、私も天気図は学生時代に少し勉強したことがあるので、一応は読めるんですよね。ですからある程度の気象予測はできる。うーん、精度は石原良純レベルでしょうか(笑)。
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