教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/13 TBS系 世界遺産「ジャワ島!インドネシア初の国立公園」

インドネシア初の国立公園の火山島

 今回の世界遺産はインドネシアで初の国立公園というウジュンクロン国立公園。ジャワ島の沿岸にあるアナククラカタウ島は火山島である。直径1キロほどの島にはかつては標高330メートルの山がそびえていたが、それが2018年の噴火で飛び散って110メートルほどになった。3年経った今、島は溶岩や噴出物に覆われ、直径500メートルほどの火口からはまだ噴煙が上がっている。島には噴火で飛び散った巨大な岩が転がっている。インドネシアはオーストラリアプレートの縁に当たり、火山活動が活発な地域になる。この島もかつては緑に覆われていたが、今は火山灰の下に埋もれてしまっている。しかしその中からヤシの芽が出てくるなど植物の復活は始まっている


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 周辺は海底にも火山灰が降り積もり、火山性のガスが湧き出している。しかし少し移動するとサンゴ礁が存在する。海も噴火から回復しつつあるのである。

 実はこの島は1883年にもっと大規模な噴火を起こしている。火山灰が空を覆い、北半球の気温を1度下げたと言われている。噴火前は標高800メートルの1つの島だったのが、巨大噴火で大量のマグマがマグマ溜まりから吹き出して、空洞になったマグマ溜まりが崩壊、島は水没して大きな津波を起こして、3つの島が残った。そして44年後に噴火で中央にアナククラカタウ島が生まれたのである。4つの島の内の最大のラカタ島には白い筋の入った岩脈が見られる。噴火で地下のマグマが吹き出す時に岩の割れ目に入り込んで固まったものだという。

 

 

津波の大被害から復活した絶滅危惧種が暮らすジャングル

 1883年の噴火に伴う津波は、周辺に甚大な被害をもたらした。ジャワ島には40メートルの津波が到達し、3万6千人が亡くなり、沿岸の木は根こそぎにされた。それから140年、ウジュンクロンの森はどうなったか。

 厳格に保護されているウジュンクロンの森は木々が茂り、元の姿が戻ってきたようである。マングローブの森には多くのカニが棲息し、内陸に入ると熱帯のジャングルにはイチジクの仲間の巨木が生えていた。この木は中の木を締め殺して育つのだという。この木の回りでは絶滅危惧種のカニクルザルが棲息していた。さらに絶滅危惧種のサイチョウも木の実を食べている。さらには開けた平地には絶滅危惧種の牛バイテンが数を復活しつつある。そして津波で数を減らしたジャワサイ。現在地上に75頭しかおらず、ここがジャワサイ最後の棲息地だという。世界に5種いるサイは多くが絶滅危惧種だが、他のサイに比べてもジャワサイは桁違いに生息数が少ない。しかし保護によって確実に数を増やしつつあると言う。そしてジャワサイ最後の棲息地としてウジュンクロンは世界遺産となった。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・インドネシア初の国立公園であるウジュンクロン国立公園は貴重なジャワサイの最期の棲息地として世界遺産に認定されている。
・ジャワ島沖のアナククラカタウ島は火山島で、2018年の噴火で300メートルの山が吹っ飛んで110メートルになった。未だに噴煙が上がり火山灰に覆われた島や近くの海中では、生態系の復活が始まっている。
・この島は元々大きな島だったが、1883年に巨大噴火を起こし、この時に島が陥没、3つの島が残った。大津波がジャワ島を襲い、3万6千人が亡くなり、沿岸の森は根こそぎにされた。
・大津波から140年、ウジュンクロンの森は再生し、厳格に保護される中で多くの絶滅危惧種の生物が棲息している。また津波で大幅に生息数を減らしたジャワサイも75頭にまで復活している。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・火山島はダイナミックなものだが、ここはとりわけですね。しかしここまで活火山が派手に活動しているところなら、またこのような大被害がでないか心配だが、この島については先の大噴火でほとんどぶっ飛んでいるから、同じことが起こる可能性は当分ないか。むしろ他の近くの火山が心配だな。

 

 

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