教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/30 TBS系 世界遺産「スペイン・アンダルシア 6000年前の巨石神殿」

6000年前の古代人か暮らした奇岩の山

 スペインのアンダルシア地方のアンテケラ。古くからの交通の要衝でアンダルシアの心臓と呼ばれている。ここには6000年以上前から古代人が暮らしてきたという。町の背後の標高1336mのエル・トルカル、ここは奇岩に覆われた岩山であるが、6000年前の古代人はここで暮らしたという。石灰岩が隆起して浸食されたカルストが奇妙な地形をなしている。横縞の入った巨岩の台地で古代人は狩猟で生活していた。古代人たちが住居としたのは岩の隙間の洞窟である。ここで7000年前の女神像が発見されたという。


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 盆地には湿った空気が溜まってしばしば雲海が発生する。人々は後に麓の盆地に住むようになり、巨石の建造物であるドルメンを建造した。直径80mの丘は石を組み上げて作った墳墓である。このドルメルはエル・トルカルに正対しており、奇岩の山は聖地とされたのだという。

 

 

農耕で暮らした巨石文明

 アンテケラにあるもう一つの世界遺産の山がラ・ペニャ・ロス・エナモラドスである。300mのこの岩山も古代人にとっての聖なる山であった。巨石で組まれた直径50mのメンガのドルメルは祭祀が行われる神殿で、これはエジプトのピラミッドよりも古く、聖なる山ラ・ペニャに相対している。巨石は大勢で運ばれてまずは壁が作られ、次に埋まった状態で屋根を置き、最後に土を掘り出したと考えられるという。33の巨石で組み上げられており総重量は推定835トンに及ぶという。ドルメルでは21世紀になって神殿の奥から深さ20mの井戸が発見された。この前で儀式が行われたという。そして1年に1度、夏至の頃だ朝日が神殿に差し込むという(エジプトの遺跡と同じ仕掛けだ)。古代人は暦の知識を持っていたと考えられる。

 エル・トルカルからの湧き水が麓に湧き出しており、この水が太古から使用されて農耕が行われてきた。穀物をひくための石も見つかっており、小麦や空豆が栽培されていたことが分かっているという。そして農業にとって不可欠なのが暦。ドルメンはカレンダーとしての働きを持っていたのだという。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・スペインのアンダルシア地方のアンテケラには6000年前の古代人の遺跡が残る。
・古代人は最初は石灰岩の奇岩の山であるエル・トルカルで洞窟を住居として狩猟で暮らしていた。しかし後に麓の盆地に降りて農耕を行うようになる。
・アンテケラにはドルメルという石を積み上げた墳墓があり、これらは聖なる山であるエル・トルカルに相対している。
・またラ・ペニャ・ロス・エナモラドスも聖なる山と考えられており、これに相対した巨岩で作られたドルメルは祭祀の行われた神殿と考えられている。
・ドルメルには夏至に光が差し込むようになっており、古代においてカレンダーの役割を果たしたと考えられているという。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・エジプトのビラミッド以前に既に巨石文化が花開いていたというのが驚きではあります。既に世界四大文明などと言う考え方は否定され、世界中各地で同時多発的に多くの文明が発祥していたことが知られていますが、この地域もその一つのようです。ちなみに日本はまだ縄文末期ぐらいなので、ようやく土器が登場しているぐらいでしょうか。集落は存在してますが農耕以前ですね。

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