教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/13 サイエンスZERO「人類が絶滅の危機!?"中性化"と生殖の未来」

性の中性化が進行している

 人類が絶滅の危機などと大きく煽ってくるが、要は人類の中性化が進みつつあり、将来的には今までのような生殖能力を失う可能性があるというのである。なお性の混乱と言えば以前より環境ホルモンの影響などが指摘されているが、今回の観点はそういう短期的なものではなく、もっと長期的な進化の過程において人類の生存戦略的に中性化は必然であったとしている。

 現代男性の精子を調べると40年で50~60%数が減少しているという欧米の報告がある。さらには奇形な精子など精子そのものの劣化も進んでいるという。

 大阪のクリニックには異性への関心が低い(性欲が少ない)、活力が無いという悩みを持つ多くの若者が訪れているという。彼らについてテストステロンの量を調べたところ、平均よりもかなり少ないという結果が出たという。テストステロンは男性ホルモンとして筋肉を増やしたり、脳に作用して闘争心や性欲などの男性的な気質を生み出す。しかしこのテストステロンが減少することで中性化するのだという。

 アメリカでも男性のテストステロンはこの15年間で20%減少しているという報告がある。一方で女性はテストステロンが増加しており中性化が進行しているのだという。なおテストステロンが多いか少ないかを判断する方法として2D:4Dというものがあるという。男性は薬指が人差し指より長く、女性はその逆だという。これは母体内でのテストステロンの量が影響するという。これの調査結果も若いほ男性ほど人差し指の方が長い比率が増えるという。

 

 

中性化の原因

 ではこの中性化の原因だが、肥満度が影響しているという報告がある。脂肪細胞にはアロマターゼという酵素があり、テストステロンがこれに触れると女性ホルモンであるエストロゲンに変換するのだという。逆に筋肉から出る物質が精巣に働きかけるとテストステロンが増加するのだという。

 さらにノートルダム大学のテトラー博士は別の要因を研究している。子育て中の父親は育児の時間が長いほどテストステロンの量が減少するのだという。15分間我が子と触れあってもらって検査すると、テストステロンの量が減少するのだという。さらに女性が社会的に高い立場になった場合、テストステロンが大幅に増加するというテスト結果も出たという。

 なお人類の中性化は5万年前ぐらいから既に進んでいるという。テストステロンが増えると頭蓋骨の眉の上の隆起が増すのだが、5万年ぐらい前からこれが急激に減少しているのだという。ここでどんな変化があったのか。それはこの頃に集団社会を形成するようになったのだという。集団内で協力するためにはテストステロンが少なくて攻撃性が低い方が有利だったのである。人間の社会性が中性化を促進したのだという。

 しかしこのまま行けば人類が絶滅するのではという懸念がある。そこで新たな生殖の形の研究が進んでいる。有性生殖でなく、iPS細胞から精子と卵子を作り出してマウスを誕生させるという実験は既に成功しているという。アメリカでは人工子宮で羊の胎児を育てたという研究もなされているという。

 

 

 と言うわけで人類の中性化の話題。ただここに登場したテトラー博士の研究は気をつけないと危ない利用のされ方の可能性が見える。つまりはこの結果に差別主義者がとびついて「ほら見ろ、男女で役割分担を固定する社会にしないと、人類の中性化が進んで絶滅しても良いのか」と言い出す危険である。番組自体はその後に「実は人類の中性化は社会の進展と共に発生したもの」という話を続けて希釈していたが、奴らは先の話題だけに飛びつく可能性大である。

 なおiPS細胞から精子と卵子を作り出すして人工子宮で育ているという話は「男性一人で子供が作れる可能性がある」と言っていたが、これってまさにゲイやレズのカップルでも自分達の子供を持てることになるという話にもつながる。こっちについては上の差別主義者は徹底的に反対するだろう。

 とにかく性の問題は微妙である。なお今回の話、以前から言われている環境ホルモンの影響などを意図的に避けていたように感じるのはなぜだ? 環境ホルモンの影響は既に科学的に指摘されているのだが、あえてそれを避けた理由が分からん。実際にここ短期間での男性の精子の減少などは、女性の社会進出とか、人類の進化戦略などよりも、こっちの影響の可能性の方が高いのだが。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・最近は男性の精子の減少や劣化などが進んでおり、性の中性化が指摘されている。
・男性はテストステロン値が低い者が増えているのに対し、女性はテストステロン値が増加している者が増えているという。
・原因の一つとして考えられるのは肥満。脂肪細胞はテストステロンを女性ホルモンのエストロゲンに変える酵素を持つという。
・また男性が育児を行うとテストステロンが減少するとか、女性が社会的地位を持つとストレスに対抗するためにテストステロンが増加するという報告がある。
・しかしそもそも人類自体が進化の過程で中性化を進めているという。それは社会を形成する上でテストステロンが少なく攻撃性が低い方が好都合であるからだという。
・さらにiPS細胞から精子と卵子を生み出してマウスを誕生させたり、人工子宮で羊の胎児を成長させるなどの研究も行われている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・ちなみに私は明らかに薬指の方が長いです。年代的にもそれが多数派の年代なので一般的なんでしょう。確かに若いお姉ちゃんに興味はありますし、性欲も人並みにあると思います。もっともそれが発揮される機会は皆無ですが。今の若い連中は直ちに高野山に籠もれるような輩が増えたということでしょうか。

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