道教の聖地に立つ金色のお堂
今回は中国の武当山。72の峰に100以上のお堂が並ぶ聖地である。
1000年以上前からこの地には道教のお堂が作られ始めたという。山深いこの地はいかにも仙人を目指すには格好の地に思える。紫霄宮は29の楼閣が並ぶ最大の建築である。現在の形になったのは600年前で、元々のお堂を増改築で巨大化したという。正殿は巨大な木造建築である。
そして武当山最高峰の標高1612メートルの天柱峰に立つのが金殿と呼ばれる金色のお堂。これが築かれたのは600年前で、中国の皇帝が建設した。宮廷にちなんで太和宮と名付けられた宮殿には山頂への入口がある。峰は345メートルの城壁で取り囲まれており、この中は庶民が立ち入れない場所で紫禁城と呼ばれていた。その中心に金殿が建設された。
金殿は鋳造した銅の建材を運び上げて、300キロの金でメッキしたという。金殿の建設を行ったのは明の永楽帝。永楽帝は北京の都をも築いている。北京の都の建設後に30万人を送り込んで金殿の建設を始めたという。北京から建材は運河と長江を経由して輸送し、これを山頂で組み立てたのだという。永楽帝は道教の力で国を守ろうと考えていたのだという。
仙人を目指す修行の地
この地は道教の修行の地である。南巌と呼ばれる断崖には絶壁にへばりつくようなお堂がある。谷底からは700メートルの高さがある。これは武当山で現存する最も古い建築で700年も風雪に耐えてきたという。お堂は木造に見えるが風雨に耐えるために柱と壁は石造りだという。また絶壁に着き出した竜頭香と呼ばれる彫刻があるが、ここは先端にある香炉に線香を立てて祈ったのだという。しかし事故が多いために今は禁じられているとのこと。
また武当山は中国一の薬草の宝庫であるという。修行者は仙人を目指してこれらの薬草の採取も行っている。本草綱目に記載されている1800種の薬草のうち、武当山には800種が生えているという。そして金殿には今でも健康長寿を願う人々が参拝している。
忙しい方のための今回の要点
・中国の武当山は道教の聖地であり、峰には100を超えるお堂が存在する。
・最高峰の天柱峰には金殿と呼ばれる黄金のお堂がある。これは明の永楽帝が築いたもので、銅で鋳造した建材を運河を通して運び、山頂で組み上げて300キロの金でメッキしたものだという。
・南巌の断崖にはへばりつくようなお堂があり、ここは絶壁に着き出した祈りの場もある。事故が多いために今はそれは禁止されているとのこと。
・またこの地は薬草の宝庫であり、修行者は仙人を目指して薬草の採取も行っている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・いかにも中国的な風景で、確かにこんなところで修行をすれば仙人になれそうな気もするってものです。まあ仙人になれるかはともかく、天柱山みたいなところを参拝していたら、確かに足腰の鍛錬にはなりそう。
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