教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

3/20 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「医学の概念を打ち破った医療人」

画期的な医療の紹介(小ネタ集)

 今回は画期的な医療を開発した医師を紹介ということのようだが、要はオムニバスの小ネタ集。

 最初に登場するのは1日で入れ歯を製作出来るようにした歯科医。すみれデンタルクリニックの佐藤貴子院長。入れ歯は通常は何度も通って調整したりで時間がかかるが、やはり患者はその間は生活に苦労するというわけで、入れ歯を即日で作れた方が良いだろうというまあ当たり前のことを実現した医師。

 どうやってそれを実現したかと言えば、つまりは歯科医内に歯科技工士が常駐してそこで作業しているということ。調整なんかもその場で行うので即日で入れ歯が作れるのだという。なお入れ歯の土台がロウで作っているというのは初めて知った。熱いものを飲んだら融けないかなどと心配になるが、さすがにそこは考えているだろう。

 次は傷口は乾燥させない方が早く治るという湿潤療法を開発した夏井睦医師。傷が出来たら細胞成長因子が分泌されるのだが、傷口が外気に晒されていたら乾いてしまって細胞成長因子が働かなくなるのだという。だから傷をした時には、まず清潔な水で傷口を綺麗に洗ってから、清潔なタオルなどで水気を取り、そこに水分を通さないそれようの絆創膏を貼っておくのだという。なか急場しのぎにはラップなどを使う手もあるとか。こうすると傷口が外気に触れないので痛みも軽減するという。

 夏井医師は傷口は乾燥させてはいけないという文献に当たってから、自分で最良の条件を探って今日に至ったとか。今では全国で600の病院が湿潤療法を採用しているという。この湿潤療法、以前にガッテンでも紹介していたが、私にとっては目からウロコだった。

 

 

骨粗鬆症に影響する骨質に肝臓ガンの内視鏡手術

 三つ目は骨粗鬆症の原因として、カルシウム量以外に骨質に注目した整形外科医の斎藤充医師。カルシウム量は十分なのに骨折する事例があり、カルシウム量以外に骨質が大きく影響しているという結論に至ったという。骨質とはつまりは骨の中で鉄筋コンクリートの鉄筋の役割を果たしているコラーゲンの状態。これが酸化してしまうと骨が脆くなるのだという。

 コラーゲンの酸化の原因は活性酸素だが、高血圧、喫煙、動脈硬化、運動不足、加齢、肥満などが誘因となるという。防止するにはビタミンB群を摂取することだという。食材としては鮭、レバー、ニンニク、ゴマ、ハマグリなどがあるという。なお骨は新陳代謝するので、キチンと養生したら骨質の改善は可能だとのこと。

 最後は患者に肉体的負担の少ない肝臓手術法を開発した東邦大学の金子弘真医師。彼が開発したのは腹腔鏡下肝切除手術。今までの肝臓ガンの手術などは腹部を大きく切開していたので患者の身体的負担が大きかったが、腹腔鏡を使うことで小さな穴を4つ開けるだけで済むようになったのだという。今までは肝臓は血管が多くて出血が多いので腹腔鏡による手術は無理だと言われていたが、実際にやってみると出血が少ないことなどから感染症も防げて予後も良いと言うことが分かったとか。


 以上、小ネタ集です。正直なところガッテンやらいろいろ見ていたせいで、あまり驚くネタは無かったという印象である。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・今まで常識を覆えす新たな医療を開発した医師を紹介。
・最初は歯科医内に歯科技工士を常駐させることで入れ歯を即日に作れるようにした歯科医。従来のように時間がかからないので患者の不自由を減らすことが出来た。
・次は傷口の湿潤療法を開発した医師。傷口には細胞成長因子が分泌されるので、傷口を乾かないようにした方が治りは早いという。
・さらに骨粗鬆症の原因としてカルシウム量以外に骨質に注目した医師。骨の中のコラーゲンが酸化すると骨が脆くなり、カルシウムが足りていても骨折するようになるという。防止にはビタミンB群を摂るようにすると良いと言う。
・最後は肝臓ガンの手術に腹腔鏡下肝切除手術を導入した医師。患者の肉体的負担が小さくて済むようになった。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・正直なところ、様々な番組を見ていると「これは初めてだ」という情報はなかなか出てきません。ましてやこの番組は最先端に飛びつくのでなく、既に医学会でちゃんと認められているような情報を元にしているので。まあその分、インチキ情報がコンタミしなくて良いんですが。

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