巨大な噴水のバロック庭園の傑作
今回の世界遺産はドイツの人口20万の都市カッセルにあるバロック庭園の傑作。風情ある町を見下ろす標高527メートルの山上にある。ここにあるヴィルヘルムスヘーエ宮殿がかつて領主が暮らした宮殿で、その奥の森が巨大庭園である。
山頂に続くカスケードと呼ばれる階段状の滝は長さ350メートル、落差100メートル。10分間で28万リットルもの水が流れ落ちる。このような驚きの仕掛けを施すのがバロック庭園の特徴だという。流れ落ちる水はネプチューンの泉に注ぎ込む。さらには水圧でホルンを鳴らす仕掛けに、50メートル噴き上がる噴水など多くの仕掛けが仕込まれている。自然の力だけで噴き上がる噴水のために、フランスから物理学者を招いたという。80メートル上の貯水池に溜めた水を水圧で噴き出しているのである。なお貯水池の蓋は人力開閉である。この仕掛けの完成には60年を要したという。
火山が生んだ大庭園
庭園には多くの人口水路が巡らされており、人工の滝もある。石を一つ一つ並べて滝を作り出したのだという。そもそもこの森自体が人工の森で、木も植えられたものだという。アルプスの橋を再現したものや、ローマの水道橋の再現などもある。100年に渡る大工事の末、75万リットルもの水を操る大庭園となったのである。
この地は火山が生んだ。敷地内に立つ中世風のレーヴェンベルク城は、実は18世紀末に建てられたもの。当時は自然の風景の中に廃墟のような建物を作ることが流行したのだという。火山岩である凝灰岩が建材として使用されており、森の中に石切場がある。なぜここに火山岩があるか。実はここには小さな火山があったのだという。加工しやすい凝灰岩は細工に適した建材だった。この庭園は火山が生み出したのである。
忙しい方のための今回の要点
・ドイツのカッセルには、バロック庭園の傑作と言われる大庭園がある。
・町を見下ろす標高527メートルの山上にその庭園はあり、落差による水圧を利用した50メートル吹き上げる噴水や、人工的に作った滝などが存在する。
・この庭園の製作には100年に渡る大工事がなされており、75万リットルもの水を操る大庭園となった。
・ここはかつては火山であり、そのために凝灰岩が豊富である。加工しやすい凝灰岩は格好の建材となった。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・まあ呆れるような庭園ですが、かつての領主はそれだけのものを作れるだけの財力があったということでしょう。その財力の源は何かの説明は欲しかったかな。
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