教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/5 TBS系 世界遺産「6万段の階段!天空の聖地・黄山」

仙人が住む黄山

 天下の名勝と言われる中国の黄山は、昔から仙人が住んでいるとされる聖地であり、中国人の憧れの地でもある。


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 黄山とは1つの山ではなく東西30キロ南北40キロに及ぶ山岳地帯の総称である。その中心部の絶景地域が世界遺産となっている。高さ1000メートルの奇岩の嶺が林立しているが、最高峰は標高1864メートルの蓮花峰である。

 湿度が高く、1年の半分は雨が降ると言う黄山では、年間降水量は2400ミリにも達する。これらの雨は川となって山を降る。その中には9つの滝が連なる全長600メートルの九龍瀑と呼ばれる流れがある。黄山を象徴する絶景は雲海。冬の最盛期には低い高度に発生した雲海で黄山は雲の海に浮かぶ島のように見える。冬の黄山は絶景の宝庫。マイナス20度の寒さの中で雪を纏ったモノトーンの世界で、木々には氷が付着して花のように咲き誇る。雪が解けることろになると、瀑布雲という山の稜線を超えた雲が滝のように流れ落ちる光景が稀に見られる。

 

 

かつての修行の地が今は中国人の憧れの地に

 古来より黄山は修行の地だが、彼らが築いた山道が整備されて今日は観光客のルートとなっている。このような道の総延長は50キロに及ぶ。階段は最高峰の頂上に続いており、これを登るのは中国人の一生に一度の願いだという。

 黄山は花崗岩で出来ており、これが風化と浸食で多数の奇岩を生み出した。中には山頂の落ちそうで落ちない不思議な岩など様々な風景が存在する。100以上の名前の付いた奇岩が存在するという。また絶壁には黄山松という名木が花崗岩の割れ目に根を張って成長している。樹齢800年のものも存在するという。

 黄山の風景は山水画に大きな影響を与えた。多くの画家がこの風景を描いている。「黄山を見ずして山を語るなかれ」という言葉まであるという。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・黄山は古くから仙人の修行の地であった奇岩の山岳地帯である。
・これらの奇岩は隆起した花崗岩が風化と浸食を受けたことで生成した。
・黄山では1年の半分は雨で、年間降水量は2400ミリに及ぶ。これらの水は川となって崖を流れ落ちる。
・また冬になると雲海の絶景が広がり、木々には氷が付着する。
・現在はかつての修行の道が整備され観光コースとなっており、その全長は50キロに及ぶ。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・桂林と共に典型的な山水画の舞台ですね。私は昔山水画を初めて見た時に「いやいや、いくら何でもこんな風景ないだろ、デフォルメしすぎ」と思ったんだが、桂林とか黄山とか見て「中国に本当にある風景だったんだ」と驚いた記憶があります。もっとも日本人で描いている奴は大抵は完全に想像で描いてるんですが。

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